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異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第3章 第2拠点と不死者(アンデット)
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155 黒い太陽とエイ○アン

『"染まれ"』

 唱えた魔法はそれだけ。


 その直後、フレイアの生み出す太陽を押さえつけていた影の呪縛(シャドウ・バインド)が、太陽の光を侵食していく。


 煌々と白く輝いている輝きが、闇の色へみるみる間に塗り替えられていく。

 その速度は驚くほど早く、キロに近い直径を持つ太陽が、白いから黒へと染められていった。


 白かった太陽が、黒い太陽として闇夜の中に浮かぶ。

 黒い色でありながら、そこからは確かに光がこぼれていて、世界を黒く染めていた。


 視界は黒く覆われるのに、それでも周囲をちゃんと視覚で認識することができる。


 世界の法則を書き換えるかのような、異常な事態だった。




「ファッ、なんじゃこりゃー!?」

 白かった太陽が、黒い太陽に変わってしまったことに、ミカちゃんが訳が分からないって顔をする。


「……あの兄さん。これって危険はないんですか?」

 僕のデララメ具合に慣れてきた節のあるユウは、魔法の現象に対してでなく、安全かどうかを気にする。


「フレイアー」

 あと、太陽を作り出していたフレイアは、先ほどまで全身から炎を上げていたけど、その炎が収まって、元の姿に戻っていた。

 そのままバタッと倒れたので、それに向かってレオンは走っていく。



『うっ、あっ、うああっ!』

『ヒエエエエッ!』

 ――ガダガダガダ!

 あと、外野のレイス2人とドワーフ骸骨は、腰を抜かして地面に尻もちをついていた。

 1名を除いて物理的な体はもうないのに、腰が向けるなんて器用な真似が良くできるものだ。




「とりあえず、ゆっくり話したいけれど……」

 その前にフレイアの魔力によって作り出されていた太陽を染め上げて、僕の魔力へと書き換えた。

 今、あの太陽魔法のコントロールは、フレイアから完全に僕へと移されている。

 かなり特殊な魔法を用いたけど、しかしこのまま放置しておくと、あの黒い太陽は自らが存在し続けるために必要な魔力を失って、いずれ消滅することになる。


 そうすればすべての問題が解決だけど、あそこには、フレイアの全力の魔力が込められていた。

 その魔力を、このまま消えていくのに任せるのも勿体ない。


 ――ギギギッ

 黒い太陽の魔力をどう処理しようかと考えていたら、どういう経緯でそこにあるのか分からないけど、ちょうどよくゴブリンスケルトンが地面に転がっていた。

 大方、太陽が巻き起こした風に巻き込まれて、この辺にまで吹き飛ばされてきたのだろう。


 僕かユウが作ったスケルトンなのは確実で、

『仕事ー、仕事ー』

 と、地面に突っ伏した状態で、今もしゃべり続けている。


 だから僕は、この辺りで生き残っているスケルトンたちに、黒い太陽の魔力を全て注ぎ込むことにした。


 丸く固まっていた黒い太陽の光が、空中で複数の帯へと形を変え、それがこの周辺にいるスケルトンたちへ向かって一直線に伸びていった。


 もちろん、どこの誰が作ったのか分からない、ドワーフスケルトンは対象外だ。


 ――グギッ、グガガガガガッー


 闇の太陽……そこから生まれた黒い帯状の魔力がスケルトンたちに降り注ぎ、白い骨の体に巻き付いていく。

 複数に分けられたとはいえ、膨大なフレイアの魔力が元となった闇の帯だ。

 スケルトンたちはその強大な力に耐えることができず、すぐさま骨が黒い塊になって、その後ボロボロと崩壊していく。


 そして物理的な体が崩壊して失われた後、骨とは全く違う、異質な黒い魔法物質によって体が再構築され、スケルトンたちは復活した。

 ただし、さっきまでのゴブリンスケルトンとは、色だけでなく形まで変わってしまった。



「やっぱり元がゴブリンじゃ、体がもたないか……」

 僕は肉体が魔法物質化してしまった、スケルトンたちを見ながら呟く。


 そしてこれら光景を見ているミカちゃんたちは、もはや言葉もなくポカーンと眺めているだけ。



光球(ライト)

 その後黒い太陽が消え去って明かりがなくなったので、代わりに僕が光魔法を使って周囲を照らすことにした。



「い、いだ、偉大なる……ある、主、よ」

 そうしたら、先ほど魔力を注ぎ込んだスケルトンたちが、僕の傍で片膝を付いて跪いていた。

 片言だけど、ちゃんと日本語で話している。


 なおこのスケルトン。いや、元スケルトンたちは、原型を捨て去って、昔あった映画エイリア○にそっくりな姿になっていた。

 黒い全身に、あばら骨が丸見えの体。2足歩行をし、4本の腕を持ち、後頭部が異様に長くて巨大な頭。

 全身から黒いオーラを発していて、禍々しさは元のスケルトンの比でない、化け物となっていた。


 なお、大変ムカつくことに、こいつら全員僕より背が高い!


 そして"こいつら"というのは、1体だけでなく3体いるからだ。

 こんな化け物が3体とも、僕に忠誠を誓うように跪いている。




「レギュレギュー、大変お聞きしたいのですがー?」

「何ミカちゃん?」

 なんだか今日のミカちゃんの声は物凄く間延びしていて、間抜けな声をしていた。

 もっともいつもの変態顔をされるよりは、凄くましだけど。


「さっきの太陽もだけど……そいつら何?」

「そいつらって、これの事?」


 コンと、地面に跪いているエイ○アンの頭を、僕は小突く。



「……そいつら見た目もだけど、滅茶苦茶ヤバイ気配放ってるぞ。頭なんか叩いていいのか?」

「ああ、大丈夫。こいつらは僕かユウが作ったゴブリンスケルトン……だったものだから」

「だったもの……というか、原形がまるでないんですけど?」

 さっきは間延びしてたけど、今度は敬語を使ってきたミカちゃん。

 これはそうとう驚いているみたいだ。



 ちなみに姿が完全に変わってしまった、エイリア○どもだけど、

「さっきまでフレイアが放ってた魔力を、3体に分けたからね。今のこいつらだけど、単純計算で1体につき、全力のフレイアの3分の1の力があるから」

「えっ、なにその化け物ども」


 ドラゴニュートも大概化け物じみた存在だけど、そんなドラゴニュートの実力の3分の1もあるのが、このエイリ○ンたち。

 ゴブリンやゴブリンスケルトンどもが束になってかかってきたところで、この○イリアンを倒すことはできないだろう。



「さっきのフレイアの魔力が勿体なかったら、勿体ないついでで作っちゃった」

「……勿体ないついでで、作っていい存在じゃないですよ!」

 僕としてはテヘペロ気分だけど、ユウに冷静に突っ込まれてしまった。


 いや、申し訳ないです。

 僕は思わず頭をかいて誤魔化した。


 まあ、この○イリアンどもは、その程度で誤魔化せるような連中じゃないけど。


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