表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第3章 第2拠点と不死者(アンデット)
135/281

132 ドラゴニュート兄弟の生産活動

 ――ハムハムハムハムッ


 さて、場所は母屋にある倉庫兼作業部屋。

 なめし皮の在庫が不足し始めたので、皮をユウと共にハムハムしてなめしている。


 相変わらず皮に唾液を含ませるやり方。

 ううっ、早くこの原始時代方式から抜け出したい……。


 なおここ数日は離れの研究部屋で、1人(デネブ)で研究ばかりしていたから、母屋で作業をするのも久しぶりだ。


「わーい、レギュ兄さんだー」

 なんてレオンに喜ばれてしまった。


「僕も手伝うねー」

 喜ばれついでに、レオンも皮をハムハムしてなめす作業に加わってくれた。

 なんだけど、このなめす作業ってすごく地味なんだよね。ひたすらハムハムして、皮に唾液を含ませていくだけ。


 ――フリフリフリッ

 口を使っているのでしゃべることができないけど、それでもレオンは何やら嬉しそうに尻尾を振っていた。



 そして同じ作業部屋の中では、フレイアがガラス製の容器を、柔らかなモンスターの毛皮で、ふきふき磨いていた。


「フフフッ、この光沢がたまりませんわ」

 ガラスを太陽の光に当てながら、恍惚とした表情のフレイア。

 でも見た目が既に中高生サイズになっていることもあって、その表情は随分と大人びていた。中身が一歳児であることを、全く感じさせない。


「ウフッ、フフフフッ」

 尻尾はユルユルと揺れ動いていて、ガラスにハーハー息を吹きかけて磨き続ける。


 なんだろう……金の数を数えている金持ち?

 それとも宝物に憑りつかれた盗賊?


 いや……光物に弱い女か。

 フレイアの表情がかなりヤバめだ。


 この子、齢1歳にして、既に悪女コースに確実に乗ってってるよね。

 レオンを始めとした他の兄弟たちと比べて、1人だけ内面の成長が早すぎる。それも変な方向に早すぎる。




「ヌフフフッ、ムニッ、ムニニニッ、ムニー」

 そんなフレイアの恍惚とした表情を眺めているのはミカちゃん。


 まあ、こっちはこの世界に生まれた瞬間からエロい顔をしている。

 元の天使の様に愛らしい顔立ちなんて木っ端みじんに砕け散っていて、ただのエロ親父の顔と化している。

 いつも思うのだけど、元の顔があれだけ可愛いのに、どうやればこんな顔面崩壊したエロおっさんモンスターの顔になれるのだろう?

 我が兄弟最大の七不思議だ。


 まあ、あと6つは何があるのか知らないけど。



 ちなみに、ヌフフと言いながら、ミカちゃんも作業部屋でノミを片手に、劣化黒曜石を掘り掘りしている。

「ゲヘヘヘッ、あっミスった」

 だけどフレイアの乳をガン見しすぎたせいで、ノミを間違って掘ってしまったらしい。


「グ、グオオオッ。乳神様の神像にヒビが入っちまったー!」

 まるでこの世の終わりとでも言いたげに、ミカちゃんが両手で顔面を覆って泣き崩れた。


 てか、乳神様って言ってるけど、ミカちゃんが作ってるのは、狩りの旅で見つけたモコ牛の石像だ。

 ホルスタインみたいに巨大な乳を持った牛を乳神様とか言い出すあたり、本当にミカちゃんは危険だ。

 とうとう人間だけで満足できなくなって、そっちの方向にまで進み始めたのか?


 ケモナーだな。

 本来の意味とは違うだろうけど。




 そしてリズは岩の塊を土魔法と重力魔法を使って圧縮、そこから劣化黒曜石の塊を作り出している。

 そして出来上がった塊を、変身(メタモルフォーゼ)の魔法でドラゴニュート化しているドラドが受け取って、土魔法を器用に使って、劣化黒曜石製の道具を作っていた。


 メタモルフォーゼを維持するためには、常に集中力が必要で、一度集中力が解けてしまうと魔法が解除されてしまう。

 なのにメタモルフォーゼを維持した状態で、ドラドは土魔法を同時に使えるようにまでなっていた。


 さすがに元のドラゴン形態の時に使う土魔法ほどのレベルで、魔法を操作できないようだけど、かなり器用なことをしている。

 ミカちゃんが今使っているノミや、焼肉などで使うまったいらにした劣化黒曜石製の鉄板、他にも真ん中を掘り抜いた調理用で使うボウルなどを作って行ってる。


 形が整形しきれてなくて、やや不格好なのはご愛敬だけど、それにしても凄いことをしている。


 リズも脱皮をしたことで土魔法と重力魔法を同時に使えるようになったけれど、ドラドも魔法の扱いが成長するのが早いのかもしれない。


「うーん、さすがは1歳児。大人と違って吸収する速度がとんでもなく早いな」

 ドラドの成長に驚かされる僕だった。



 なお僕もメタモルフォーゼを使いながら、同時に別の魔法を使うことができるけど、間違ってもそれを1年で習得できたりしなかった。

 うちの兄弟たちは、ちょっと優秀すぎるかもしれない。


 それはともかくとして、今まで生産活動をしていたのが僕とユウだけだったので、他の兄弟たちも作業に加わってくれるようになったのは大助かりだ。



 有り難い兄弟たちだ。

 将来の為にも、今から手にしっかり職を付けておくんだよ。

 働くことは、楽しいことだからね。


 フフフッ。



「まあ、レギュラスお兄様が素敵な笑顔を浮かべてますわ」

「レギュ兄さん、とっても楽しそうだね」

「フレイア、レオン、あれを素敵とか楽しそうとか思うな。あれは資本家が搾取することしか考えてない笑みだぞ!」

 僕が笑ったら、フレイアとレオンも嬉しそうにしてくれた。

 なのに、なぜかミカちゃんが叫んでる。


 嫌だな、僕は搾取しないよ。

 僕はただ楽しい労働を、皆に分け与えたいだけだよ。フフフッ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