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214 「見た目は幼女、中身はサラリーマン、ミカちゃんだぜぃ」 (ミカちゃん視点)

前書き



 今回の話は、全編ミカちゃんワールド一色に染まっています。

 エロ親父の本能丸出し視点でひたすら語られている話なので、ご注意ください。

 見た目は幼女、中身はサラリーマン、ミカちゃんだぜぃ。



 前世では鈴木次郎こと、マジカル幼女天使ミカちゃんの俺だけど、おっぱい大好き。


「フレイアたーん」


 俺は前世ではなかったお尻から生えてる尻尾をフリフリ、大好きなフレイアたんのお胸に向かって前進ダイブだ。

 うおーーー、今世での俺ってマジでついてる。

 超ボインボイン妹フレイアたんのお胸に突撃しても、犯罪にならないんだからな!


 だって、今の俺は女の子。

 姉妹同士でじゃれ合って、お胸を揉んでも全く犯罪にならないぜぃ!


 ――ガシッ

 なんだけど、

「あの、フレイアたん。なんで、俺の頭を掴むの?」

 なぜかフレイアタンに頭を掴まれてしまった。


 俺はフーン、ムーンと掛け声をかけながら、両腕を伸ばす。

 何とか目の前にある豊穣の丘に、いや山脈へたどり着こうとするが、無情にも俺とフレイアたんの腕の長さは大人と子供ほどある。


「ミカちゃん、私の胸は安くないですわ。お触りは禁止」

「な、ん、だ、と」

 ああ畜生、俺の短いお手々では、豊饒の山脈にたどり着くことすら許されないのか。


 しかも、今フレイアたんはなんと言った!?


「お、お触り禁止だと!」

「私の胸はレギュラスお兄様だけのためにあるんです」

「ノ、ノウッ!」

 なんてことだ、フレイアたん。フレイアたんってば、

「いつの間に、焦らしプレイなんて高等テクを覚えたんだ!」


 ――フーンフーン、ハーハー


 いやー、鼻息が荒くなっちまうな。

 グヘヘッ。


 いつも触れていたマスクメロンちゃんを、いきなりお預けなんてひどい罰ゲーム。

 だ、だがしかし、男としては手に入らない高値の花だからこそ、そこに憧れを抱くのだ。

 そう、手に入りそうでしかし決して手が届くことがない場所。


 俺は前世でも今世でも、間違いなく健全極まりない男の子だからな。

 決して手に入らないと分かっていても、そこに手を伸ばすのは男として当然!


「そんなこと言わずに、タッチさせてくれー!」

 ま、難しい哲学など俺には不要。

 エロ本能に流されて、俺はフレイアたんに捕まれている頭を何とか外して、さらに大突撃。


「ダメ!」

「ゲフォッ!」


 な、なぜだ、この超俊足分身が可能なミカちゃんのスピードをもってして、今何が起きたのか分からなかった。

 いや、何が起きたのかは分かる。

 フレイアたんの足が動いて、マスクメロン山脈に向かって不時着しようとしていた俺の顔面が突如蹴り上げられた。


「グヘーッ」

 フレイアたんの見かけによらないとてもパワフルな膝蹴りを、顎にまともに受け、俺はその場から吹っ飛ばされてしまった。


 おおっ、鼻から心の赤い汁が垂れる。


 ――ドシンッ


「ミ、ミカちゃん大丈夫ですか?」

 俺はフレイアたんの蹴り一つであっさりノックアウト。この衝撃に堪えきれず、赤い汁を流しながら、地面に横たわった。


 そんな俺を見て、ユウの奴が話しかけてくるが、今の俺にはそんな声なんて聞こえてない。


「いいっ」

「はい?今なんて言ったんですか?」

「巨乳美女フレイアたんになじられるのって、気持ちいい」


 ――スッ


 ユウが視線を逸らすどころか、この場から急いで逃げ出しやがった。


 だが、俺は野郎からどう見られようとどうでもいいぜ。


 スリスリとフレイアたんに蹴られた顎を撫でると、ズキズキと滅茶苦茶痛い。


 でもさ、

「ああ、これが恋なのか」

 この痛みは俺の愛のハートが撃ち抜かれた痛みなのだ。


 ヤベェ、全身ゾクゾクして、滅茶苦茶気持ちいい。


「エヘッ、グヘヘッ、ゲヘヘヘヘッ」

 だけど悲しいかな。

 今の蹴りが強すぎて、俺、もう動けないぜ。

 ついでに興奮しすぎて、鼻から出てくる赤い汁が止まらないんだけど。


 でも俺、このまま吐血死してもいいや。

 巨乳ちゃんに始末されるなら、本望だし。


 あ、でもやっぱり死ぬときは、オッパイに抱き締められて、窒息死の方がもっといい。

 それこそ、男子の本懐よ。


「フ、フレイア、た、ん……」

 そこで俺は、マスクメロン山脈の姿を幻に見ながら、ガクリと気を失った。




「ふっかーつ!」

 だが残念だったな。

 この程度で俺は死にはしない。


 エロ本能は滅びぬ。何度でも甦るさ!

