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異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第3章 第2拠点と不死者(アンデット)
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170 第5回狩りの旅

 さて、やって参りました第5回狩りの旅。



 前回の狩りの後自宅に帰ってからは、転移魔法陣(ワープゲート)の研究と実用化に取り組んでいた僕だけど、それだけで時間を使い果たして再び狩りの旅になった。


 基本的に狩りの旅は1週間から10日間ほどかけて行い、それから自宅に帰ってから次の狩りまでに1週間から10日の期間を置いている。


 日本の仕事みたいに毎日会社に出勤するわけでなく、一定期日数をかけて狩りを行い、数日は自宅で休憩をとってというライフスタイルになっている。

 ちなみに、日本の会社は毎日出勤が常識でしょう?

 僕が日本人だった時に経営していた会社は、そうしていたし。


 それはともかく、今回の自宅にいる期間は、研究に掛けたことで使い切ってしまった。

 とはいえ、それだけの期間で転移魔法陣(ワープゲート)を完成させたのだから、十分な成果と言っていいだろう。

 ただ現状では燃費が悪いので、転移魔法陣(ワープゲート)を使って、自宅と第2拠点を行ったり来たりというのはまだまだ難しいのだけど。






 それはさておき第5回狩りの旅だけど、今回も自宅西側に行って、そこで土狼や砂蜥蜴(バジリスク)を狩っていき、その後時計回りに移動していって、自宅北側の平原へとでる。

 ここらへんで遭遇するモンスターは既に僕たちの相手にならない雑魚ばかりなので、相手をするのは簡単だ。


 なお、僕たちの目的は戦闘をすることではなく御飯を得ることなので、RPGの如く強いモンスターと戦ってレベルを上げるなんて作業とは無縁だ。

 むしろ食べることだけ考えるなら、戦闘より放牧を出来るようになるといいね。



 そして狩りをしてご飯を食べたら、毎度恒例のスケルトン作成タイムだ。


「ウーガー」

「……ユウ、お前の作るスケルトンは相変わらずガーガー煩いな」

「すみません。ていうか、兄さんのスケルトンが異常なんですよ」

「異常って何が?」

 とりあえず僕の方に向かって、ユウの作った土狼のスケルトンが突撃をかましてきたので、そいつ額に指を突き立てる。


「お前はもう苦しむことも、悲しむ必要もない。これからは寝ることも、休むことも、食事をする必要すらなく、ただひたすら労働に従事し続ければいい。生きていた頃の辛さはすべて忘れて、考える暇すらなく働き続けられるぞ」

 ちょっと説得してあげたら、それだけで僕に突撃かましてきたスケルトンはカクッと頭を下げて、身動き一つ取らなくなった。

 気のせいかスケルトンの既に死んでいる目がさらに光を失って、地獄の底を這いずっているような暗い色彩を帯びる。けれどこれは、これからの労働に対する喜びからだろう。


 そうそう、働き続ければキラキラと目が輝くことはなくなるから。ギラギラなら、僕も寝不足の時にいつもしていたし。


「よし、教育終了」

「……だから、そうやってスケルトンを黙らせるのが異常なんですよ」

「ユウ、僕には君が何を言っているのか分からないよ」

 ユウの顔が引きつっていたけれど、僕にはユウが何を言っているのか本当に理解できない。


「No、ブラック労働Noー。異世界に来てまでブラック労働とかNoー!」

 それとなぜか日本にいた頃は警備会社で事務をしていたミカちゃんが、青い顔をしながら首を横に振り続けていた。


 全く、何を言ってるんだか。

「異世界でもブラック労働は素晴らしいよね」

 僕が先ほど教育したスケルトンに尋ねれば、

 ――コクンッ

 と、スケルトンは素直に首を縦に動かした。


「ほら、こいつもこれからブラック労働が出来るって、とっても幸せそうだよ」

「嘘じゃー。絶対にレギュレギュが洗脳した結果だろう!」

 僕がしたのは教育と説得なのに、どうして洗脳扱いされるのかな?


