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異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第3章 第2拠点と不死者(アンデット)
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172 どこからどう見ても魔王の玉座

 さて、今回の旅でもスケルトン軍団を増設しているけれど、一角兎(ホーンラビット)はさすがにスケルトンにしても使い道がなかった。


 群れでの狩りが出来る土狼や、体の大きさからくる戦闘力のある砂蜥蜴と違って、ホーンラビットは体が小さくて、戦闘も狩りもできない。

 おまけに散々使えないと扱き下ろしているゴブリンにしても、手先はそれなりに器用だった。けれど、ホーンラビットにはそれすらない。



 試しにホーンラビットの骨を使ってスケルトンも作ってみたけれど、

「美味しそうですわ」

『モグモグ、おやつー』

 小動物スケルトン相手に、可愛いなんて感想すら抱くことなく、フレイアとドラドがあっさりおやつ扱いして食べてしまった。


 まあ、小さくてもスケルトン相手に可愛いなんて感想を抱く女の子がいれば、そっちの方が怖いけど。


 それにしても、相変わらず我が家の女子たちは、スケルトンをただの食べ物としか考えてない。


「ボリバリゴリゴリ」

 なお、性別が一応女の子のミカちゃんは、砂蜥蜴の骨を口の中に突っ込んでいる最中だ。


「ちんまいのより、でかいほうが食べごたえがあっていいな」

 性別が一応女の子でも、中身は所詮おっさん。

 男らしく豪快におやつの骨を齧るのだった。




 ところでこんなことをする一方で、ホーンラビットの毛皮は剥ぎとっているし、砂蜥蜴バジリスクの方も、鼻の奥にある石化毒の袋を収集している。


 毛皮は服などに使えるから取っておかないといけないし、毒の方は、後日瓶詰にして石化毒爆弾にしたり、解毒剤を作ったりする予定だ。


 僕たちには石化毒が効かないけど、作っておいて損はないと思うんだ。

 まあ、家でのちょっとした時間つぶしを兼ねてもいるけど。



 とはいえ現状では時間潰しどころか、労働力が足りてなくて、僕が自宅で使える時間が全くないのが現状だ。

 自宅に戻れば最近はデネブに体を貸したままで、僕自体が出来る作業はほとんど何もない。


 第2拠点を拡張することで労働力が増えていってるので、そこで出来る作業を割り振っていって、僕にかかる負担を減らしていく事にしよう。


 せっかく労働力があるのだから、彼らがこなすべき労働を割り振るのが、上に立つ人間の義務だ。

 それに僕にばかり負担がかかって、ボトルネットを作っているのは労働効率的によくない事だからね。






 そうしてなんだかんだで、僕たちは西の平原から北の平原へ、そして第2拠点へ辿り着いた。


「おかえりなさいませ、我らの偉大なる主。そしてご兄弟様方」

「出迎えご苦労」

 僕たちが到着するとともに出迎えてくれたのは、第2拠点の管理を任せたリッチのドナン。彼を筆頭にしてシャドウの3体と、おまけでレイスもいる。


 なんだっけ、このレイス?