 エロの力こそ、男の夢だからだ!!


「マスクメロン山脈よ、俺は帰ってきたー!」



『ミカちゃん、鼻血出てるから拭いた方がいいよ』

 あれ、気が付くとフレイアたんの姿がなくなってた。

 かわりにいたのはドラド。


『はい、タオル』

「おうっ、ありがとうなドラド」

『ちゃんと床の血も拭いておくんだよ』

「……わ、分かってらー。レオン、お前がやっておけー!」

「ええっ、なんで僕がー!」

「ガルルルルッ、やかましい俺の命令に口答えすんじゃねぇ!」

「ヒェェェーーン」


 ちょうどいいところにレオンがいたので、恋の病で吐血した現場の後始末は、レオンに丸投げだ。


「てかさー、フレイアたんって最近レギュレギュの事ばかりだよな。やっぱりあれか、野生の女フレイアたんは、強い男に憧れるってやつだな」


 鼻から出ていた鼻血は拭き取ったので、タオルは近くにいるレオンめがけてポイだ。


「ミカちゃん?」

「片づけておけ」

「……」

『ミカちゃんって横暴』


 レオンが情けない目で俺を見て、ドラドの奴は半眼になっている。



 だが知ったこっちゃないな。イケメン野郎なんて滅びちまえ。

 ついでにドラドは胸はついているが、まだ俺の守備範囲には程遠いので興味なしだ。


「……ドラド、お前も成長したら、もっと胸がでかくなるよな?」

『今より、お、大きくなるのかな?』

「フッ、当たり前だ。なんたってお前はフレイアたんの妹でもあるのだ。将来は巨乳決定だ!」

『ム、ムフフー、そうしたらレギュ兄もドラドの事もっと可愛がってくれるかなー』

「……」



 おのれ、レギュレギュ!

 俺の愛と勇気と希望の源であるマスクメロン山脈フレイアたんをかどわかすばかりか、未来の巨乳候補ドラドまで誑かすとはなんと悪逆非道!


 チ、チクショウ!

 まさかこれがモテ男と、前世非モテだった俺との違いなのか!


 クッ、このままでは俺の異世界巨乳ハーレムパーティーの要員が、次々とレギュの奴に奪われちまう。


 ……そういえばここ最近、俺の兄弟内カーストの順位も下がってるよな。


 以前は、

『俺>レギュラス>フレイアたん>その他のジャガイモども』

 だったのに、最近は、

『フレイアたん>俺>レギュラス>その他のジャガイモども』

 になってるもんな。


 フレイアたんは女王様だから別にいいんだけどなー。ゲヘヘーーーッ。



 ……いや、分かってるよ。

 俺だって今のカースト順位が間違ってるって分かってるよ!

 レギュレギュって、頭だけじゃなく、腕力までおかしいもんな。


 このままではいけない!

 俺はフレイアたんよりも強い男でなければならない。

 たとえ体は女の子になっても、俺は元気な男の子ミカちゃんだ。

 だからこそ、俺の強さを見せつけて、フレイアたんばかりか、レギュレギュにも勝って、兄弟カーストの頂点に君臨しなければ。

 そして巨乳ウハウハハーレムを実現せねば!


 となれば、特訓あるのみ。

 今は俺の負けを認めよう。


 だが俺は修行して、再び兄弟カーストの頂点に立って、巨乳フレイアたんの憧れの男に舞い戻るんだ。


 そしてパフパフするんだ!





「ってわけでユウ、サンドバックが欲しい!」

「あの、ミカちゃん。脈絡なくいきなり何言ってるんですか?」

「ここ最近レギュレギュは出かけてるか、研究部屋に引きこもってるだろ。その間に俺は強くなって、再びフレイアたんの愛を取り戻すんだ!」

「……あ、はい、そうですか」

「なんだ、その気のない返事は!ガルルルルッ」

「ちょっ、うわあああっ!頭に噛みつかないでー!」


 思い立ったが吉日。俺はさっそくユウにおねだりして、サンドバッグを作ってもらうことにした。

 剣ではなく、レギュレギュが得意としている拳で勝たねばならない!

