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111 ゴブリン料理

 前回百を超えるゴブリンを倒した僕たち。


 人間の子供サイズのモンスターを一方的に大量虐殺とか、オンラインゲームだったらありふれた光景だけど、現実ではかなりサイコホラーな状況だ。


 顔面に石がめり込んで陥没していて、バタバタと倒れまくっている死体。

 ゲームと違って死体は消えることがなく、血と肉片をまき散らしたまま地面に倒れ伏し続ける。


「メシー」

「ご飯ー」

 もっとも我ら兄弟にとってこれは御飯。狩りの結果なので、いつものように食べるだけだった。


 うん、僕たち確実に人間やめて、モンスターの領域に相当足を踏み込んでるね。

 グロイ光景が広がる中、ミカちゃんは平然とゴブリンに食らいついている。


「今日は凄く数が多いですね」

 ユウも前世日本人だったのに、今では尻尾をフリフリ嬉しそうにゴブリンを食べ始める。


 ドラゴニュートだから半分はモンスターだけど、精神的には8割ぐらい人間やめて、モンスターの側に汚染されてしまってる気がする。


「レオン、水を出してちょうだい。茹でて食べますわ」

「分かったー」

 フレイアとレオンは共同作業で熱湯を作り出す。

 空中に浮かんだ水球(アクア・ボール)にゴブリンの死体を放り込んで、それを加熱して、グツグツコトコトと煮込んでいく。


「私も茹でたゴブリンがいいです」

 そこにリズも加わって、3人は仲良くゴブリンを煮込んでいった。



 なお僕の感覚では、ゴブリンは煮込んでも鳥や豚の骨の様に、コクのある出汁は出ない。ゴブリンではラーメンの出汁は取れない。

 骨が多くて肉は少なく、あまりおいしいと思わない。


 マザーが運んでくるサイクロプスは巨大で肉が多いくて食べごたえがある。あと正体不明の黒い肌をした魔物なんかは、肉の噛み応えがあっておいしいのだけど。



「ゴブリンは一度煮込んだ後に、汁を捨てた方がいいですよ。臭みがあるので、一度煮込むことでその臭いをお湯で取ってしまい、もう一度煮込む。そうすれば臭みがなくなって、癖の少ない肉を楽しめます」

 グルメリポーターのリズだけど、今度は料理人にでもクラスチェンジするのかもしれない。


「確かにゴブリンは独特な臭みがありますわね。あの匂い、私もあまり好きじゃなかったんです」

「うーん、僕はあまり気にならないけど、リズの言うとおりにするねー」

 リズの指示に従って、ゴブリンを茹でているフレイアとレオンの作業が続いていった。


 その後3人は、煮込んだゴブリンを尻尾をフリフリしながら食べていく。

 尻尾がこれ以上なく、ご満悦な様子を示してる。



「レギュラスお兄様もどうぞ」

 フレイアに煮込んだゴブリン肉をおすそ分けされて、僕もそれを食べてみた。

「いつも食べてるのよりおいしいな」

「フフフ、愛情を込めて作りましたから」

 なんか、フレイアが僕を見る目が少し熱っぽい気がする。


 ……ハーレムアニメや小説にある、ヤンデレ妹に将来背後から刺されるって展開にならなきゃいいけど。


「モグモグ、このゴブリンは結構いけるね」

 とはいえ、そんな心配なんて所詮杞憂だろう。僕も尻尾をフリフリ、茹でたゴブリン肉を食べて楽しんだ。




 そしてドラドは、パクパクとゴブリンを食べていく。

 僕たちと違ってドラドは体型が完全にドラゴン。その上脱皮してから、体が一番大きくなった。

 そのせいか、以前に比べて食べる量が更に増えている。


『モグモグ、バキゴクッ。うーん、もっと大きいモンスターも食べたいなー』

 ゴブリン数体を一度に口の中に放り込み、頭蓋骨骨なんかもお構いなしでかみ砕いていく。


 なんとも野性味あふれる食べ方だけど、

「フガフガ、ゴリッ、ゴリゴリッ」

 その横ではミカちゃんも、普通にゴブリンの頭蓋骨をかみ砕いて食べていた。



 頭蓋骨の中にある地脳みそが周りに飛び散っているけど、そんなことは全くお構いなし。

 我が家随一の野生児にして、モンスターミカちゃんなのでしょうがない。


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