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異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第3章 第2拠点と不死者(アンデット)
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173 レギュラスと中間管理職ドナン

 第2拠点に到着して、悪趣味な玉座の間に辿り着いたけれど、この後の僕たちの予定は自由行動だ。


 一応狩りの旅をしているわけだけど、この辺りで僕たちと戦闘と呼べるのレベルの戦いが起きることはない。

 一方的に弱いモンスターを狩るだけだ。


 以前フレイアがマジ切れして太陽魔法をぶっ放していたけれど、あれはフレイアだけが例外でなく、僕の兄弟全員にあれだけの戦闘能力があった。

 なので、そもそも僕ら兄弟とまともに戦いになるモンスターなんて滅多にいないだろう。


 このような状況だと、僕たちがわざわざ狩りにいく意味もあまりない。



 それはともかく、僕は難しい話し合いがあるので、ドナンと再び仕事に関しての詰めを行っていく事になる。


「ククク、俺猛烈にいいことを思いついたぞ」

 仕事の話はドナンの部屋ですることにして、僕は悪趣味な玉座の間を出ていく。けれど玉座の間から出ていくとき、ミカちゃんがエロ丸出しのおっさん顔で何かつぶやいていた。


 ……気にしないよ。

 気にするだけ無駄だ。

 相手はミカちゃんだから。



 そうしてドナンの部屋で話をしていく。

 まずはドナンからの報告で、

「ゴブリンの放牧計画ですが、残念ながら失敗してしまいました」

 との事。


 僕たちドラゴニュートは、燃費が悪くて食べてばかり。

 狩りの度にこの辺りで狩っているモンスターの数がとんでもない。このままでは数年もしないで、この辺りのモンスターは絶滅してしまうだろう。

 普通の肉食動物だったら、1か所の狩場に留まらず転々と移動することで、地域ごとの動物が絶滅しないようにするけれど、今のところ僕たちは自宅を中心に生活しているので、そこまで広い範囲を移動していない。


 マザーも自宅を変える予定はないようなので、この辺りのモンスターは近いうちに絶滅に追い込まれてしまうだろう。

 それを避けるためには、放牧をするしかない。


 歴史でいえば、食料を求めて放浪して回る狩猟時代から、牧畜を覚えて定住型の時代へ移らなければ。



「初めてだからしかたないか。今はまだ試験段階だから、ゴブリンを再度捕獲して、繁殖できないか実験を進めておいてくれ」

「御意」


 ゴブリンの繁殖の仕方?

 そんな方法知らないよ。

 僕の中では、ゴブリンは未だに前世の考え方のままなので害獣扱いだ。餌を与えておけば、勝手に増えるものだと認識している。

 もちろん、本気で放牧に取り組むなら、もっと研究もして考えるけれど、そういうチマチマしたことは僕よりも、中間管理職に丸投げしてしまえばいい。


 あとはドナンが自分で考えるなり、シャドウを使うなりして何とかするだろう。

 こういった雑事をさせるために、僕は第2拠点を用意して、さらにドナンをわざわざリッチにして勧誘したのだから。



「そうそう、そう言えば西の平原に一角兎(ホーンラビット)がいたから、あれの放牧も試しておいてくれ」

「ホーンラビットですな、分かりました」

 今回、生きた一角兎(ホーンラビット)は連れてきてないけれど、この第2拠点は管理人であるドナンを頂点にして、シャドウとスケルトンたちがわんさかいる。

 奴らに生きたまま捕まえてこさせ、あとは放牧の試験をさせればいいだろう。


「ただホーンラビットは穴を掘る習性があるので、この拠点内で育てることになると、穴を空けられて問題になりそうですが」

「ドナン、そんなことまで僕がいちいち考えないといけないのかな?」

「そ、そんなことはございません」


 兎が穴掘りを大好きなことくらい僕だって知ってる。

 だけど、そんな対策ぐらい自分で考えようよ。頭スカスカの骨だけスケルトンと違って、君はリッチなんだ。

 脳味噌はとっくの昔に腐って残ってないだろうけど、少なくともスケルトンとは比べ物にならない知識と知恵はあるはずだ。

 単純労働しかできないゴブリンスケルトンと違って、頭脳労働を任せられるアンデットがいると丸投げできるから便利だね。


 ちなみにホーンラビットを拠点内で飼育するなら、天井と床、壁を全部劣化黒曜石で覆ってしまえば、さすがに穴が掘れないだろう。




「そう言えばドナン、あの悪趣味な部屋に劣化黒曜石の柱とかあったけど、あんなのいつの間に用意したんだ?」

 劣化黒曜石の事を考えたので、ついでに尋ねる。


 玉座の間に並んでいた列柱は全て劣化黒曜石製だったけれど、あれを作るためには最低でも土魔法と重力魔法を同時に使いこなす必要がある。


 魔力が有り余ってるドラゴニュートの僕やリズなら出来ることだけど、リッチの魔力で劣化黒曜石を作れるとは思えない。

 少なくとも、あの玉座の間に立ち並んでいた柱の分を用意するとなると、リッチの魔力では何カ月も必要になるはずだが。


「実は拠点内に劣化黒曜石の備蓄がございましたので、それを運んで使用いたしました」

「へー、ちなみにスケルトンたちで運んだかの?」

「スケルトンどもでは力不足でしたが、シャドウたちは恐るべきパワーを持っておりまして。我らの主様の為であると言えば、シャドウたちも嬉々として運び出す作業に協力してくれました」


 劣化黒曜石の備蓄って、拠点改修工事をした時に、リズとドラドが用意していた分の余りかな?


