八話 告白
「私は、そのままの貴方が好きです」
「え?」
セシリアはきょとんと目を丸くし、それから言葉を理解し、顔を赤らめた。
「えっと、その……」
戸惑うセシリアの目の前で、シックスはポケットから小さな小箱を取り出して、セシリアに言った。
「幼い頃、私は貴方に恋をしました」
「え?」
シックスは幼い時の事を思い出す。
まだ幼い時、シックスはその外見からずっと忌避されていた。
理由はこの国には珍しいからという、それだけの理由であった。
賢王と呼ばれた人と同じ髪色だとしても、それは盾にはならなかった。
執事や侍女達からも一歩距離を置かれ、友人もできなかった。
そんな時、太陽のような笑顔を唯一シックスに向けたのがセシリアであった。
『第二王子シックス殿下にご挨拶申し上げます。ヒューバート様の婚約者のセシリアです。これから、よろしくお願いいたします』
『は、はい』
『本日は、ヒューバート様がお忙しいということで、シックス殿下と過ごすようにと、ヒューバート様に言われたのですが……あの、もしかして話は聞いてらっしゃいませんか?』
『えっと……はい。それに、僕は良いですが……僕みたいなのと、一緒になんて、嫌じゃないですか?』
『え? あの、シックス殿下がいいのであれば、私は一緒に過ごせたら嬉しいですが』
『本当に?』
『はい。ふふ。何して遊びますか?』
太陽のように明るいその笑顔を見た日から、シックスの心の中にはずっとセシリアがいた。
王宮内で姿を見る度に、話をするのが楽しみだった。
ヒューバートがセシリアを面倒くさがって、自分と遊ぶように命じるのに、何度感謝したことか。
そして、何度、自分の婚約者ではないことに絶望したことか。
自分の婚約者にはならないと、セシリアが幸せであればそれでいいと、何度も、何度も心に蓋をした。
けれど、もう蓋は外れた。
「セシリア嬢は、私のことを今まで一度も遠ざけることはありませんでした。それがどれだけ私を救ったか貴方は知らないでしょう。貴方に私はずっと恋い焦がれていた。けれど、貴方の幸せと思ってこれまで身を引いていました」
シックスはセシリアの手を握る。
「けれど、もうやめます。兄には貴方を任せられない」
「シックス殿下……」
シックスは小箱を開けた。
その中にはシルバーの指輪が輝き、美しい宝石がはめられている。
「どうか、私と婚約していただけませんか? 絶対に幸せにしてみせます」
「で、ですが、国王陛下や王妃様にどう伝えればいいか」
「私からすでに話はしてあります。お願いです。私に貴方の隣に立つ栄誉をいただけませんか?」
セシリアは顔を真っ赤に染め上げると、視線を泳がせる。
今までこれほどまでに熱をはらんだ瞳で見つめられた事などなく、心臓が煩いくらいに鳴る。
「で、ですが」
「セシリア嬢。愛しています」
その言葉に、セシリアは唇を噛むと、ゆっくりと口を開いた。
「……こちらこそ、その、よろしくお願いいたします」
シックスは嬉しそうに破顔し、ゆっくりと指輪をセシリアの薬指へとはめた。
そしてその手を握ると、言った。
「世界で一番幸せにしますね」
嬉しそうに微笑まれ、セシリアはこの人とであればきっと幸せになれるのではないかと、頷くのであった。
ブクマ、いいね、評価ありがとうございます(*´▽`*)感想嬉しいです!執筆優先しているため返信できずすみません!!
ランキング2位にのってて驚き( ´゜д゜)でした。二度見しました!ふぁ!夢じゃない。はっ!夢か!?夢じゃない!!!!