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13 ライト・ブレス(笑)

 自宅(巣)を焼く炎は消し止めたけど、壁の一部が黒い炭と化してしまった。

 試しに触ってみると、炭化した壁がボロボロと崩れ落ちてしまう。


「ダー」

「ワーワー」


 そしてその光景を見て、兄弟たちが好奇心を刺激されて、炭化した壁に激突。

 脆くなった巣の一部を破壊した挙句、飛び跳ねながら遊び始めてしまった。そのせいで全身が真っ黒になっていく。


 見た目は4、5歳児、中身は完全に幼児な兄弟たちの好奇心を止めることを、僕はできなかった。


 でもさ、

「我が家が壊れていく!ローンや借金をして作ったわけじゃない我が家だけど、それでも我が家が壊れていく……」


 そして崩れ去った巣の一部を見て、僕はその場にガクリと膝を付いた。


 自分の家の一部が火災で損壊ってのは嫌なものだね。

 せっかくのマイホームがズタボロだよ。




 なので、このままにはしておけない。


 僕はリザードマンっぽい外見の三女。そして完全にドラゴンの姿をしている四女を手招きして呼び寄せる。

 この2人……2体?

 まあ、どっちでもいいや。


 この2人は、僕の見立てでは土の属性竜としての性質が強い。



 口を開けても、礫や泥のブレスがが出てきたりしないけど、土系統の魔法を扱うことに特化している。


 以前僕が巣の一部を風のブレスで切断したとき、土魔法で周囲にある岩の一部を掘り出してもらった。その時と同じように、この2人に岩から巣の壁にするのにちょうどいい大きさの岩を取り出してもらう。


 それを崩れた巣の一部に引っ付け、あとは僕が木材と岩の部分を、原子融合魔法を使って引っ付けておいた。


 異なる物質でも、この魔法を使えば金属を溶接して引っ付けるみたいに、ぴたり引っ付けることができるのでとても便利だ。


 釘いらずの素晴らしい日曜大工魔法だね。


 その結果、巣の一部が木材から石材に変わってしまったけど、壊れた箇所を無事に修復することができた。



 なお全くの余談だけど、この魔法は出力を上げると核融合を起こすこともできる。太陽の中で起きている反応と、全く同じ核融合反応がね。



 こんなトラブルがあったけど、この日はそれ以上のトラブルはなく済んだ。






 そして日を改めた後日、

「ガー、ウォー、ウォォォーーー!」

 盛大な雄叫びを上げて、ミカちゃんがまた大口開けてブレスを吐き出す練習を始めた。



 僕は前世が魔王だったこともあるので、既に風のブレス(ウインド・ブレス)を吐けるけど、ミカちゃんは叫んでいるだけで、口から何も出てこない。


『なあ、ブレスを出すコツってどうやったらいいんだ?』

 あまりにもできないものだから、ミカちゃんが筆談で僕に尋ねてきた。


『多分ミカちゃんは光の属性竜だから、光を出すんだろうけど……』

『ふむ、光か。だったらそれをイメージしながら口から出してみるか』


 筆談の後、再び「あーあー」と口を開けて練習を始めるミカちゃん。


 その横では、三男坊がいつものように水をダバダハと口から漏らし、次女が炎を吐き出している。


 次女のファイヤーブレスは危険なので、水を出せる三男とセットにしておかないと、木造の我が家がまた燃えてしまいそうで危ない。



 で、そんなことをしていると、ついにミカちゃんがやり遂げた。


 ――ピカッ


「「「……」」」


 僕とミカちゃん、そしてユウの3人は、沈黙するしかなかった。


「ギャー」

「キャー」

 代わりに傍にいた三男坊と次女の2人が、興味津々でミカちゃんのおでこを撫で始めた。



 うん、ミカちゃんは努力の結果、とうとう光のブレス(ライト・ブレス)を放った。


 ただ光は口から出たのでなく、額から眩しい光が出るという形で……


 これじゃあ、ブレスとは呼べないね。

 というか、口からブレスを吐こうとしてるのに、どうして額が光る結果になるんだ?


 転生を何度もしてきた僕でも、首をかしげたくなる結果だよ。


「……」

 そして額を輝かせるミカちゃんが、物凄く微妙な顔で僕の方を見てくる。


『なあ、ライトブレスって、レーザー光線みたいな奴が出るんじゃないのか。もっと派手で、攻撃力があって……』

『暗い場所にちょうどいいじゃん。懐中電灯みたいで便利そうだし』


 ミカちゃんの中では、口からレーザー光線を吐けるようになると思っていたようだけど、現実には額から懐中電灯並みの明かりが飛び出す結果になった。



 これでいいよね。

 口からではないけど、一応光のブレス(ライト・ブレス)(笑)が出せるようになったんだから。


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