 それでこそ、男よ!


「分かったから、噛むのをやめてください。サンドバッグですね、作るから噛むのはやめてー!」


 おねだり成功だ。

 ユウは簡単に俺の言うことを聞くから超便利だな。


 ……あ、でもこいつの顔って相変わらず美形野郎だなー。

 将来絶対もてるなー。


 この兄弟以外、他人のいない環境で将来どんな巨乳ちゃんに遭遇できるか分からんが、こいつからは"見た目だけ"はイケメンハーレムオーラがプンプン漂ってやがる。


 たとえ相手が巨乳美女でなくても、こいつは間違いなく女からモテるな。


 ――ガジガジガジガジ


 ああ、ムカつく。

 このまま頭噛み続けて、ハゲにしてやろう。


 ウケーッ、ケッケッケッケーッ!


「ヒギャー!!!」

 俺はユウの頭を、思い切り齧りまくっておいた。





 ――シュシュ、シュビビビッ


 それから3日後、俺のおねだり通りユウがサンドバッグを作ってくれた。

 早速ここに拳の打ち込みだ!


 レギュレギュ、死にさらせー!

 ユウは禿げろー!

 レオン、お前もイケメン顔だから、ブ男になれー!


 モンスターの革で作ったつぎはぎだらけのボロサンドバッグで、叩くたびに中に詰めている砂が、煙になって袋の上からボフボフ飛んでいる。


「相変わらず、ショッパイ作りだな」

「無茶言わないでください。サンドバッグなんて初めて作るんですよ。それに道具だってろくにない環境で、かなり苦労したんですから」


 ユウめ、女々しい言い訳を。

 だがここは大自然の中で日本じゃないから、頑張りは認めてやろう。


 最近俺たち兄弟無視して、研究部屋に引きこもってばかりのレギュレギュより、ユウの方が役に立ちまくってるからな。


 拳を当てパンチ、拳を当てて捻ってパンチ。


 ――シュシュ、シュビビ、ビビンッ!


「拳が目で追えない……」

 俺の素晴らしい拳を見て、ユウがそんなことを言ってる。


 ふうっ、俺って結構強いんじゃねえ?

 もしかして、もうレギュの奴なんて片腕一つで倒せるんじゃねえか?


 おおっ、修行したかいがあった。

 そうとなれば早速レギュを仕留めて、俺が兄弟カーストの頂点に立つんじゃー!



「あら、ミカちゃんにユウお兄様、何をなさってるんですか?」

「フレイアたーん」

 なんてところに、マスクメロン山脈様の到来だ。


 ああ、眩しいぜ。

 フレイアたんのお胸から神々しい後光が差していて、俺の目がつい潤んじまうぜ。


「ハッハッ、ヘッヘッヘー」

「ミカちゃん、頼むから犬みたいな鼻息出すのは止めましょう」

「……」


 フレイアたんに走っていこうとしたら、なぜか俺の尻尾をユウに捕まれていた。

 いくら前に走っても、尻尾を掴まれたままじゃ前に進めえね。

 やめんか、ユウ!

 俺とフレイアたんの逢瀬を邪魔するんじゃねぇー!



 そしてなぜか、俺のことはフレイアたんに無視されて話がされていく。


「お兄様、これは?」

「サンドバッグって言って、パンチの練習をする道具だよ」

「パンチですか?」

「フレイアたんもしてみる」


 このまま俺のことを無視されて会話が進むのはダメだ。

 幸いフレイアたんが興味を示したようで、俺はシュシュ、シュビビと、サンドバッグを高速連打してブッ叩く。

 どうよ、今の俺って格好良くない。

 前世でVRゲームばかりしていた俺だったら、間違いなくこんな速度で叩けないって速度で叩いてるぜ。


 おおっ、異世界パワーってすげぇー。

 いや、今世の俺がドラゴニュートだから、人間だった頃より早く動けてるだけかもしれんけど。

 ……どっちでもいい、転生パワーすげぇー!


「面白そうですわね」

「フレイアたんも、パンチしてごらーん」

 だが、異世界パワーよりもフレイアたんのご機嫌取りが超重要!


