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異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第3章 第2拠点と不死者(アンデット)
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166 転移魔法は漢の夢(ロマン)

「兄さん大丈夫ですか?」

「クケケケ、今のレギュレギュならば、この俺でも倒せる。邪悪な魔王よ死にやがれ……グヘッ」

 さて、前回気絶したまま眠ってしまった僕。

 ドラゴニュートの体力を過信しすぎた結果、3日3晩の徹夜労働と魔力の消耗で、そのままぐっすり眠ってしまった。


「あー、よく寝たー。あれ、ミカちゃんも寝てるの?」

「兄さんがたった今ミカちゃんを沈めたんですよ」

「ふーん。ま、いいか」

 どうせミカちゃんだからね。

 何かしてこようとしたミカちゃんだけど、僕の体が反射でつい動いていたようだ。

 寝起きの状態だったから、力加減ミスったかもしれないけど、ミカちゃんだからそのうち復活するだろう。


「それより兄さん、ここ最近御飯の時以外は研究部屋に籠りきりですけど、大丈夫ですか?」

 正確には籠っていたのは僕でなく、デネブの方だけど、彼女とは一心同体なので、細かいことはいいか。


「実はこの3日間は、転移魔法(テレポート)について取り組んでたんだけど、計算式が結構厄介でね」

「テレポートって、魔法でできるんですか?」

「できるよ」

「……」

 ユウの顔が物凄く複雑な感じになっている。

 中身は18歳なんだから、もっと年相応に「マジかよ!」と、驚くなり喜んだりすればいいのに、年齢の割にこの子は大人だね。

 表現を変えると、醒めているとも言うか。


「テレポート。それはつまり、いつでもどこでも好きな場所へ移動できるという事。それすなわち、巨乳姉ちゃんの胸を、高い場所から覗ける超魔術だな!」

 ユウと話していたら、早くもミカちゃんが復活してきた。

 ガバッと起き上がってきて、なぜか僕の手を握り締めてくる。


「レギュ様、俺にもどうか転移魔法(テレポート)を伝授してください」

「ミカちゃん、相変わらず頭がおめでたいね……」

「あたぼうよ。覗き魔法の為ならば、俺は修羅の道でも突き進める!」

 この子、やっぱり本物だ。転移魔法と聞いて、それを即座に覗きと結びつけるなんて、本当に本物だ。


「もう嫌だ。このおっさんと僕が兄弟なんて、嫌すぎる!」

「兄さん、我慢してください。僕も我慢してるんですから」

「ユウ、お前もだったか!」

 そうか、お前もミカちゃんのことをそう思っていたんだな、同志よ。


「てかさ、お前らは俺のことを何だと思ってやがるんだ!?」

「真正のド変態で、野生児」

 ミカちゃんが抗議してきたけれど、即座に言い返してやった。


「……畜生、お前たちは"漢"じゃないんだ。胸にも覗きにも興味を示さないなんて、"漢"だったら3歳児までしか許されないことだぞ!」

「はいはい、勝手に言ってなさい。というかさ、ミカちゃんって前世は男でも、今世は一応女の子なんだから」

「ふふん、いくら体が幼女になろうと、俺のハートは"漢"であることをやめないぜ」

 胸の大きさを熱弁するくせして、自分には全くないまな板の胸を、堂々と突き出すミカちゃん。


 ド変態だから、仕方ないよね。

 いつものことだし。



「それよりレギュ様、なにとぞ(わたくし)めに覗き魔法の伝授をー」

 そんなことしている間に、ミカちゃんが露骨に揉み手をしながら迫ってきた。


 でもさ、

「言っておくけど、今回用意した転移魔法(テレポート)は、どこにでも自由に移動できるわけでなく、マーカーのある場所にしか飛べないよ」

「はい?」

「ちなみにマーカーは第2拠点にあるから、そこにしか飛べないね」

「……つまり、この魔法で覗きは不可能だと?」

「できるわけないでしょう」


 ――ガーン

 そんな効果音が聞こえそうな感じで、ミカちゃんが膝を折って、ガクリと床に倒れ込む。


「お、漢の夢が……」

「はいはい、勝手に言ってようか」

 これ以上相手をしても埒が明かないので、ミカちゃんの事は放置することにした。



「で、これから第2拠点まで飛んでみようと思うんだけど、せっかくだからユウも一緒に行ってみる?」

「飛んでみるって、そんな簡単にできる魔法なんですか?」

「いやいや、その準備の為に3日間もかかったんだよ。ちなみに、帰りの分も既に準備(けいさん)は終わってるから、向こうにも転移用の魔方陣を用意すれば、自宅へすぐに帰ってこれるから」

「それは凄いですね。でもファンタジーっぽいけど、これって完全に日本の技術レベル越えてますよね」

「まあまあ、そんな細かいことは気にしない」

 ユウってちょっと夢がなくない?

 子供っぽくないというか、変に醒めてる部分があるなー。



「よし、俺はもちろん行くぜ!」

 なお中身の年齢が30間近のおっさんは、尻尾をフリフリして転移魔法初体験に興奮していた。

 さっきまで膝を折って挫折していたのに、相変わらず立ち直りの速度が速い。



 そんなこんなで、僕とミカちゃん、ユウの3人で、第2拠点まで転移魔法で飛んでみることにした。


「ここにある魔方陣の上に乗って。あまり大きくないから、出来るだけ詰めて……」

「お、おい、押すなよ。俺の尻尾が魔方陣の中に入りきってないぞ!」

「兄さん、もっと大きくできないんですか?」

 転移魔法はいいけれど、今回用意したのは転移魔法陣試作第一号だ。


 複雑な計算の上に成り立っているのだけど、

「まだ大雑把な計算しかしてないから、飛ぶための魔力消費が多すぎてこのサイズなんだ」

「計算?」

「数式解いてから魔方陣を描かないと、転移に失敗するんだ」

「それって危険なんじゃ……」

「じゃ、飛ぼうか」


 ユウがまだ何か言ってるけど、問答無用で魔方陣に魔力を流し込んで起動。

 僕たちは研究部屋の一室から、第2拠点へ転移魔法で飛んだ。


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