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異世界⇔地球間で個人貿易してみた【コミカライズ】  作者: 肥前文俊
第三章

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第48話 遠藤の成績と若井の紹介

 残暑も大人しくなり、過ごしやすくなってきた時期。

 長らく半袖だった渡も長袖に変えて、清涼の羽衣も外せるようになってきた。


 その日、渡は亮太に電話をしていた。

 ついに亮太の出ている試合を観戦しに行ったため、お礼を言う必要があったのだ。


「この前は招待券をありがとう。あんな低い位置から観戦できるとは思わなかったよ。普通の観戦席と全然違うんだな」

「オレこそ来てくれてありがとな。渡の前で打てて良かったよ。渡の彼女たちも楽しめたかな?」

「うん。二人とも野球を生で見るのは初めてだから、すごく興奮してた。特にエア、金髪の子は凄かったよ。自分もやってみたいって言って、後でバッティングセンターに連れて行かされた」

「ははは、それだけ喜んでくれたなら、招待した甲斐があるな」


 ワイワイガヤガヤとした席とはまったく違い、ラウンジになっていて食事やドリンクもついていて、席もゆったりとしてエアコンも効いていた。

 静かでありながら歓声は届くという不思議な空間だった。


 野球自体も面白かったが、マリエルとエアの観戦の仕方も面白かった。

 マリエルは観劇などを楽しんでいたこともあって、演者やアスリートが繰り広げるエンターテインメントを表面上は落ち着いた様子ながらも、内心では楽しんでいる。

 対して、エアは剣闘士として戦う側だ。

 だからか野球観戦においても、自分ならどう打つか、どこに投げるかといった選手目線で見ていた。

 こちらの感情表現はとても豊かで、大喜びになったかと思えば、悔しがったりと、その反応自体が一つのエンターテインメントとして成り立っていた。


 観戦模様を伝えると、亮太が嬉しそうに笑った。


「それでさ、ものは相談なんだけど、亮ちゃん女優さん紹介してくれない? 新しい商品がものすごく効果のある化粧品なんだよ」

「渡のことだからまたエグイ効果の化粧品なんだろうけど、俺はそんなに芸能人と接点ないって。プロ野球選手に期待持ちすぎだろ」

「今話題の亮ちゃんならいけるかなって思ったんだけど」

「無理無理。しかも話を聞く限り、その女優さんってアイドルとかの年齢じゃなくて、俺よりだいぶ年上だろ?」

「まあ、そうなるね。若くとも三十代後半以降が主な対象になると思う」

「なおさら無理があるよ。それこそ若井さんに頼めよ。あの人なら俺よりよっぽど伝手があると思うぞ」

「まあそうなんだけどさ。亮ちゃんなら下手な人を紹介しないって信頼があるから」

「褒めたってなにも出ねえよ」

「そういうつもりじゃないんだけど。そっか、悪いね」

「まあ、アスリートに関してはまた紹介するよ」

「お願いします。じゃあ、来年は首位打者と最多得点とゴールデンクラブ賞を目指して頑張ってね」

「おう。本気で狙うぜ。誰かさんが才能ある選手ばっかりガンガン治すから、ライバルが増えて大変だけどよ」


 今年、ペナントレースを終えて球団は三位。

 亮太は首位打者を獲得した。

 一時ケガで前線を離れたにしては、驚異的な成績だった。


 〇


 若井満が伝説的な復活を遂げて、それからは物凄く物事が目まぐるしく動き始めた。

 新曲のレコーディングをしながらテレビにも出演し、沢山の媒体からのインタビューの申し込みを受けて、日々のレッスンを繰り返し、ライブツアーの企画を進める。

 最盛期の人気を取り戻す勢いで動き回っているようだった。


 寸暇を惜しんで動き回る満に紹介を申し出るのは心苦しかったが、渡はこれも仕事だと気合を入れて、メールを送った。

 満はその日もインタビューとレッスンの予定が詰まっていたが、移動時間を使って渡に連絡をくれた。

 本来は体を休められる、わずかな休憩時間だった。


「やあ、堺さん。女優を紹介してほしいんだって?」

「ええ。あ、若井さん、近くに誰かいらっしゃいます?」

「うん。僕のマネージャーがいるね」

「なるほど。美容整形手術を超えるぐらいすごい美容液がありまして……ただ、例の飲み物(・・・・・)みたいに、すごく高額なんですよ」


 もしかしたら電話から声が漏れて、内容が聞かれるかもしれない。

 渡は用心して内容をぼかした。

 どこまで行っても渡のやっていることは、今のところ医師法や薬機法に引っかかる類の商売だ。

 満のマネージャーもまさか渡が無許可で営業をしているとは思わないだろうが、万が一のことを考えると、可能な限りぼかしておいた方が得策だった。


「いくら?」

「ボトル一本百万円です」

「……それは、ものすごいね。金より高いんじゃない?」

「かもしれません。でも美を売り物にする人にとっては、同じ重量の金よりも何倍も欲しがると思います」


 百万円は高いと言えば高い。

 だが、価格と効果という相対的な見方をすれば、安いはずだ。


 売れている芸能人がすでにたくさん持っているだろう貴金属を新たに身に付けるよりも、彼女たちは美しく張りのある若いころの肌を取り戻したいはずだ。

 そう願うだろうと、渡は思った。

 満が同じ金額で買えるどの商品よりも、ポーションの効果を欲したように。

 電話口から納得した満の声が聞こえてきた。


「まあ、僕も君に助けてもらった口だから、信用してるけどね。どれぐらいの効果なの?」

「そうですね……。まだ十代の女の子たちが目の色を変えて絶対に買うってぐらいには効果があります」

「そんなにか。そうだなあ……綾乃小雪さんとかどう?」

「すごい名前が出てきましたね、めっちゃ有名人じゃないですかドラマとかCMとかでしょっちゅう顔を見てますよ。」

「そりゃあ、それぐらいじゃないとポンと出せないよ。それに彼女は本当に誰に対しても腰が低くて信頼できる人だからね」

「そうなんですか?」

「うん。誰かの悪口を言ったり、噂話をしないし、偉そうな態度を取ったことがないよ。本当にいい人(・・・)って感じの人だ」

「それが一番助かります。口が軽い人が一番困るので」

「その辺りはちゃんと僕も考えてるよ」

「綺麗な人ですよねえ」

「うん、正統派美女って感じだよね。じゃあ問題ないようなら、数日中に連絡が取れるようにお願いしてみるね」

「ありがとうございます! よろしくお願いします!」


 満の素晴らしく早い行動に、渡は電話口で自然と頭を下げていた。

 それから数日後、満の紹介で小雪から電話がかかってきた。

現実の芸能人と被らせないの、名前とか設定とかけっこう悩みますね。


もし良ければ高評価や感想をよろしくお願いいたします。

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