1巻発売記念短編
「あの……これ、本当に喜んでくれるかしら?」
侍女達は全力で私に向かってうなずく。
「とても可愛らしいです!」
「きっと喜びになりますわ!」
「素敵です!」
今日は、久しぶりに二人で街へとお忍びで出かけるということもあって、朝から侍女達が気合を入れて用意してくれたのだけれど、町娘風の衣装はどうにも軽装な気がして不安だ。
「大丈夫かしら……」
不安がる私を皆が笑顔で送り出す。
階段を降りていくと、すでにしたにシックス様が待っていた。
本当に大丈夫だろうかと思っていると、こちらに気付いたシックス様が視線を向けそして固まった。
「お待たせいたしました」
大丈夫だろうか? やはりおかしいだろうか?
そう思っていると、シックス様は私のことを引き寄せると抱きしめる。
「可愛い。はぁ……セシリア。とても可愛らしいよ」
結婚をしてからシックス様は以前よりも甘くなり、私のことをすぐに引き寄せる。
「あ、あの……皆が見てます」
「いいから。こっちをむいて」
「もう……」
人目もはばからず、甘い瞳をこちらに向けてくる。
「きょ、今日は、街へ行くのでしょう?」
「もちろん。さぁ、行きましょうか」
そういうと、シックス様は私を抱き上げて歩き始める。
「あ、歩けます!」
「ふふふ。可愛いセシリアを独り占めしたいんです」
「もう」
結婚してから本当にシックス様は私に甘い。
街でのデートはさすがに下ろしてもらい、二人での時間を楽しんだ。
手を繋いで普通の恋人同士、いや夫婦のように歩くというのがどうしてもまだ私は恥ずかしい。
「ふふふ。すぐ恥ずかしがる姿が、可愛くて可愛くて」
「だ、だって……慣れないんです」
「少しずつ慣れてくださいね。愛しいセシリア」
「も、もう!」
手を恋人繋ぎするのでさえ私はまだまだ恥ずかしい。でも、嫌なわけではない。
二人きりの時間は、甘くていつもくらくらするけれど、幸せには違いないから。
自分がこんなにも幸せになれるだなんて思ってもみなかったから。
「……シックス様」
いつもいつも私ばかりが恥ずかしがらされるのが少しずるい気がして、私は名前を呼ぶと、シックス様の腕を引っ張った。
「ん? どうしました?」
私の方を見たシックス様の頬に、私は背伸びをして口づけをする。
「私だって、シックス様にドキドキさせられっぱなしじゃないんですよ!」
シックス様が驚いた顔を浮かべ、次の瞬間顔を赤く染め上げた。
「え?」
「あぁもう! あまり可愛いことをしないでください」
「ひゃっ」
シックス様に私は腕を引かれ引き寄せられるとそのまま口づけをされる。
驚いて、私が固まっているとシックス様が笑った。
「帰ったら覚悟していてくださいね」
「ひゃ……」
心臓が痛い。
お城に帰ったら……そう思うだけで、顔が熱くて仕方ない。
そんなセシリアとシックスを見守っているのは、騎士達や侍女ばかりではない。
(今日も仲良しですね)
(オシドリ夫婦ですね)
(我が国は安泰だなぁ)
(いちゃいちゃしてんなぁ!!!!!)
街の人々は、二人のデート姿を生暖かい目で、優しく見守っていることを、二人は知らない。
二人のいちゃいちゃ切り取りでした(´∀`*)ウフフ
本日、ゆずまんじゅう先生による漫画第一巻が発売となります!
皆様どうかよろしくお願いいたします(●´ω`●)