 ああ、そう言えばドナンをリッチにした時に一緒にいたレイスだけど、存在が薄かったので忘れてたや。


 そしてその後ろには、ずらりとゴブリンスケルトンとアンデットアントたちが整列していた。

 スケルトンの方はただの骨だけど、アントは黒い外骨格をしていて、まるで黒い全身鎧を纏った騎士のような姿だ。

 ただ残念なのは、ここが未だに文明と関係ない場所であるため、剣や槍を構えているわけでなく、ただの素手状態ということだろうか。


 100を超えるスケルトンとアントが整列して並ぶ様はそこそこ壮観で、しかもその全てが僕たちに対して跪いていた。



「出迎えご苦労とか……時代劇とかでしか聞いたことがないのに」

 なんて呟くユウ。


「フハハッ、俺様は偉い、偉いのだー」

 ミカちゃんの方は、機嫌よく尻尾をブンブン振っている。

 他人から頭を下げられたことが、今までなかったんだろうね。


「あら、なんだか気持ちいい光景ですわ」

 フレイアは居並ぶ下々(アンデット)たちの姿に、まんざらでもない様子。

 だけどフレイア、頼むから悪の女王様みたいな性格にならないでくれよ。


「わー、凄いねー」

『ネー』

 暢気者レオンとドラドの感想は、本人たちの性格もあってかなり暢気。


 そして最後にリズだけど、

「レギュラス兄上には当然の対応です」

 と言っていた。

 どうやら自分(リズ)に対して頭を下げられているのではなく、僕に対してアンデットどもが跪いていると受け取っているようだ。



 ちなみに僕は前世では魔王だったし、最初の世界では第4王子なんて身分にあったので、このくらいの対応をされても慣れてるけどね。


「じゃあ、拠点の中に入るか」

「お供をいたします」

 居並ぶアンデットたちはいいけれど、ここで突っ立っているわけにもいかないので、拠点へ入る。

 僕たちの後には、ドナンとシャドウが続いた。




 さて、拠点にの中に入った後だけど、僕たちが今回獲得した荷物はアンデットたちが受け取って、代わりに運んでくれる。

 ドナンに指示を出して、荷物の整理を命じれば、シャドウの1体と数体のアンデットたちが、その作業に入ってくれた。


 ここにいるアンデットたちは知恵がないけれど、それを指揮するシャドウにはちゃんとした知恵があるので大丈夫だろう。

 いくら単純労働が出来るアンデットがいても、やっぱりまともな脳みそがついている管理職がいないとダメだよね。



 そして僕たちは、ドナンに拠点の中を案内されつつ、例の玉座の間へ通された。


 相変わらず趣味の悪い、黒一色の玉座の間。

 もっともこの部屋は劣化黒曜石で覆われていて、その作業をしたのは、僕とリズとドラドだったけどね……。


 ただ、この部屋の中には天井にまで届く黒い列柱が立ち並び、そこには何やら禍々しい悪魔を形どった装飾がなされている。

 前回転移(ワープ)で来た時は、彫刻が途中だったけど、もう完成させていた

 そして部屋の最奥には、玉座が相も変わらず置かれていた。取っ手の部分にガーゴイルの顔があって、物凄く趣味が悪い逸品だ。


「……そういえば前回聞き忘れたけど、ここの彫刻は誰がしたんだ?」

 玉座や列柱に施されている数々の彫刻の事だ。


「それでしたらワシがしました。生前の話ですが、ワシの実家は彫刻をしてましてな、子供の頃に父親から叩き込まれていたので、このような作業は得意なのです」

「そういえば、ドナンはドワーフだったな」

 "だった"という過去形なのは、現在では死霊のリッチと化しているからだ。


 それにしてもドワーフが石に彫刻を施すのは種族的に分かるけど、死霊のリッチがやると、なんだか奇妙な気がする。

 リッチなんてのは、だいたい暗い場所に1人で籠って、魔導の研究にのめり込んでいる、根暗ボッチ野郎が多い。

 ドナンの場合は、生前がドワーフだったせいで、研究より彫刻に拘ったのか。



「我が主よ、どうか玉座へご着席ください」

 そしてここまで案内してきたドナンは、僕に対して、部屋の最奥に置かれている玉座を指し示す。


「うわー、レギュレギュが魔王だ」

「どう見ても魔王ですね」

 ミカちゃんとユウが声を揃えている。


「なんだかわかりませんが、玉座ということは王様の座る席ですわよね。フフフッ、さすがはレギュラスお兄様」

「レギュ兄さん凄ーい」

 フレイアとレオンがそう言う。



 だけどさ、

「嫌だ、あんな悪趣味な玉座に座るなんて!こんなの座れるか!」

 僕は蹴りを1発。玉座の背もたれ部分を蹴りで破壊した。


「なっ、レギュラス様、ワシのせっかくの最高傑作がー!」

 ドナンには悪いけど、こんな悪趣味な椅子に座るつもりなどない。


 だいいち、

「お前さ、僕がドラゴニュートなのを分かってる?僕には尻尾と翼があるから、背もたれがあると座れないんだよ」

 ついでに手すり部分の気色悪いガーゴイルの顔も拳で握り潰しておく。

 それから僕は、ボロボロになった玉座に腰を落ち着けた。


「よし、これで座り心地がだいぶ良くなった」

「Noー、ワシの3時間の苦労がー」

 僕はこれでいいと思うけれど、ドナンはガックリ膝を折っていた。


 もっとも、

「なんだ、たった3時間か。あの程度で最高傑作と抜かすとは、変態筋肉胸親父は大したことないな」

 なんて言って、ミカちゃんは突っ伏してるドナンを嘲笑っていた。



 ……この2人、胸に対しての執着が強い同類だから、ライバル意識が強いんだよね。


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