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異世界⇔地球間で個人貿易してみた【コミカライズ】  作者: 肥前文俊
第二章

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第8話  グレート山崎との交渉開始

 急な慢性ポーションの要求に応えるため、薬師ギルドに出向いて数を増やした。

 定期的な仕入れの契約も結び、今後の取引数の増加にもある程度対応できるようになった。

 プロゴルファーのグレート山崎の要望に応えることは可能だが、はたしてこのまま販売してしまっていいのか。

 渡にはまだ判断がつかない。


 薬師ギルドを訪れた夜、渡は自室でパソコンを前に、グレート山崎の情報を調べていた。

 やはり悪い評判がいくらでも出てきて困ってしまう。

 ラフプレーが多く、時にはゴルフのルールに接触しながらも、そのまま押し通した。


 軍団の手下たちがライバルの邪魔をさせて調子を乱れさせた。

 競技中のタバコは当たり前でテレビに放映中も手放さない。

 調べれば調べるほど、モラルに問題がありそうに見える。


 また、不動産投資に失敗して多額の借金があるらしいということも分かり、余計に不安を募らせる。

 とはいえ、ポーションを求める理由も分かる。


「頸椎ヘルニアに腰椎分離症、坐骨神経痛か。特に頸椎ヘルニアは手術したばかり……まだ現役を続けるならポーションを求めてもおかしくはない」

「頼めば融通を利かせてもらえると勘違いしている可能性もあるわけですね」

「結局相手の出るところ次第なんだよな」

「相手が素直に商品だけで満足してくれると良いですね、ご主人様」

「ああ。だが、どうなんだろうなあ。一枚かませろとか、上がりをよこせとか無茶な要求してこなきゃ良いけど」

「会わないわけにはいかないんですか?」

「それはそれで気がかりなんだよなあ」


 最初から接触を断ってしまえば、交渉のしようもなくなる。

 一度会っただけでも、相手に多くの情報を与えることになってしまう。

 法にぎりぎり触れないようなあくどい手を使われると、実際に被害が出れば困るし、なによりも対応に追われて時間的に、精神的にキツくなるのが一番困る。


「かといって、やっぱり会わないわけにもいかないんだよ。亮ちゃんの頼みだしね」

「今の好調があるのも遠藤さんが人脈を使って紹介してくださったからですものね」

「せっかく調子よく活躍し始めているそうだしね。あまり悩み事を抱えないようにしてあげたいんだ」

「ご主人様のそういう人の縁を大切にされるところ、素敵だと思います」

「ありがとう。マリエルは俺のことをよく分かってるから、俺も嬉しいよ」


 理解者がいるだけで、苦労が報われる。

 いまだ事務所は借りていないが、かえってそれで良かったのかもしれない。

 固定の事務所があれば情報を集めたり、いざというときに妨害がしやすくなるリスクもあった。


 グレート山崎が今も暴力団と付き合いがあるかどうかは分からないが、あった場合は嫌がらせをされる可能性もあるのだ。

 渡は仕方なく、面会の予定を組み、日程を伝えた。

 また前回と同じスタジオを借りることにする。


「いざというときは、エアの力が必要になるかもしれないな」

「ふぁい……」


 渡がエアに視線を向ける。

 そこには目をとろんと蕩けさせ、顔を赤くしたエアがふらふらと立っていた。

 全身の毛穴が開き、甘い香りを漂わせている。


「キツそうだな」

「からだがあつい、あついよぉ……」


 口は呆けたように半開きになって、よだれがたらりと顎を伝って首へと濡らしていく。

 はっ、はっと浅い呼吸にしっとりと汗ばんだ肌。

 シャツとパンツ一枚になって体を抱いて、もじもじと膝を合わせる姿は、発情中そのものだ。

 両の乳首がツンとシャツを盛り上げていた。


 新型の媚薬ポーションを飲ませて、かれこれ一時間ほど放置している。

 お昼の態度に対しての『お仕置き』だった。

 うっとりと渡を見つめる目が、早く許してほしいと訴えかけているが、渡はまだしばらくそのままにしておくつもりだった。

 すぐに手を出せばお仕置きではなくただのご褒美になってしまう。


 膝をスリスリと擦り合わせて、少しでも刺激を求める姿は扇情的だった。


「あ、主ぃ、ごめんなさい、ゆるして……ゆるしてぇ」

「ダメだ。俺はまだ仕事があるからそのまま立ってろ」

「ふぁぁああ……んっ、く、くるしいよぉ。あるじぃ……はやく、はやく触ってぇ❤ お願い、お願いだからぁ」


 渡は自身の興奮をぐっとガマンして、必要な手続きを進めた。

 必要な仕事なのは確かなのだ。

 一時の欲望に流されてサボれば後々後悔することになる。


 マリエルがぽうっとエアの姿を眺めている。

 物欲しそうな、あるいは残念そうな。

 痴態を眺めてごくり、と唾を飲み込んでいた。


「マリエルもああなりたいのか?」

「っ!? い、いいえ。私は求めてなど……」

「そうか。……今仕事中にぼうっとしていたな。仕事中のサボりは感心しない。明日、マリエルには同じ罰を与える。覚悟しておくように」

「は、はい……。申し訳ありません。ご主人様❤」


 うっとりとした表情でマリエルが口だけの謝罪を述べた。

 やれやれ、今度は媚薬だけじゃなくて精力ポーションもないか聞いておこう。


 〇


 グレート山崎と会う当日、その日は非常に暑い日だった。

 カンカン照りの太陽に照らされて、連日酷暑日が続いている。

 先にスタジオに着いて準備を整えていた渡たちは、扉についた来客の鐘がなったことで玄関を注目する。


 そこには六十歳ほどの男性が一人と、中年から若手の男がずらずらと後を続き、合計十人ほどもの人がいた。

 グレート山崎はしっかりと髪を黒染めし、スポーツ選手らしく鍛えられた体をしているからか、年齢よりも若く見える。

 だが顔つきは威圧感を覚え、柔和とは程遠い。


 この時点で約束とは違った。

 ポーションを販売する事前の取り決めでは、購入者は常に一人で来ることになっていたのだ。

 渡の売っているポーションは間違いなく医薬品に該当するため、多数の人間の目に止めるのは、薬機法違反で捕まるリスクが非常に高くなるからだ。


 渡は表情を険しくさせ、マリエルもエアも警戒態勢に入った。


「ちょっと、一人で来る約束でしょう」

「いやあ、悪いね。こっちに用事があるってコイツラが言うからさ」

「では外で待っていてもらってください」

「おいおい、このクソ暑い中エアコンもない廊下で待たされたら倒れちまうよ」

「喫茶店でもどこでも行けばよいのでは?」

「そんなに邪険にするなよ、俺ぁ普通に買い物に来ただけだぜ?」


 色々と理由をつけているが、渡の言葉に一つとして従っていない。

 男たちは全員がスタジオ内に入ってきた。

【金虎族】一度忠誠を誓った者に対してはとても従順。

性癖は中庸ということは珍しく、殆どが極端にSかMかに分かれるとされている。なおエアはMのほう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 基本的に善性の人ばかりだったのが曲者登場かな
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