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異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第3章 第2拠点と不死者(アンデット)
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142 ミカちゃんチーム、ゴブリン洞窟制圧へ向かう (ユウ視点)

前書き



 しばらくユウの視点で話が進みます。

 ユウです。

 僕とミカちゃん、それにフレイアとレオンの4人は、第2拠点近くにあるゴブリンの住処に行って、ゴブリンを全滅させて来いと指示されました。


 でも思うんだけど、これって完全に悪党のすることでは?

 相手はモンスターといえ、それでも見た目は人間の子供と変わらない大きさ。

 僕たちが脱皮をするまでの大きさと、あまり変わることがない大きさの相手だった。


 ううっ、やっぱり兄さんは魔王だ。

 考え方がおかしい。




 なんて思っていた時期が、僕にもありました。


「あら、お肉ですわ」

 ――ゴオオォォォォ

 道中、出会ったゴブリン20体をフレイアがファイア・ブレスを使ってこんがりと焼きあげていた。


「いい匂い……」

「フフフッ、ジューシーな焼き加減で焼いておきましたわ」

「メシだー」

 丸焼き状態にされてしまったゴブリンたち。

 その匂いにつられて、僕もついつい口の中に涎が溜まってしまう。


 フレイアは自信満々に胸を張り……うっ、相変わらずフレイアの胸は大きいな。

 えっ、ええっと、ミカちゃんの方は焼き上がったゴブリンに突撃して、早速齧り付いていた。


「ミカちゃん、ゴブリンの洞窟はいいの?」

「モグモグ、その前に腹ごしらえしておく」

「じゃあ、僕も食べるー」

 ミカちゃんに続いて、レオンもゴブリンの丸焼きに齧り付く。


「フフッ、ユウお兄様もどうぞ」

 僕はフレイアに手を引かれ、結局兄弟4人でゴブリンを食べることになった。


「モガモガー」

 相変わらずミカちゃんは食い意地汚く、次々にゴブリンを口に入れていってる。

 ゴブリンの手や足をちぎり取って、それをほとんど噛まずに胃袋の中へ。

 体に悪い食べ方をしていると思うけど、これがミカちゃんのいつもの食べ方だ。


「モグモグ、レギュ兄さんたちも一緒に来たらよかったのにねー」とは、レオン。

「そうですわね。せっかくだから、ゴブリンを何体か持って帰りましょう」と、フレイア。

「そうだね、それがいいね」

 フレイアの提案に、僕も頷いた。


 なお今回は僕たち兄弟4人以外に、ゴブリンスケルトンが50体ほど同行している。

 僕の作ったスケルトンだと勝手に動き回ってしまうけれど、これは兄さん作のスケルトン。または僕が作ったけれど、その後兄さんの教育という名の洗脳によって、意思のない人形と化したスケルトンたちだった。

 僕もアンデットは作れるけれど、死んでいるアンデットを洗脳するなんて兄さんの技術は、訳が分からない。


 洗脳前の動き回るアンデットたちは、

『俺はもっと生きたかった』

『死にたくない』

『肉体をよこせ』

 などなど、様々な恨みがましい声が聞こえてくる。


 僕以外の兄弟にはその声が聞こえないようだけど、多分それは僕がヴァンパイアの始祖の性質を持っているから……だと思う。

 ただ兄さんにはその声が聞こえていると思う。でも兄さんなので、完全に無視してそうだ。


 そして兄さんが洗脳したアンデットたちからは、恨みの声が聞こえてこない。

 ただし、

『仕事は楽しいなー。もっと激しくて、何も考えられなくなるほど忙しい仕事がしたいぜ』

『フフフッ、仕事に励み続けていれば、死んでいる苦しみすら感じられずに済むわ』

『むしろ、生きていた時の色々な辛い事とかも全部忘れられるよな。もっと、もっと、もっと働きてぇー』

 なんて声が聞こえてくる。


 ……兄さんは自分の事を元魔王と言っていたけれど、日本人だった時はブラック企業を複数経営しているとも言っていた。

 ……魔王より、ブラック企業社長としての兄さんのほうが怖い。

 どうやれば、恨みの声を上げるスケルトンたちを、こんな風にしてしまえるんだ。




「どうしたユウ、顔色が悪いぞ?」

「少し考え事をしていただけです。それより残ったゴブリンはスケルトンたちに運ばせ……」

 考え事をしていたらミカちゃんに話しかけられて我に返った。


「もう全部食ったぞ」

「へっ?」

 よく見れば、20体のゴブリンの丸焼きは、全てなくなっていた。

 僕、まだ1体しか食べてなかったのに……。


「ミカちゃんの食べる速度が、速かったですわ。私も、たった3体しか食べれませんでしたし」

「僕は4体食べたよー。途中で、ミカちゃんに横から取られちっゃたけど……」

 フレイアとレオンが言う。


「カッカッカッ、ちんたら食べてるレオンが悪い!」

 残りのゴブリンをがっついて食べたミカちゃんは、ない胸を強調して偉そうに威張っていた。


「美味しかったから、兄さんたちのお土産にしようと思ったのに……」

 僕はがっくりと肩を落とす。


「なーに、これからゴブリン洞窟に行くから、もっと手に入るさ。そいつらを持って帰ればいいだけだ」

「そうと決まれば、早くゴブリン洞窟へ行きましょう」

 僕とは対照的に、ミカちゃんとフレイアは全く気にする様子がなかった。


 ――ギギッ

 そしてそんな2人に合わせるように、スケルトンが骨を鳴らしながら頷いている。




 でも、僕たちだけでゴブリン洞窟に行っても大丈夫なのかな?

 僕もゴブリン相手なら戦えるようになったけれど、今回は兄さんがいなしい……。


 そういえばこの世界に来てからは、自宅の外では兄弟7人で常に行動していた。こんな風に二手に分かれて行動するのは、これが初めてだ。

 しかも、それが命の危険が伴う戦闘付きだ。



 なのに僕の不安を、ミカちゃんもフレイアもレオンも、ちっとも抱いてないようだった。


 僕の心配のし過ぎかな?

 他の兄弟たちに比べて僕は臆病なんだろうけれど、それでもここまで他の兄弟たちが暢気にしているのが、僕には少し不思議に思えた。


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