「その在庫は今もあるのか?」

「いえ、それが玉座の間でほぼ使い切ってしまいまして、残りは柱1本分もありません」

「それ、補修用の資材だぞ」

「……」

「ちなみに僕たち兄弟以外で、劣化黒曜石を作れる奴ってこの拠点にいるのか?」

「おりません」


 劣化黒曜石の作成は、地味に高度な魔法技術が要求されるので、ドナンに作れなくても仕方ない。

 シャドウたちは、どうなのだろう?

 知恵があるとはいえ、あいつらは生まれたばかりの存在なので無理そうだ。あとで補修用の予備として、劣化黒曜石を幾らか作っておいた方がよさそうだ。




 この後僕たちの話は、アンデットの数が増えたことで、拠点を拡張する必要があるという内容へ移る。

 以前から第2拠点にいたスケルトンたちに、僕たちがいない間にドナンが増やしたアントたち。

 さらに今回の旅で、僕たちが再び土狼と砂蜥蜴のスケルトンを大量に作ったせいで、拠点内の部屋数が不足しているとのことだった。


「場所がないなら、骨どもは外に出ていろ!」

 なんて言えればいいけれど、そんなことしてたらこの場所がマザーに見つかりかねない。

 そうしたら、せっかくここまで大きくした第2拠点が、マザーの踏みつけで完全壊滅されてしまう。


「……そうだな、とりあえずこの周辺のゴブリン洞窟を潰して回ってるんだろう。全滅させた洞窟にまたゴブリンが住み着くと面倒だから、スケルトンをいくらか放り込んでおくか」

「はい。それとこの拠点自体を、さらに拡張しようと考えております」


 ドナンからの提案に、僕は無言で続きを促す。


「この辺りにある洞窟はアントが掘った後、放棄された洞窟にゴブリンが住み着いたものです。アンデット化したアントもいますので、これを使って拠点の拡張工事を行うことが可能になります」

 つまり、アントはアンデット化した後も穴掘りが得意というわけか。


「わかった、許可しよう。ただし、アントの数が不足しているな」

「シャドウに部隊を率いさせ、適当なアントの巣を潰させます。その後ワシの能力で、殺したアントどもをアンデット化しておきます」

「わかった。ただしお前の魔力でアントをアンデット化していくと、かなり時間が掛からないか?」

「1日に10体程度してたら、問題ございません」


 その後も、話を続けていた僕たち。

 しかし、1日に10体しかアンデットを作れないとか、リッチの能力って貧弱だね。

 あとでユウも連れて行って、アンデットアントを大量に作らせるか。

 もっともユウだとアンデット化させた後、勝手に動き回るので、僕が教育する必要がある。

 結局、僕もそれに同行しないといけなくなりそうだ。



「ところで気になったが、今のリッチの状態で1日に10体しかアンデットを作れないと言ったよな?」

「左様ですが、それが何か?」

「お前さ、以前アントの巣を丸々一つ支配していたみたいだけど、その時支配していたアント軍団を作るのに、一体何年の時間をかけたんだ?」

 ユウたちの話では、以前の敵対していた時のドナンは、数百体のアント……300から500のアント軍団を従えていたそうだが、その時のアントは全てドナンによってアンデット化されて操られているものだった。


 ただあの時のアンデットアントたちは、全てレイスだった時のドナンが作った物だ。

 リッチとレイスだと、保有している魔力量に違いがあり、レイスの方が格下になる。

 今のリッチの状態でも1日に10体しかアンデット化できないのに、レイスの頃に、アントの巣を支配していたとなると……。


「さて、どれだけ時間をかけたか分かりませんな。あの頃は日の当たらない地下暮らしでしたので、時間の感覚がありませんでした。それに肉体が死んでからというもの、時間を気にする必要もありませなんだ。ですので、アンデットを1体作ったら、魔力が回復するのを待って、また1体と増やしていっておりました。今では1日に10体も作れるので、あの頃とは比べ物にならないほど速いですな。ワハハハハ」


 多分、数年とか何十年もかけて、アントの巣を支配したのだろう。

 アンデットって既に死んでるから、生きている人間に比べて時間の感覚がズレまくってる。


 それにしてもそれだけの時間を、よく飽きずにアンデット作り励んだものだ。

 この爺さんって、意外と根気があるのかもしれない。


 まあ、死んでいたので他にすることもなかったのだろうけど。



 そんな話もしつつ、ドナンが皮のなめし作業の仕方も知っていたので、今まで僕たちが自宅でしていた作業を、第2拠点に任せることにした。


 マザーが持ってくる皮を第2拠点まで運ぶ必要があるけれど、小量だったら自宅に設置した転移魔法陣(ワープゲート)があるので、それを使って運べばいい。


 ただ、僕の魔力がゴリゴリ減らされるけどね。


あとがき



レギュ「うおっしゃー、中間管理職がいるとメチャクチャ楽できるー!」


ドナン「ワシはリッチのドナン。スケルトンとは違うのですぞ、スケルトンとは!」

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