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異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第6章 (仮題)ドラゴニュート兄弟とゴブリン村
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239 木の実とオオイノシシ

「おお、木の実だ!モグモグモ……」

「兄さん、固まってますけど?」

「……モグ……ゴクンッ……」

「不味かったんですね」


 ――コクリッ



 西の森(ウエストフォレスト)にやってきて、この世界で初めて木の実を発見した。

 それを早速食べてみた僕だけど、あまりの不味さに何も言うことが出来なかった。


「モガ、モガ、モガガガガ」

 一方、ミカちゃんは食欲魔神。


 うまいも不味いも関係なく、とりあえず食えるものなら、全力で口の中へ突っ込み……


「……ペペペッ、こんなクソマジイもん食えるか!」


 駄目だった。口の中に突っ込んでいた木の実を、吐き出している。

 あのミカちゃんでも不味いと理解できるほど、見つけた木の実は不味かった。



「おいしくないなら、食べない方がいいかなー?クンクン」

 僕とミカちゃんが食べていたのを見て、レオンも木の実を手に取るけど、警戒して匂いを嗅ぐまでで止める。


「……これは食べ物ではありません。食べ物でないなら、グルメリポートは不要なのです」

 グルメリポーターリズ先生も、木の実を口にしたものの、グルメリポートを拒否する有様。


「モグ……あ、これは食べちゃダメだ」

 ドラドも一口口に入れた途端、顔を顰めて木の実を口の中から吐き出した。


「うーん、匂いは美味しそうだけど……ダメだ」

 ユウもチャレンジして、即中止。


「あまり変なものを食べてはダメですよ」

 最後に僕たちの様子を一通り見たフレイアが、そう言って締めくくった。



 そうだね。

 不味い物は食べてはダメ。

 これは木の実だけど、食べられるものではないね。


 ――チュンチュン、チュチュチュン


 そんな木の実だけど、どこからか飛んできた鳥が嘴でつついていた。


 人間(ドラゴニュート)には駄目でも、鳥の餌にはなるようだ。


 ならばこの実で鳥の養殖ができないかなー。


 なんて馬鹿なことを、僕は考えてしまう始末。


 だってさ、肉以外のものを食いたいっていう、文明人としての欲求がだね……


「メシじゃー」


 なんて僕が現実逃避してる間に、ミカちゃんが木の実を啄んでいた鳥に向かって跳躍した。


 バタバタと翼を羽ばたかせ、大慌てで鳥が逃げ出すけど、ミカちゃんはマジ物の野生生物。


「ゲッチュウ。モグモグ」

 小さな鳥を口で捕まえると、そのまま捌くことなく口をモゴモゴさせて食べていく。


「ミカちゃん、どこまで野生児なんだ」

「う、うん、ウンウン。毛が多い。モグモグ、ゴックン」


 捌くという発想もなく、鳥を丸ごと食べたミカちゃん。

 ただ羽根が口の中に残ったようで、

「ハックシュン、ゲホン、ブエホン」

 なんて、くしゃみを続ける。


「ちょっ、ミカちゃん鼻水飛ばさないでくださいよ!」

「ミカちゃん、人がいる方向に咳をしないで!」

 ユウとドラドに向かって、鼻水を飛ばす始末だった。


 このオッサン、本当に可愛げってものがこれっぽっちもないね。

 見た目と中身が、どこまでも180度反対だ。





 ――ブモオォォォォーーー


 そしてミカちゃんが咳ばかりしているから、ここに向かって新たな魔物(モンスター)が登場。

 高さが1メートル全長5メートルはある、"オオイノシシ"だった。

 2本の鋭い牙に、茶色と白の斑の体毛。

 ベヒモスに比べれば取るに足りない大きさだが、それでも威嚇をしてきて、威圧感が満載。相手が普通の生き物なら、ビビるね。あくまでも普通の生き物だったらだけど。


 っていうか、これはモンスターじゃなく、野生生物か?

