終わりは突然に
初めての投稿です。
暇でしたら、読んでみてください。
不定期更新デス。
2026年5月12日
町外れに位置するところに、大きな洋館がひっそりと建っていた。
場所が場所で、物が物だから、
いろいろな噂がたっていた。
しかし、そんな洋館に、一人の少年が一ヶ月前に引っ越してきた。
その少年の名は、五十嵐幸太郎。
幸太郎は、今日もその洋館で目を覚ました。
「ん?・・・朝か?」
朝の日差しが窓から差し込み、顔をしかめる。
5月といえど、まだ朝夕は、気温が落ち込む。
少し肌寒い、いい朝だった。
手早く着替え終えて、朝食をとる。
学校の荷物をカバンに詰め込み、幸太郎は慌ただしい足取りで玄関を出た。
門をくぐり、一度我が家を振り返る。
庭には、大きな桜の木が植えてあり、家には蔓状の草が絡みついている。
まるでよくできたお化け屋敷の様だった。
こうして外からみると、変な噂が立つのは仕方が無いと思えてくる。
「全く・・・父さんも、いい趣味してるよ」
幸太郎は見えない父親に皮肉を言い、今度こそ学校に向かって足を進めた。
落ち着いた雰囲気の教室にウグイスの声が響く。
幸太郎は、一時限目、二時限目を睡眠学習して、今もまだよだれを垂らして寝ていた。
まあ、無理も無い。
他の生徒も、数人夢の世界にはいっている。
暖かい日差しが窓から差し込み、教室は優しい空気に包まれていた。
突然、そんな空気を切り裂く様な悲鳴が聞こえた。
生徒は突然の悲鳴にざわめき始め、「今のなに?」
「なんかあったのか?」と口々に言い始める。
現国の教師は、授業を中断し教室から、飛び出していった。
さすがの幸太郎も先程の悲鳴で現実に引き戻された。
「おい、翔太なにがあったんだ?」
幸太郎は、後ろの席の数少ない友人、加川翔太にクラス全員が抱いているだろう疑問を問いかける。
「わかんないよ、でもただことじゃなさそうだよ」
「また、あの先輩がなんかしたんじゃ無いのか?」
「知らないよ、僕だって寝てたんだもん」
使えないな、と愚痴りながら教室を見渡す。
特になにもなかったので、もう一度寝ようとすると
「ねえ、幸太郎、今度遊びに行ってもいい?」
「ああ、・・・べつにいいけどお前も物好きだな」
翔太は、一度だけあの洋館に遊びに来たことがある。
なにが気に入ったのかわからなかったが、ことあるごとに来たがるのだった。
「それより翔太、ノート」
「だからさっき言ったじゃん、僕も寝てたんー」
突然、後ろのドアから先程出て行った教師がふらりと現れる。
「あっ、やべっ‼︎」
急いで自分の席に戻る。
ところが、いつまでたっても授業が再開される気配がない。
それを、不審に思った女子生徒が教師に声をかける。
「先生、・・・どうしーグァッ!」
しかし、その声は思わぬ形で遮られる。
その男性教師は、うつむいていた顔を上げると、その女子生徒の首筋に噛み付いた。
「キャアアアアア‼︎‼︎」
教室に紅い花が飛び散った。
「おいおい、
何が起こってるんだ?」
恐怖よりも先に驚きが心を埋め尽くす。
首を噛まれた女子生徒は、ビクッビクッと痙攣した後、人形の糸が切れたように倒れて動かなくなった。
この時、幸太郎は日常が終わったことを直感した。
皆さんは、こんな青春はいかがですか?