「じゃあ、試してみますね」

 フレイアたんは早速サンドバックの前に立って、体を捻ってパンチを繰り出した。


「ムフフ、オッパイパイが素晴らしい揺れをしてる……」

 俺はパンチするフレイアたんの姿を、しゃがんで下から眺めた。


 おおっ、この角度からのおっぱいは味があってたまりませんなー……


 ――ズドンッ


「「「……」」」

 次の瞬間、とんでもなく重たい音がして、フレイアたんの腕がサンドバッグにめり込んだ。


 いや、訂正しよう。

 貫通していた。


「ユウお兄様、壊れてしまいました……」

「あ、うん、そうだね」

「……」


 ち、ちょっと待て!

 パンチ一発でサンドバッグ貫通させる拳って、何それ!?


「な、なあユウ」

「な、なんですか、ミカちゃん?」

 フレイアたんのトンデモパワーに、俺もユウも動揺が収まらない。


「フレイアたんって、実は怒らせるとヤバいんじゃねぇ?」


 いや、怒らせたらヤバいことは既に核爆弾級のトンデモ破壊魔法に巻き込まれて経験したけど……魔法なしでも簡単に人殺せる拳してるんだけど。


 だって、ワンパンでサンドバック貫通する拳だぞ。



 フレイアたん、怖い。

 俺、兄弟カーストの頂点に立つの無理かも。



 ……今度からはフレイアたんに格好良さを見せるのやめて、靴を舐めたりするプレーの方がいいのかも。


「ムフフ、女王様のおっぱいにムチ打ちされる、俺。ゲヘヘッ」

 ああ、そうなると楽しい妄想が広がるなー。


「ミカちゃん、やめてください。僕たち以外の兄弟はまだ2歳児なんですよ!変態顔になって、とんでもないこと口走らないでください!」


 ユウの奴が何か言ってるが、知らんな!


 健全な男の子になれない、頭の中のオスが2歳児のユウのことなぞ知らん!






 なんて俺たちは、その瞬間まで日常を過ごしていた。


 だが、次の瞬間北の方角からとんでもない気配を感じた。


『クハ、クハハ、クハハハハハ』

 それは声ではなかった。

 魔力の波動ってやつだ。


 俺は普段魔法音痴扱いされてるけど、それでも全く魔力を感じられないわけじゃないんだぜ。


 北の方角から、陰気な気配が放たれ、それが俺には笑い声のように聞こえた。


「な、なんだよ、この魔力」

 陰気なだけでなく、あまりに威圧感のある魔力に、俺はちょっと、ちびっちまった。

 ううっ、パンツが少し濡れたけど、床にこぼれる程は漏らしてないんだからね!


「うっ、ああっ」

 ユウの奴は小さく振るえる。


「ミカちゃん……」

 お、フレイアたんが俺に抱きついてきた。

 グヘヘッ。態度は大人っぽくなってきても、まだまだ可愛いところがあるじゃないの。

 ウヘッ、ウヘヘーッ。


 その後、俺のいる部屋にレオンとリズ、ドラドの3人もやってきた。

 3人とも、そろって不安な表情をしていたけど、やがて俺たちは気づいた。


「これ、兄さんの気配だよね?」

 最初に気づいたのはレオン。


「……そういえば、あの左指使ってる時のレギュレギュの気配だな」

 レギュレギュ曰く、前世の魔王だった時の左指。

 魔法の力で、前世の左指に変えてたって言ってたもんな。


 今、北から漂ってくるとんでもない力を持った魔力の気配は、それと全く同じものだった。

 気配が知り合いのものだったので、少し安心した。



「でもさ、レギュレギュって一体どこで何やってるんだよ」

 横暴暴力キングレギュレギュだけど、マジであいつの頭の中って訳分かんないからな。


 なんか滅茶苦茶ヤバい気配を漂わせまくってるけど、もしかして魔王にまたなって、世界征服でもするつもりじゃねえだろうな?


「……世界征服したら、オッパイ美女たちのハーレムも作れるかな?」

「ミカちゃん、縁起でもないこと言わないでください!」


 そんな俺に、ユウが突っ込んできやがった。


 ……オッパイのためなら、世界征服もありかも。

 そのためなら、レギュレギュについていってもいいかも?


 いや、ゴメン。

 俺オッパイ大好きだけど、元はただのサラリーマンなんで、世界征服とか無理です。

 ちょっと気の迷いで思っただけなので、マジで勘弁してください。


 だから俺をとんでもないことには巻き込まないで、レギュレギュお兄たまー!


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