プロローグ2
放課後、教科書を片付けて僕は国沢のクラスに歩く。
国沢は僕を見つけると教室から出てきた。
「多目的室に行こう、誰もいない所がいい」
そういって僕の答えを聞く前に歩き出す。
「なぁ、何の話?」
彼の後を追いながら訪ねるが、国沢は答えずに先に進む。
「よし、ここならいいだろ」
国沢は多目的室に誰もいないことを確認してこちらを振り向く。
その目が余りにも真剣で、僕は思わずたじろいだ。
「水川、お前、今日夢見たか?」
「え?ゆ、夢?」
その問いが思いがけないもので僕は戸惑う。
「そう、夢だ。いいから答えてくれ」
「見たよ、見たけど……なんで?」
見た、と言った瞬間国沢が眉をしかめる。
「内容は!?」
「怒鳴んなくてもいいじゃん……えっと、なんか外国で男の子が宿?の手伝いしてる夢だったかな」
「男……宿?それだけか?」
今日の夢は今でもはっきりと思いだせる。
「うん、それだけだった」
「そう、か。分かった、それだけならいいんだ」
国沢はそう言うとふらふらと部屋を出ていった。
(何だったんだろ・・・)
次の日の放課後、国沢のが何故夢のことを聞いてきたのか本人に尋ねてみたが何も答えてくれなかった。
(あのハッキリした夢を見ていたことに原因があるのかな)
そんなことを考えていると卯月が僕の前の席に座った。
「昨日の伊吹君、何だって?」
僕は夢について聞かれたことを話す。
「ふぅん、夢ねぇ……そういえば私も1週間くらい前に見た夢、まだ覚えてるよ」
「どんな夢だったの?」
「なんか魔法使いがいてね、でっかい土の塊の怪物と戦ってた」
「なにそれ」
2人で笑い合う。
やっぱり可愛いなぁ……
「そういえば国沢も何か夢見たのかな」
「そこに遥が出てきたのかもね!」
「国沢の夢に出るなら卯月じゃないの?」
「あはは、かもねぇ」
そんな話をしていると国沢が青い顔をして僕たちの教室に入ってくる。
「おい、お前はまた……!」
そんなことを呟きながら僕の胸ぐらを掴んで揺らす。
「な、何だよ、やめろって」
「とぼけんな、お前、何度も何度も夢で……!」
「やめなよ伊吹君!」
僕たちは国沢に気を取られて気付かなかった。
僕ら3人の周りを赤い光が取り巻いているのに。