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異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第3章 第2拠点と不死者(アンデット)
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137 乳神様、再び

 ゴブリンスケルトンと違って土狼のスケルトンは足が速くていい。

 それに生前は群れでの狩りを行っていたため、死んでスケルトンになった後もその時の本能が残っていて、集団で狩りをすることができる。

 兄弟たちにとって、この辺りにいるモンスターはただの雑魚だけど、それでも戦闘経験を積ませておくのは無駄なことでないだろう。


 というわけで、以前土狼スケルトンたちに獲物を探させ、囲い込んで僕たちの所へ誘導させた時のように、今回も同じことをする。


 兄弟たちは誘導されてきたモンスター相手に、それぞれ好きなように戦い、本日も大量の獲物をゲットした。

 ゲットしたら当然食べるし、食べた後はスケルトン軍団として増強していく。


 兄弟たちが狩りに勤しんでいる間、僕は地面に転がっているグラビ鉱石の収集を行っていき、フロートリアカーにそれを積んでいく。

 手の空いたスケルトンにもグラビ鉱石の収集をさせたけど、残念なことにスケルトンはその辺に落ちている石を見境なく口に加えて集めてくるだけだった。


 グラビ鉱石も混じってはいるけど、ただの石が圧倒的に多い。

 ……狩りでは使い勝手がいいんだけど、もう少し頭が良くないと困る。


 とはいえ既にこいつらの頭には脳みそが詰まってないので、どうしようもなかった。




「ウヒャアアアーッ、乳神様じゃー!」

 なんて思っている間に、スケルトン土狼たちが平原にいるモコ牛を誘導してきていた。

 相変わらず羊の様にモコモコした体毛に覆われているモコ牛だけど、その中にチラチラと体毛がなくなっている個体もいた。

 以前僕たちが毛を剃ったやつだろう。


 あれからまだひと月ぐらいだから、体毛が完全に生え変わってないようだ。


 そしてミカちゃんは、毛を剃った1体の方へ全力疾走していき、

「マミー」

 と言いながら、1体のモコ牛の乳に口をつけていた。


「ウグウグウグ、マミー。ミルクミルクー」

「ブモォーーー!」

 乳牛で有名なホルスタインのように巨大な乳だ。

 乳首に引っ付かれて、モコ牛が足をジタバタさせて抵抗しているけど、ドラゴニュートパワーゆえか、はたまたミカちゃんの変態エロパワーゆえか、暴れるモコ牛の抵抗を無視して、ミカちゃんはひたすらモコ牛の乳に食らいついている。


 変態パワー、恐るべし!


「ミルクー」

 なんてやってるミカちゃんの傍で、レオンも似たようなことを始めていた。


「クッ、この乳お化けが……」

 一方フレイアは、自分の胸を両手で押さえながら、モコ牛の乳を睨みつけている。

 その瞳には、殺気までこもった憎しみがこもっていた。



 ……うちの兄弟は、完全にミカちゃんの毒に汚染されてしまっていた。




 しかしまあ、それはそれ、これはこれだ。


 僕たちの生活では、飲み物と言えばいつもレオンの出す水しかない。

 あとあると言えば、獲物についているモンスターの血がないわけでもないけど、どのみちあまり飲料物の種類がない。


 モコ牛の出すミルクは、僕たちの生活では非常に貴重な飲料と言えた。


「今回は革袋も用意してきたから、それにモコ牛のミルクを入れておこうか。

 氷らせておけば、しばらく保存も効くだろうし」

 自宅までモコ牛を連れ帰っても、周辺に草が生えてないので飼育することができない。

 なので革袋にモコ牛のミルクを入れて、それを魔法で冷却することで、しばらく持つようにしておく。


「冷やしミルク……ヌフフフッ、直の温かいミルクも素敵だけど、アイスミルクもエロくていいな……グゲーッ」

「おっさん、あんたの頭はどんだけイカレテるんだ!」

 エロ親父ミカちゃんに、天誅を下しておいた。


 まあ、死んではいまい。

 ちょっと冗談抜きで力を込めたから、白目を剥いて魂が抜けたような顔をしているけれど、どうせ放っておけばそのうち復活するだろう。


「うっ、うわああっ。ミカちゃんの顔に死相が浮かんでる」

「大丈夫だよ、どうせミカちゃんだから」

「兄さん、いくらミカちゃんでも、さすがにここまで行くとマズいですよ」

 ユウが凄く心配しているけど、大丈夫だって。


「あああっ、兄さんの暴力一辺倒主義がますます悪化している」

 そのあとなぜか、ユウが頭を抱えてウンウン唸っていたけれど、僕は何も知らないなー。




 そんなことは放置しておこう。


 せっかくなので、魔法で凍らせたミルクアイスを兄弟たちで食べることにしよう。


「シャリシャリしておいしいー」

 アイスを食べたレオンは、嬉しそうに尻尾をパタパタさせる。


「なんですかこれは!巨大な上に、ミルクまで出せて、しかもこんな美味しい味をしている。

 ……クウッ、わ、私の完敗ですわ……」

 フレイアはなぜか精神的にダメージを受けていた。


 フレイアよ、頼むからもっと子供らしい女の子でいてくれ。お前はまだ1歳児だろう……。

 だけど僕の願い虚しく、フレイアは両手を地面について、何か深刻な敗北感に捕らわれていた。


「ふむっ、口の中が冷たくて気持ちいいですね。食べ過ぎると少し頭が痛くなりますが、このような味は今までに経験したことがありません。レオンが言うようにシャリシャリした触感も初めてですし、このように美味なものがあったとは……」

 グルメリポーターリズは相変わらず健在。


『もっと食べたいー』

 ドラドはドラゴン体型なこともあり、食べる量が僕たち兄弟の中で一番多い。

 いくらモコ牛がホルスタイン並の巨大乳をしているとはいえ、一度に取れる量には限りがあった。


 ドラドを満足させるためには、今回発見したモコ牛だけでは量がとても足りない。



「乳じゃ、乳神様の、クールで冷徹なミルクじゃー」

 あと変なおっさんが気絶から回復して、ミルクアイスを食べていた。


「ユウ、このおっさんの事は心配しなくても問題なかったでしょう?」

「た、確かにそうですけど……ていうかミカちゃん、よくあの状態から復活できましたね」

「この世に巨乳がある限り、俺は決して滅びぬ。フハハハハー」



 ああ、このエロ親父の頭がおめでたすぎて、"頭痛が痛い"。


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