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【完結】コミカライズ重版!〜悪役令嬢はもう全部が嫌になったので、記憶喪失のふりをすることにした~周りの皆が突然王子をディスリはじめました~  作者: かのん
加筆編

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28話

「ねぇ、皆様、セシリア様に嘘を吹き込んで、楽しいですか?」


 その言葉に、皆の眉間にしわが深々と寄る。何故ならば、誰一人として嘘など言っていないからである。


 セシリアが口を開こうとする前に、令嬢達はセシリアを庇うように前に立ち軽くセシリアにウィンクした。


 ここは任せろとでも言うような、頼もしい姿にセシリアはきゅんとしてしまう。


「エヴォナ様ごきげんよう。いったい何のことでしょうか?」


「そもそも、ここは現在立ち入り禁止の指定がされていたはずです。私達で学園に許可を取り、貸し切りにさせていただきましたから。看板も設置していたはずですが、ごらんになりませんでしたか?」


 その言葉にエヴォナは唇を噛んだ後に、瞳一杯に涙をためると、セシリアと視線を合わせた。


「酷いです。私が、私が皆様よりも身分の低い子爵令嬢だから、意地悪をするのでしょう!? 仲間外れにして、その上、私の悪口まで! セシリア様。皆様の策略ですわ。私とセシリア様は親友でしたのに……」


「……どこまで図々しい人なのかしら? セシリア様の努力をこれまで見てきたはずなのに……」


「そうよ。私達は、私達は貴方がヒューバート殿下にしなだれかかってだらしない姿をさらしているのを見ているのよ!? セシリア様が覚えていないからって、許されるなんて思わないで!」


「この場から去ってくださらない? それに、セシリア様に浴びせた舞踏会場での言葉、覚えていますわ。ここからまたセシリア様の友人に戻りたいなんて、いえ、戻れると思うなんて、厚かましすぎるのではなくって」


「セシリア様は覚えてらっしゃらなくても、私達は全てを覚えていますのよ!」


 他の令嬢達も力強く同意するようにうなずいた。


 本当は覚えているので、セシリアは申し訳なさを感じつつも令嬢達が守ってくれるのを嬉しく思った。


 エヴォナはその様子に一歩後ろに引くものの、唇を噛んでぐっと堪えると言った。


「あ、あの時は、ちょっと、取り乱して……」


「取り乱して? はぁ。今まで私達は貴方のことをちゃんと友人として扱ってきました。それはセシリア様が貴方を大切にしていたからです」


 その言葉に、エヴォナの顔が険しくなる。


「セシリア様に大切にされていなかったら、仲間に入れてくれなかったってことですか?」


 その言葉に、全員が大きく頷いた。


 それにはセシリアも焦り、言い過ぎではないかと止めようとしたのだが、令嬢達の言葉に動きを止める。


「だって、貴方、セシリア様の悪口をセシリア様がいない時に言うじゃない」


「セシリア様が注意しないからって、セシリア様を傷つける言葉を言ったこともあったわよね」


「言っておくけれど、私達はセシリア様が大好きなの。だから、セシリア様が大切にしていた貴方の事も受け入れようと努力してきたわ。でも、もう無理よ」


 その言葉にエヴォナは瞳一杯に涙をためると声を荒げた。


「いじめじゃないですか? これって酷いですよね?」


 その言葉に、令嬢達は大きくため息をつく。


「私達は別にいじめがしたいわけではないわ。ただ貴方とは感性が合わないので付き合いたくないと言うだけ。ですから、ご自身で感性の合う方と友情を築かれてはいかが?」


 エヴォナはセシリアへと助けを求めるように言った。


「セシリア様! なんで許してくれないんですか!? 意味が分からないわ! 親友なのに!」


 セシリアは、その言葉に小さくため息をつくと、自分を守ってくれようとしていた令嬢達の前へと出て、はっ

きりとした口調で答えた。


「親友であったならば、このように皆様から拒否されることはないはずです。この場から去っていただけますか?」


 エヴォナは呆然としたが、そこへと他の令嬢達が連れてきた警備の騎士達が現れた。


「セシリア様も皆様もいじわる!」


エヴォナはそう言うと逃げるようにその場から去っていったのであった。

 

シックスは令嬢達がせっかくのお祝いなのにと表情を曇らせたのを見て、手を叩いて視線を集めると言った。


「せっかくの気分が台無しですね。ですから、ここで私からサプライズです」


 セシリアと令嬢達は何だろうかと小首をかしげると、シックスはにっこりと微笑んで言った。


「お祝いをしてくださった皆様に感謝の意を表して、心ばかりのプレゼントを用意してあります」


 シックスが合図を送ると、三人の側近たちが大きなプレゼント袋を持って現れた。そして令嬢一人一人に可愛らしい小箱を手渡していく。


「まぁ! これは」


「素敵ですね!」


「可愛らしいですわ」


 それは小さな可愛らしい猫のぬいぐるみであり、色とりどりのリボンが首に飾られていた。それを見たセシリアは思わずはっとしてシックスを見て、それから恥ずかしそうにうつむく。


「お揃いだなんて、素敵です。ありがとうございます」


「皆様とお揃いだなんて、嬉しいですわ」


 令嬢達のその言葉に、セシリアもうなずいた。


「はい。嬉しいです……友人とお揃いのものを持つの、実はずっと憧れていたのです」


「まぁ! そうなのですか!」


「実は私もなのです!」


「本当ですか? ふふふ。お揃いって、仲良しの証のようで、本当に嬉しいです」


 お揃いが嬉しそうなセシリアが可愛くて、令嬢達は、頬を赤らめると、セシリアを囲んでまた話始めるのであった。


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