 まあ、これから君は馬車馬のように働いてもらうので、安心していいよ。

 とりあえずスケルトンに対しては、心の中でそう語りかけておいた。






 こうして僕たちの食後に骨だけになった土狼と砂蜥蜴は、死後にスケルトン軍団として有効に活用されていくことになる。

 砂蜥蜴は体が大きいので、その分食べごたえがあるのだけど、生前の戦闘スタイルが土の中に隠れて獲物が来るのをひたすら待ち伏せるというものだった。

 なので、こいつらを僕たちの狩りで使うには、非常に使い勝手が悪い。


 一方、土狼は生前は群での狩りをしていたため、集団での狩りに非常に長けている。

 なので土狼スケルトンを放てば、こいつらは勝手に獲物を発見して、それを僕たちの所まで誘導してきてくれた。

 あとは、それを僕たちが狩っていく。


 この旅の目的の一つは、兄弟たちに戦闘経験を積ませることなので、雑魚相手とはいえ、兄弟たちの戦闘の練習相手に使える。



 戦闘になればミカちゃんは単騎突撃して、鈍器剣(ブルーメタルタートルソード)で次々にモンスターの頭を切り飛ばし、確実に相手の弱点部分に剣を叩きこんでいく。

 相手が弱いとはいえ、一撃一殺を行うので恐ろしい剣の使い手だ。

 前世のVRゲームでの戦闘経験がそれを可能にしているらしいけど、プレーしていたVRMMORPGでは、PvP(プレーヤ・バーサス・プレーヤ)のキル数で年間トップになったこともあるそうだ。


 極めたゲーマーってのは、なんだか怖いものがあるね。


「ワハハハッ、メシじゃ、メシじゃー」

 なお元ゲーマーのミカちゃんは、敵を切り飛ばしながらそれを完全に食べ物としか認識していなかった。

 事実、食べ物なので僕からは何も言うことはないけど。


 このミカちゃんの弟子であるユウも、鈍器剣(ブルーメタルタートルソード)を片手にモンスターと戦う。

 まあ、ドラゴニュートの戦闘能力が高すぎるので、相も変わらず一方的な蹂躙戦だ。

 ミカちゃんが突撃タイプなのに対して、ユウはどちらかと言えば立ち止まって敵が来るのを待つタイプのようだけど、敵が射程内に入った瞬間、剣が目にもとまらぬ速さで動いて、モンスターの首を切断している。

 ドラゴニュートが強いってのもあるけど、それでも刃のない鈍器剣でモンスターの首を切り飛ばしているから、ユウの剣の腕も、大概常識離れした領域に辿り着いてる。


「今日は少し調子が悪いかな?」

 なお、昔はモンスター1匹殺すのもためらったり、気分を悪くしていたのに、今ではそんなことを言っている。

 調子が悪いのは剣の切れ味の事らしいけど、ここまで来たらユウもまっとうな日本人には戻れないだろうね。


 目が、ハンターの目になってるよ。



 そしてリズは、僕が作ったハルバートを振り回している。

 一振りすれば、土狼が一度に3体くらいまとめて体が切断されてしまう。二振り振るえば、土狼が6体切断されてしまう。

 たまに突きを交えて攻撃すれば、土狼の顔面を穂先が貫通し、顔面が弾け飛んでいた。

 情け容赦がない戦い方だね。


 まあ、僕らにとってこれは戦いではなく狩り。

 ご飯を得るための行為だけど。



 そして今回ドラドは、変身(メタモルフォーゼ)でドラゴニュート形態になった状態で参戦。

 変身(メタモルフォーゼ)を維持したままだと、集中力が欠けた時に元の姿に戻ってしまうので、戦闘では問題がある。

 けれど、ドラドがメタモルフォーゼを維持し続けるのが、物凄い速度でうまくなっているので、今回はドラゴニュート形態のまま狩りに連れてきた。

 この辺のモンスター程度なら、ドラゴニュート形態のドラドでも特に危険はない。


 ところで僕たち兄弟の中では僕とミカちゃん、ドラドの3人の背が低く、その中で一番弱そうに見えるということがあって、土狼の一隊がドラドに襲い掛かってきた。

 けれど、

岩槍(ロック・ランス)

 ドラドが魔法を唱えると共に、ドラドの周囲の地面から槍の穂先ように尖った岩が、次々に空へ向かって飛び出し、包囲しようとしていた土狼の体をまとめて貫いた。


 というかさ、ドラドの周りに現れた岩槍(ロック・ランス)の数が、50本ぐらいあるように見えるのは僕の気のせいかな?

