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異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第3章 第2拠点と不死者(アンデット)
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175 作業の割り振り

 ドナンとの話し合いも終わったので、僕たちがいないとできない作業をこれからしていくことにしよう。


 前回の出だしと全く同じ文面だね。


「さて、君ら黙ろうか」


 ――グゴゴゴゴゴッ


 ミカちゃんとユウ、それとおまけの女レイスを交えた三つ巴(?)の争いが繰り広げられていたけれど、僕は問答無用で重力魔法を放つ。


 ドラゴニュートでも抵抗できないくらい力を込めたので、

「グベシッ」

「ウギャッ」

 ミカちゃんとユウの体が地面に吸い付けられて、動けなくなる。

 なお、女レイスは霊体なので、重力魔法は効かない。


 とはいえこの女レイスは僕に対しては反抗する気力もないので、顔を真っ青にして黙ってしまった。

 もう死んでいるのに、顔を真っ青にするとか器用なことをするレイスだね。



 ――ミシミシ、バキバキ


「おっといけない。あまり強くしすぎると床の劣化黒曜石が割れちゃう」

 重力魔法をかけ続けたせいで、劣化黒曜石の地面に、クモの巣状の亀裂が入ってしまった。


 あーあ、ここはあとで修理しないといけないな。



 それはともかく、

「静かになったことだし、全員注目。今日はこれから皆にしてほしい作業があるから、話を聞いてくれ」

 そうしてみんなが静かになると、僕はこれから兄弟にしてもらいたい作業を割り振っていくことにした。



「ヒ、ヒドイ。俺たちを静かにさせるためだけに、魔法攻撃してくるとか……」

「ううっ、僕は悪くないのに、どうして僕まで兄さんの暴力支配に合わないといけないんだ……」

 なお、地面に突っ伏したままのミカちゃんとユウが何か言っているけど、僕は何も知らない。




 この後、僕は兄弟たちに作業を割り振っていった。


 まずフレイアとレオンの2人は、拠点に残って今日の晩御飯を作ってもらう。

 この周囲にあるゴブリンの拠点をシャドウたちが潰して回っていて、その時に倒したゴブリンの死体をこの拠点に運び込んでいたりする。

 これを僕たちのご飯にできた。


 肉は生のままでもいいけれど、料理にするともっと美味しいよね。

「やっはり肉は焼いた方がおいしいですわね」

「じゃあ焼肉にする?」

 料理を任せたフレイアとレオンは、さっそくそんなことを話していた。




「次にリズだけど、拠点に備蓄していた予備の劣化黒曜石が残ってないから作っておいてくれ。それと劣化黒曜石は重たいから、できたやつはドラドが運んでくれ」

「わかりましたレギュラス兄上」

『はーい。それとここも修理しておかないとね』

 ドラドの言った"ここ"というのは、もちろんたった今僕が重力魔法を放って罅を入れてしまった箇所のことだ。


「すまないね、余計な仕事まで増やして」

『大丈夫。レギュ兄はよく物を壊してるから、これくらい修理するのなんて簡単だよ』

「……」


 ドラド、今のセリフは何?

 僕、そんなに物は壊してないと思うけど。


 ……でも、ミカちゃんを沈めるたびに自宅の壁や床が陥没したりしてたか……。


 僕のせいじゃなくて、ミカちゃんがアホすぎるのがいけないんだけどねー。


 まっ、いいか。

「それじゃあ、修理も任せたよ」

『はーい』

「了解しました」

 ドラドは元気に、リズも素直に了承してくれた。



「で、ドナンはここの責任者だから拠点に残しておくとして、僕とユウは近くにいるアントを狩って、アンデットにしてこようか」

「アントですか?」

「そうだよ」


 アントをアンデットにすることを不思議そうにしているユウ。

 すでにこの拠点には十二分にスケルトンはいるからね。ただし、その中でアンデットアントの数は極端に少ない。

 そういえばユウには説明していなかったっけ。


「実はアンデットが増えて、拠点が手狭になってきてるんだ。そこでドナンと話し合って拠点をさらに拡張することにしたんだけど、アントって穴掘りが得意なんだ。だから、作業用にアンデットアントを確保しに行こう」

「それは分かりました。でも、兄さんって相変わらずアンデットをただの道具としか見てないですよね」

「正確には道具でなく労働力だけど」

「……」

 ユウよ、なぜそこで黙ってしまう。


 アンデットは眠ることも疲れることもないから、本当に優秀な労働力なんだよ。

 ただ知恵がないアンデットの場合、ドナンみたいに指示できる知能のある奴が上にいないとダメだけど。



「それとミカちゃんだけど……」

「俺はこここで神像を彫っているぜ」

「あ、分かった」


 ミカちゃんに指示を出そうとしたら、ノミを片手にさっきまで彫っていた劣化黒曜石の塊へ向かっていた。


「モテなくてもいいんだ。それよりも胸だよ胸。グヘヘヘッ、煩悩の神様と巨乳神様が、俺に力を分け与えてくださるー!」


 ……これは関わらない方がいいな。

 ミカちゃんのことは、放置しておこう。




「主よ、我々はいかがいたしましょう?」

 あと、作業を割り振っていなかったシャドウたちが尋ねてきた。


「ん?お前らはいつも通りにしていたらいいぞ」

「えっ、それだけですか?」

「それだけだ」

 シャドウに特に何かさせるなんて考えてなかったので、僕の答えはそれだけ。


 ――ガーンッ

 って感じで、シャドウたちが呆けた面をしているけれど、だからって僕は何も思わない。

 まあ、見た目が地球外生物の怪物面した奴らなので、呆けた面も何もないんだけどね。



「てことで、みんな作業に移ろうか」

「オーッ」

 兄弟たちが元気に応える中、シャドウたちがガックリと肩を落としていた。



 ただ、一応シャドウのことも気にしておく必要があるか。

「ドナン、お前は普段こいつらに何をやらせてるんだ?」

「基本的にスケルトンたちを統括させて、周辺のゴブリンの巣を掃討させております。あとは拠点の警備で、スケルトンたちに指示を出させたり……」

「ふむふむ。つまりは現場監督みたいなことをさせているわけか」

「はい。こう言っては何ですが、スケルトンどもは頭が悪くて、命令がないとろくな作業ができません。その点シャドウは優秀ですから」


 ドナンが拠点の責任者として全体の采配をとっているなら、現場で指示を出しているのはシャドウたちというわけか。

 やっぱり、知能のあるやつが上に立つと便利だね。


 今まではバカなスケルトンたちしかいなかったせいで、僕らがいなくなるとほとんどろくな作業ができなかったからね。

 その点、ドナンとシャドウを獲得できたおかげで、第2拠点のことを安心して任せることができる。


「お前らにも期待しておくぞ」

「ハッ、ハハアーッ。偉大なる主よ!」

 僕がちょっと声をかけてあげたら、それだけでさっきまでガックリとうな垂れていたシャドウたちが元気になった。


 ……こいつら、知能はあるけどチョロくないか?


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