表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第6章 (仮題)ドラゴニュート兄弟とゴブリン村
257/281

251 邪教の教主ミカちゃん

 今回の狩りの旅も、目指すのは西の森(ウエストフォレスト)


 "オオイノシシ"や"蛇"、"シロザル"といった獲物を求めて、今回の狩りも頑張りたい。

 これらは全部、ゴブリンより美味しい。


 それに森に行くまでにある平原でも、運がよければ"モコ牛"や"一角兎(ホーララビット)"に出会える。

 モコ牛からは羊毛(見た目が牛のなのに羊毛とはこれいかに?)とミルクが取れ、ホーンラビットは美味しい獲物だ。

 僕はミルクで煮込んだホーンラビットの肉が、特に美味しいと思うね。


 僕たちの食生活改善のためにも、これからはウエストフォレストメインで狩りをしていきたい。


 それに肉だけでなく、森からは大自然の豊かな恵みを受け取ることができる。



 ウエストフォレストは素晴らしい。

 ああ、なんて理想的な場所だろう。


 ……ただの森に行くだけでこんなことを考えてしまうとは、僕のこれまでの生活って、それだけ酷かったんだね。

 ろくに草も生えてない場所で、ゴブリンやバジリスクを狩り、その死骸でアンデットの王国築いてたくらいだから、確かにひどすぎる。


 大体都市を攻め落とせるアンデット軍団がいた所で、だから何って話だよ。

 そもそも都市を見つけていれば、アンデット軍団なんて作らず、都市の中で普通に生活していただろうなぁ。


 ああっ、文明はいずこにー。


 まあ、ここは大自然の中。

 人間のいる都市なんてどこにもない。

 ない物ねだりをしても仕方ないね。




 ところで、

「俺、元々はあの森にいたんですよ。他のゴブリンの群れに追い出されて、それで森の外に出るしかなかったんです」

 クロゴブはウエストフォレスト出身とのこと。


「ふーん、ゴブリンの縄張り争いか」

「俺のいた部族は弱かったんで、あっさり追い出されてしまいました。でも、森の中は詳しいので、案内できますよ」

 元ゴブリンのクロゴブの言うことなので、どこまで信用できるものか。

 知っているとしても、自分のいた集落の周辺くらいしか知らないんじゃなかろうか?


 それでも全く土地勘なしで、森の中を歩き回るよりマシだね。

「なら、案内は任せるぞ」

「ハハーッ、お任せください」

 クロゴブは恭しく頭を下げるのだった。




 そして第二拠点からウエストフォレストまでは、浮遊魔導車(フロートカー)を使って移動。


 移動の休憩中、リズとクロゴブが互いに武器を取って戦ったりした。

「ふんっ、弱すぎますね」

 もっとも戦いというか、一方的な蹂躙。

 リズのハルバートが、クロゴブの持つ湾曲した刀――海賊刀――に触れると同時に、吹き飛ばしてお終い。

 戦闘とすら呼べないね。


「イツツッ、腕が痺れる」

「そりゃまあ、元の馬力が違いすぎるからね」

 完全に大人と子供の戦いだった。

 ダークオーガと言えど、僕たちドラゴニュートから見れば圧倒的に弱い。


「見た目が立派だったので強いのかと期待しましたが、残念です。強くなりたけれは、もっと精進なさい」

「へへーっ」

 リズ相手に、平伏するクロゴブだった。


 ダークオーガなのだけど、随分と平身低頭している。

 見た目が立派になっても、気が小さいのかな?

 所詮元ゴブリンだからね。



 そしてウエストフォレストにつくまでに、平原で一泊したのだけど、その時に、

「柔らかで大きな胸……ゴブリンなんか目じゃない美人だ。お、オレの子供を産んでくれー!」

 夜中にフレイアに襲い掛かる、全長2メートル越えの巨漢クロゴブ。


 それに対して、

「死にたいのですか?」

 ――ゴオオォォォォ

 フレイアの口からファイアブレスが吐き出されて、夜なのに、辺り一帯が昼のような明るさになった。


「ヒエエェェェー!」

「フレイア、ブレスを吐くのはいいけど、100メートル越えの大ブレスは止めようね」


 現代兵器の火炎放射器なんて目じゃない、大火力の炎だった。

 そんなものを見せられて、クロゴブの邪な思いは一瞬で蒸発。

 情けないことにその場で尻餅ついて、ガクブルしだす有様だった。


「レギャラスお兄様、私は安い女じゃないですわ。ミカちゃんならまだしも、このような埒外には触れる価値すらありません」


 ……あの、僕にはフレイアが何を言ってるのか、意味が分からないんだけど?

 なんですか、この超お高く留まっているお嬢様様のセリフは。お嬢様というか、"女王様"か……

 それもアッチ系の。


「ウヒョー、なら俺はOKってことだなー!フレイアたーん」

 そしてクロゴブに続いて、もう一人の馬鹿が登場。


 ――ゲシッ、グリグリ

「ミカちゃんなら、直接体でお仕置きしてあげます」

「ウホホーッ、フレイアたんの足に踏まれて……ゲヘッ、ゲヘヘッ」


 ……さ、僕は何も見てないぞ。

 とっとと寝てしまおう。

 まだ旅は始まったばかり、さっさと寝てしまうに限る。


 ――現実逃避じゃないかって?

 ああ、そうだよ。

 ミカちゃんには手の施しようがないから、現実逃避してないとやってられない。



 ただ翌日目が覚めると、夜の間に何があったのか知らないけど、

「"オッパイ仙人様"、なにとぞオッパイ力をオレにもお授けください」

「よいか、オッパイパイを極めし者は、この世界の心理へたどり着いたもの。すなわち世界とはオッパイ!」


 ……意味不明な邪教が成立していた。


 ミカちゃんが"ライトブレス(笑)"を後光の様に放ち、邪教の教えを滔々と説いている。

 それに対してクロゴブは、物凄く熱心な信者となって、教主ミカちゃんの言葉に聞き入っていた。


 ――ゴン、ガンッ

「ヒデブウッ!」

「ゲボハーッ!」

 邪教、滅すべし。

 ミカちゃんとクロゴブをしばいておいた。


「クロゴブ、お前もミカちゃんと同じ道に進むなら、今すぐスケルトンにしてやるからな」

 スケルトンにする、つまり殺すという意味だ。


「こ、この人マジでヤバイ、怖すぎる。ヒィィィー」

 気の弱いクロゴブは、またしてもガクブル。


「クッ、オスが3歳で止まっているレギュレギュめ。俺たちが理想(エロ)を語ることを、なぜ止めようとする!」


 だが、ミカちゃんは全く折れる気配なしだ。

 もうヤダ。ミカちゃんが肉体言語に耐性付き過ぎて、最近腕力で解決できなくなってきた。


「ユウ、助けてくれ」

「無理です、兄さん。僕には無理です。それにすぐに力で解決するのもやめましょうよ」

「もしかしてミカちゃんを殴り過ぎたから、元々バカだった頭が、ここまでひどくなったのかな?」


 肉体言語は大体の相手に通用するので過信してたけど、一方で馬鹿になっていく副作用が、ここまでひどい物だったとは。


 ……まあ、だからと言って、これからも肉体言語で語るのをやめるつもりはない。

 語る(なぐるのをやめれば、ミカちゃんが余計に調子に乗るだけだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