 ま、どっちでもいい。


 モンスターでも野生生物でも、僕たち取っては、食べ物でしかないから。


「ここはワレにお任せを!」

 僕らに向かって突撃してくるオオイノシシ。

 その前に立ち塞がったのは、シャドウの1体だった。


「カアアアアアーッ」

 と気合を入れると、シャドウの全身から"暗黒オーラ"が迸り、4本の腕の筋肉が盛り上がって、一回り大きくなる。

 黒い血管が腕の表面に浮かび上がり、ドクンドクンと脈動する。


「ゲホゲホ、なんか思ったんだけどさ。こいつらってスーパーサイ〇人になってないか?(オーラ)が金色じゃなく黒だけどさ」

 暗黒の気の力を身に纏うシャドウは、ミカちゃんが言う通り、確かにスー〇ーサイヤ人だった。

 正確には、スーパーと言うより、ダークサイ〇人かな?


 こいつらもともと地球外生命体の姿をしているけど、実は出身惑星は〇メック星なのでは?

 ナメッ〇星かもしれないなー。


 ――ガシンッ

 なんて馬鹿なことを話し合ってる間に、シャドウとオオイノシシが激突。

 助走を十分につけて体当たりしてきたオオイノシシだったが、シャドウが正面から4本の腕で受け止め、がっしりと拘束する。

 多少シャドウの足が地面を滑って後退するが、それだけでオオイノシシの突進を封殺してしまった。


「ヌハハ、弱い、弱すぎる」

 そのままシャドウはオオイノシシの首に腕を回して、ゴキリッと音をたてて、オオイノシシを絶命させた。


「ファザー、マザー、ワレが仕留めた獲物をご賞味ください」

「早速調理しましょう」

「ささっ、リズ様の神のごとき包丁捌きをお見せください」


 この後シャドウたちが動き出して、オオイノシシの調理が始まる。

 でも、リズの料理の腕が自分たちより優れていると分かっているようで、早速リズに頼んでいるシャドウたちだった。


 この3体って、以心伝心って感じで息がピッタリだな。

 3つ子みたいなものだから、そうなのかもしれないけど。



「メシメシー」

「ミカちゃん、頼むから僕の頭を齧らないでください。すぐに料理が出来ますから。イダダダッ」

「モガモガモガー」

「ウワーン、ミカちゃんやめてー」

 一方我ら7つ子ドラゴニュート兄弟だけど、ミカちゃんが錯乱してユウとレオンに噛り付いていた。


「いいですか、肉を捌くときの手順は……」

 リズはシャドウたち相手に、肉の捌き方を教え始める。


「レギュラスお兄様、特上のモツです。一緒に食べましょう。アーンしてください」

「いいよ、自分で食べられるから」

「フレイアたん、俺にもアーン、アーン、アーン」

「ミカちゃんは、ドラドにでも食べさせてもらってください」

 シャドウたちと違って、我が兄弟たちは自由人だね。


「ぺったんこドラドになど用はない!」

「ドラド、ミカちゃんより胸は大きいよ」

「だがしかし、所詮貴様の乳など、またまだ小娘の貧乳サイズよ!」

「ミカちゃんの馬鹿っ!」


 ――ベシン

 と言う音がして、ミカちゃんがドラドに引っぱたかれた。


 ただね、ドラドは僕ら兄弟の中では一番力があるんだよ。

 ドラドはドラゴニュートでなく、生粋のドラゴンにかなり近いからね。


「ホゲラー」

 そんなわけで、引っぱたかれたミカちゃんがその場から吹っ飛んでいき、近くにあった木の幹に激突。


 ――バキッ、ボキッ、ズズン、ドドドーン!


 してはいけない音がいくつもして、森の中にある木が数本倒れていった。


「ギャフン。だがしかし、ドラドは所詮力だけだな。レギュレギュの様に、捻じ込んで体の奥深くにダメージを与えるテクニックがない!」

 木を何本も折るほどの吹っ飛ばされ方をしたのに、ミカちゃんは割と元気だった。


「ミカちゃん、ドラド、料理の中に土が入るので暴れないでください!」

「むっ、すまん」

「ご、ごめんなさい、リズ」

 ただこの騒動で土ぼこりが立ってしまい、料理中のリズにすごい剣幕で怒られる2人。


 ミカちゃんは怒られ慣れているので大して気にしてなけれど、ドラドは怒られ慣れてないので、尻尾がシュンと地面に垂れ下がっていた。


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