215 赤の狂王星 (三人称視点)
「演出魔法・赤い超新星爆発!」
その日、レギュラス達ドラゴニュート兄弟がいるのとは別宇宙、別世界において、1人の諸悪の根源が呟いた。
それは諸悪の根源が住んでいる世界(地球)には存在しないはずの魔法の言葉。
だがそれは世界を超え、次元を超え、理というものをことごとく無視して、別世界にある宇宙空間に、一つの赤い超新星爆発を発生させた。
次元を超え、一つの恒星を潰して超新星爆発を巻き起こす大魔術。
それほどの魔術を行使しておきながら、その存在は、
「カスタードプリン、ホイプクリームマシマシの超甘々ハチミツたっぷり掛けをください!」
プリン専門店で、血糖値爆上がり確定の一品を注文していた。
「お値段は、3350円になります」
「ワッホーイ、高級糖分たっぷりプリンだー!」
大魔術がどうこうより、糖尿病でそのうち死ぬんじゃない?
◇ ◇ ◇
「神官趙様、空に新たな星が!」
場面は再びドラゴニュート兄弟たちの住んでいる世界。
ただ兄弟たちがいるのとは別大陸、竜神教と呼ばれる教団での出来事だ。
巫女の一人が教団の最高位者である神官長に、怯えながら空に現れた星を指さした。
それを神官長も、夜空を眺めて確認する。
「ああ、なんと赤く禍々しく光る狂星か。他の星々よりも明るく……あれはまさか王を意味する星!もしや新たな王が世界に誕生するということか!それに、傍に6つの星を従えて……」
神官長は空を見上げ、新たに生まれた星の運命を判断する。
星の動きを読み取る占星術は、この世界において魔術の一つであり、これから起こりうる世界の運命を、天が指し示していることに他ならない。
空に輝く星は、地上に生きる人間はもとより、魔族や獣人族、その他大勢の生命の行く末を表している。
その中でもひときわ強く輝くのが、魔王の星。
そして複数存在している人間の国の王たちの星。
それ以外の種族の王の星たち。
だが、その王を示す星に、この日新たな星が加わった。
「赤く禍々しく輝く魔の狂星。はたしてアレが我ら人間に福をもたらす王となるか、あるいは魔王のように人間に災いをなす王となるのか……」
空に輝く星は赤い。
そして天に存在している星々の中でも、ひときわ強く輝く星でもあった。
その光は地上の人間の王たちの星よりも光り輝き、魔族の王を表す星よりもさらに禍々しい輝きを持つ。
世界はまだ知らない、レギュラス・アークトゥルスという王の存在を。
人間も魔族も知らない、レギュラス・アークトゥルスと呼ばれる王となるべき存在が、既にこの世界に存在していることを。
この世界の全てを手の平で操る存在が誘導するかのように、その星には一つの名がつけられた。
"赤の狂王星"と。
この世界で巻き起こる人間と魔族の争いに、新たな王の出現。
そしてこの世界の神々である竜神や鬼神と呼ばれる者たちですら、この世界の全てを超越する存在の手の上で転がされているだけに過ぎないのかもしれない。
ただひとつ付け加えるなら、"赤の狂王星・レギュラス"の星を持つ者はこう思っているだけだ。
『目指せ、現代文明!』
後書き
とある天の意思
「お砂糖様バンザーイ、糖分バンザーイ、脂肪分もバンザーイ」
い、一体その正体は何者なんだー(棒読み)




