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異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第6章 (仮題)ドラゴニュート兄弟とゴブリン村
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249 ダークジェネラルハイゴブリン

 最近は第二拠点ですることがあるので、自宅と第二拠点の間を毎日往復している僕。


 本日も自宅から第二拠点へとやってくると、

「偉大なる主、お待ちしておりました」

 僕を見下ろしてくる、巨大なゴブリンがいた。



 魔力の気配から、そいつがなんなのかわかる。

「……お前、また進化したのか?」

「はい、今度は"ダークジェネラルハイゴブリン"になりました」


 クロゴブの奴が、ハイゴブリンの系列の一つ、ダークジェネラルハイゴブリンになっていた。

 ゴブリン系列にも、ジェネラルゴブリンというのがいるけど、ジェネラルハイゴブリンは、ジェネラルゴブリンと比べて圧倒的に強い。


 ゴブリンの場合、ゴブリンメイジを除けば魔法を使えるゴブリン種はいないけど、ハイゴブリン種は、素の状態で魔法を使うことが出来る。

 そしてハイゴブリン種の一つであるジェネラルハイゴブリンは、魔法と物理の両面で高い能力を持つモンスターだった。


 ただし、

『魔法と物理が使えるのなら、つまり魔法剣士ということか。所詮は器用貧乏だな!』

 なんてことにはならない。

 極めてはないが、あらゆる面でバランスがとれているため、欠点らしい欠点がなく、攻めづらい相手となる。


 人間だったら、脅威になるだろろうモンスター。

 勇者様(笑)でもなければ、一対一で戦っていい相手じゃない。

 この世界の人間に未だお目にかかったことがないが、僕の前世(まおうじだい)の感覚では、それだけの強さがあった。


 もっともこの第二拠点にして、プチ魔王城においては、『ダークスケルトンよりは強いんじゃねぇ?』程度の存在だ。


 ダークスケルトンたちにも実は個体差があって、ダークスケルトンリーダーや、ダークスケルトンソルジャー、ダークスケルトンメイジなどなど、細かい分類が存在している。

 もっとも細かく分類できるものの、僕たちドラゴニュートから見れば、その能力は誤差の範囲でしかない。

 ドナン辺りはその辺のことを考慮して、管理しているかもしけないけど、僕からみると面倒なだけなので、いちいち呼び方を変えず、ダークスケルトンで十把一絡げに呼んでいた。


 しかしこのダークスケルトンにしても、人間の兵士より同等以上に強い


 この拠点には数千のダークスケルトンがいるので、辺境の小さな都市国家なら落とせる戦力があるね。

 それも"通常戦力"だけで。


 この通常戦力の中には、僕たちドラゴニュート兄弟やデネブアンデット、13魔将、シャドウ、ダークエルダーリッチのドナンは入っていない。


 今上げた中で一番弱いドナンの時点で、状況さえ整えれば、小さな都市国家を落とすことが出来る。

 むしろドナンだと物理的に攻めるより、ダークエルダーリッチの得意とする精神系の魔法を使って、都市上層部の人間を操ってしまえばいいだろう。

 そうすれば戦う必要なく、都市を牛耳ることが出来る。


 いわんや僕たちドラゴニュートの場合だと、フレイアなんて魔法一発で都市国家の残骸すら残らず、"溶かし"尽くしておしまいだ。

 注意しておくけど燃やすでなく、"溶かす"だから。そこは間違えないように。

 まあ、悪くすると蒸発の可能性もあるけど。


 他にもレオンだと、都市ごと凍り付かせられる。

 ドラドなら大量の土砂を都市にぶちまけて、埋もれさせたりできる。




 さて、第二拠点の戦力はそれとしてだ。

 僕を出迎えてくれたクロゴブは、ダークジェネラルハイゴブリンになったことで、以前に比べて背が伸び、さらに肉付きがよくなっていた。

 進化先が同じハイゴブリンの系列といっても、つい昨日までの姿とは全く別物になっていた。

 そして顔も強面になっている。


 頼もしいものだね。

 僕が"暗黒街の帝王"していた時代なら、こういうのを傍に何人か従えておきたいものだ。

 相手に舐められないためには、自分の傍に見ただけでヤバい奴を置いておくと便利だから。


 でもね、

「クソが、なんで身長が伸びる!昨日まで僕と大して変わらなかったのに……いいや、僕の方がほんの少しだけ、本当に少しだけど、背が高かったのに。なぜだ!」

「ゲボッ」

 ムカついたので、とりあえず腹パンしておいた。


 世の中ってのは凄く不公平だね。

 僕って、身長が……ウッ、クウッ、ウウウウッ。


 僕は兄弟の中でも、ミカちゃんとドラゴニュート状態のドラドに次いで、下から3番目の背の高さなんだよ。

 どうて見ても、お子ちゃまの背丈だ。

 なのにそれ以外の兄弟たちは、とっくに十代中盤から後半の高さしてる……。



「レ、レギュラス様、どこか体がお悪いのですか?突然涙を」

「何でもない……」

 ちょっと、ちょーっとだけ、殺意が漏れ出してしまいそう。


 このゴブリン、今日ここで仕留めておいた方がいいんじゃないか?

 このままだと、一生かけても追い抜けないほど背が伸びてしまうのでは……。




「レギュラス様、ようこそおいでくださいました」

「……うむっ」

 そこに出迎えのドナンが来たので、僕はこれ以上醜態をさらす前に、態度を改める。

 いつものように鷹揚な態度をとって、頷いた。


 べ、別に背が高いのが羨ましいわけじゃ……羨ましい……。


 心の中で強がりすら言えないほど、僕は背が高くなったクロゴブが羨ましかった。

 ……クソが!





 それはそれとして。

「ところでクロゴブ。昨日つけた傷はどうなった?」

「それでしたら、とっくに塞がりました」


 自宅で作った回復薬(ポーション)や、塗るタイプの傷薬がある。

 動物実験というわけで、クロゴブに刃物で複数の傷を作り、薬の効果を確かめることにした。


 ポーションや傷薬を塗った傷口に、全く薬を付けていない傷口。

 それらを分けることで、回復速度の違いを確認しようとした。


 なのにね、

「やっぱり進化した影響だよなー。お前、以前より怪我の回復速度も上がってるだろ」

「多分、そうだと思います」


 同意しているクロゴブの顔だけど、

『ああ、こいつ僕の言ってる意味全然分かってないな』

 と、表情を見ただけでわかった。


 進化して戦闘能力が強化され、ゴブリンの頃より頭がよくなったクロゴブ。

 だが進化しようとも、元はただのゴブリン。

 進化の影響で日本語が話せるようになろうとも、所詮ゴブリンの知恵では、自分の怪我の回復の早さについて、あれこれ考えないのだろう。


 ゴブリンって馬鹿だから。



 そしてここまで進化してしまうと、回復効果の低い薬を使っても、傷の回復速度は誤差でしかなくなる。

 10の回復速度だったところに3が加われば、明らかに怪我の治りが速いのが分かる。

 けど、100の回復速度になったところに3が加わっても、それは誤差程度の数字でしかなくなってしまう。


 いまのクロゴブは、100の回復速度になってしまった。


「こいつでの実験はもう無理だな」


 薬の実験したいけど、クロゴブが進化しすぎたせいで、できなくなってしまった。



 ま、いいや。

 どうせ回復薬作っても、僕の兄弟は怪我と無縁だし、この拠点の中にも薬を必要とする奴がいない。


 何しろ、いるのが全部(アンデット)だからな。


後書き



 どうでもいいけど、"ダークジェネラルハイゴブリン"という種族名が長すぎる~

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