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異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第6章 (仮題)ドラゴニュート兄弟とゴブリン村
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240 ドラゴニュートのトンデモ弱点

 レギュラス・アークトゥルスです。

 前日はリズが捌いたオオイノシシ鍋を食べることが出来て満足したのですが、やはり肉ばかりの食生活から脱したいです。

 文明人たるもの、様々な食生活を楽しんでこそです。

 豊かな食生活とは、それだけで豊かな証であり、それつまり文明。


 そんなわけで、昨日見つけた木の実をすり潰したり、煮込んでみたり、その他いろいろと手を尽くして食べてみたものの、どれもこれもひどい有様だった。


 もしかして、ドライフルーツにすればいいのでは?

 干し柿なんて、元は渋いだけの柿なのに、何日も干し続けることで甘みが出てくるしね。


 もっともドライフルーツにするには時間がかかるので、今すぐにできない。


 それでもいろいろ木の実で試し続けた結果、今日の僕は、

 ――ギューグルグルグルグル

「お腹痛い」


「兄さん、変な木の実を食べ続けるからいけないんです」

「クハハハハ、レギュちゃんは食い意地が張っていていけまちぇんねぇー……ヘボファッ!」

「食欲大魔神が何をほざく!」


 まったく、人が腹痛で弱っているのを見たら、調子に乗りやがって。

 気分が悪いから、手加減ミスるかもしれんぞ。


「レギュ様、実は超元気でしょう」

「ミカちゃん、あまり僕をおちょくらない方が身のためだよ」

「は、はいっ。イツツ、顎が痛い……ゲエッ、顎の鱗が割れてる!」


 おっと、いけない。

 いつも以上に強く殴りすぎたようで、ミカちゃんの顎の鱗が割れていた。

 僕らの鱗ってかなり頑丈で、まず素手では割れないはずだけど、ちょっと捻じりを加えすぎたかな。

 といっても、2、3日あればまた生えてくるけど。



「素手で私たちの鱗を壊せる。私ももっと修業が必要ですね」

 あ、フレイアさん。

 修行と化しなくていいから。

 小声で僕に聞こえないようにしているつもりのようだけど、全然聞こえてるから。




「しかし、木の実でまさか腹痛になるとは……昨日の蛇は全然問題なかったのに」

「昨日の蛇ですか?」


 昨日の蛇と言えば、ミカちゃんが仕留めた蛇のことだ。

 5メートル越えで、その点だけ見ればオオイノシシと同じ長さをしている。

 もっとも蛇とイノシシでは胴回りの大きさが違うので、オオイノシシほど巨大でなければ、肉の量があるわけでもなかった。


「昨日の蛇だけど、あれって麻痺毒を持ってたんだよ」

「……へっ?それってつまり、毒ってことですよね」

「そうだよ。軽量の摂取で体が痺れを感て、ある一定の量を超えると全身麻痺で動けなくなる。大量摂取すれば、最悪心臓麻痺で死ぬね」

 シリウス師匠のおかげで、僕は食べた物の成分がなんとなくわかる舌を持っている。持っているというか、持ってしまったというのが正しい。


 体にいい薬の成分が分かるけど、毒に関しても僕の舌は理解できるようになっていた。

 過去にユウの血液を舐めて、そこにヴァンパイア体質があるのが分かったのも、実はこれが理由だ。


 ……僕の舌って薬の成分と言うか、ヤバい物でも理解できるんだよね。

 ヴァンパイアやら、石化魔獣やら、ドラゴンやら、悪魔の血液やら、あの師匠に何千年と様々なものを舐めさせられ続けたから……。

 それだけやってると機械で分析しなくても、口に含むだけで自然と成分を分析できるようになるんだよ。



「うっ、ヤバイ。なんてものを食べたんだ」

 そして蛇が麻痺毒を持っていたことを聞かされて、ユウが今更口を押さえて顔を青くしている。


「大丈夫だから。今の話はあくまでも人間の話。僕らドラゴニュートの場合だと、蛇の麻痺毒なら樽一杯飲んでも、全く効かないから」

「そうなんですか?」

「マザーが今までに持ってきた獲物を色々食べたけど、あの中に石化毒や致死性の毒とか……まあ、人間なら確実にコロッといってる毒が含まれてるものもあったんだよ。たけど僕らは食べても平然としていた。今も、こうして元気だね」

「……今までも毒を食べてた。ヴヴッ、知りたくなかった。というか、兄さんはそのこと知ってて、なんで今まで黙ってたんですか?」

「知っても意味のないことだし、聞かれたこともなかったからね」

「……」


 おっと、ユウに睨まれてしまったぞ。


「トイレ」

 だけど今日の僕は本当に体調が悪い。

 なのでこの話を打ち切って、兄弟たちがいない場所へ移動していった。



 しかし思うのだけど、毒物が効かない体なのに、どうして木の実を食べてこうなったんだ?

 寝冷えなんてこともない。このドラゴニュートの体になってから、今までに一度もなったことないからね。



 ここで僕は、一つの可能性に思い至った。


 マザーは今まで僕たちに常に肉を与え続けてきた。


 それはなぜか?

 ドラゴンが肉食動物だからだ。


 肉食動物は、肉を食べる事で生きている。

 それは植物を食べることが出来ないからで、より正確には植物を体内で消化する機能がないからだ。

 肉食動物か植物を食べれば、小量ならば問題が起こらないが、大抵は下痢や嘔吐に襲われてしまう。ひどくなると、死の危険もある。



 もしかして、ドラゴニュートは生粋の肉食動物で、だから植物を食べられない体なのじゃないだろうか?


 いやいや、僕たちはドラゴニュート。

 血の半分はドラゴンでも、もう半分は人間だ。


 人間は雑食で、植物も動物もどちらも食べれる。


 だからドラゴニュートは、きっと雑食のはずだ。

 そうでないと、これから先も僕の食生活は肉だけで、そこに野菜や果物を加えることが出来なくなってしまう。


 肉食だけの生活なんてイヤだ。

 野菜や果物も食べてこその、文明でしょう。

 僕は文化的な食生活を送りたいんだけど!



 ううっ、体が不調を訴えてくる中、こんな考えに至ってしまい、僕は暗澹たる気分になった。

 ぶ、文化的食生活への道が閉ざされかねない……。


 文明を目指す僕には、これは由々しき問題だ。



 しかし毒物は平気でも植物はダメとか、ドラゴニュートの体にまさかこんなトンデモ弱点があったとは……


後書き



 「ゲエッ、顎の鱗が割れてる!」

 どこかのドラゴンの親戚かな?

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