 あれはもう岩槍(ロック・ランス)のレベルを超えた、範囲型の攻撃魔法になってしまっている。


 そして、この後砂蜥蜴に遭遇した際の出来事だけど、ドラドは、

『フンッ』

 と鼻息を上げながら拳を打ち付けると、3メートルの大きさがある砂蜥蜴を、一撃で昏倒させていた。

 今はドラゴニュート形態だけど、元の姿はドラゴンだ。


 変身(メタモルフォーゼ)は変身先の能力の何割かが、元の能力に加わるという効果があり、例えば人間からドラゴンになると、その分能力が向上する。

 だけれど、ドラドのようにドラゴンからドラゴニュートになった場合、基本的に身体能力が落ちてしまう。

 とはいえ元の身体能力がドラゴンなので、ドラゴニュート形態にた状態でも、ドラドのパワーが僕たち兄弟の中で一番高いのだった。


 そんな拳に殴られれば、砂蜥蜴も一撃で昏倒するわけだ。



 あと、毎度のことだけど、

火球(ファイア・ボール)

 フレイアは炎魔法で、砂蜥蜴が潜んでいた砂場ごと炎で焼き払う。

 火球(ファイア・ボール)は、炎魔法の中では最下級の攻撃魔法なんだけど、今回フレイアの放った火球(ファイア・ボール)の直径は、50メートルを超えていた。


 ――ゴワッ


 そんな火球(ファイア・ボール)が地面に激突すると、爆発することなく砂地を覆いつくすように炎が広がっていく。

 砂が炎で熱されることで、その下に隠れていた砂蜥蜴"たち"の体も熱されていき、熱さに耐えられなくなった砂蜥蜴たちが地面に出てくる。


 けれど外に出ればそこは炎の海で、結局砂蜥蜴たちは炎の中から逃げ出すことができず、そのままこんがりと焼かれていった。


「ミディアムにしておきました」


 事もなげに砂蜥蜴の大量虐殺を終えるフレイア。

 それどころか、焼き加減にまで気を配っていたほどだ。


「肉汁がいい具合に滴って美味しいですね。肉の焼き具合が絶妙で、砂蜥蜴とは思えない美味しさです」

 フレイアのテクニックには、グルメリポーターリズが尻尾を振りながら感嘆の感想まで交えていた。


 ……戦闘でなく、狩りですらなく、フレイアにとってモンスターに遭遇することは、イコール料理することなのかもしれない。



「レギュラスお兄様も、召し上がってください」

「自分で食べられるから、いいよ」

 なお、ミディアムにした砂蜥蜴の肉を僕に差し出してくるフレイア。それはいいけれど、そのまま手渡しで僕の口に入れようとしなくていいから。



 そして我が兄弟の中で、最後になるのがレオン。

「氷の弾丸(アイス・バレット)

 魔法で氷の弾丸を放って、次々に土狼の体に氷の刃を突き立てていく。


 1撃2撃では致命傷にならないけれど、氷の弾丸の数は無限と言ってもよく、土狼の体に次々に刃がめり込んでいき、土狼にダメージを蓄積させていた。

 中には目や頭に直撃するものもあり、そういう時は土狼を一撃で即死させていた。


 さらに広範囲に氷の弾丸(アイス・バレット)をばらまくことで、レオンは土狼の集団に対して、ダメージを確実に蓄積させていく。


 この氷の弾幕を抜けてきた土狼がいたとしても、

「水の呪縛(アクア・バインド)

 拘束することに特化した水の塊で土狼の体を丸ごと包み込み、相手が窒息するまで水の中に押しとどめ続けた。


 なんだかエグイ戦い方だよね。

 まあ、フレイアなんて戦闘でなく、料理をしてるけどさ。




 こんな感じで、本日も兄弟たちは獲物を次々に狩っていき、それが御飯となって僕たちの胃袋に収まっていく。

 そしてその後は、さらなるスケルトン軍団の増設をしていった。


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