27話
「セシリア様! さぁ、目を開けてもいいですよ!」
「本当に? いいかしら? 目を開けますよ?」
「えぇ。どうぞ!」
セシリアが目を開くと、音楽が流れ始め、クラッカーの音とそしてたくさんの花弁がセシリアへと振りかけられた。
「まぁ! 素敵!」
『ご婚約おめでとうございます! セシリア様!』
セシリアの友人達は、シックスとの婚約を心から喜び、内祝いとして学園内の中庭にてガーデンパーティーを開催してくれたのだ。
目を閉じてついてきてほしいというものだからセシリアは緊張していたのだが、目を開いて、拍手と共に祝われて、セシリアは胸の中が温かな気持ちでいっぱいになった。
「皆様……本当に、ありがとうございます!」
可愛らしく色とりどりの花々で飾り付けられており、お菓子が机にはたくさん並べられている。
けれどそんな可愛らしい飾り付けの中央に、今まで見たことのない程の大きさのプレゼントの箱が置かれていた。
その大きさにセシリアが驚いていると、令嬢達は楽しそうに笑みを深めて、りぼんの先をセシリアへと手渡した。
「さぁ、どうぞ」
「早く引っ張ってください」
「頑張ってくださいませ!」
皆の声に押され、セシリアは紐をえいっと勢い良く引っ張った。
その瞬間、リボンはほどけて大きな箱が開き、その中からなんとシックスが登場したのである。
「ええぇ!? シックス殿下!?」
セシリアが驚いていると、シックスはくすくすと笑いながら両手を広げて言った。
「サプラーイズ。ははっ。セシリア嬢の友人達に頼まれてね。はははっ! こんな登場の仕方はきっと人生に一度きりだろうなぁ!」
「まぁ!」
突然の登場であったがいつもとは違った、少しおちゃめな様子のシックス姿が可愛らしく見えて、こんな一面もあったのだなと、セシリアは笑いが込み上げる。
シックスとセシリアは手を取って笑い合い、他の令嬢達からは拍手とフラワーシャワーで祝われる。
会場内は笑いに包まれ、シックスとセシリアは微笑み合うとお礼を伝えた。
「とても嬉しいです。私達の為にありがとうございます」
「本当にセシリア嬢は善き友人を持ちましたね」
「えぇ。本当に」
セシリアの友人達は大きく頷くと言った。
「そうですとも。私達はセシリア様のことが大好きですからね!」
「えぇ! そうですよ! はぁ。でも以前はあの女に牽制されてセシリア様ともっと一緒にいたくても邪魔されていたのです!」
「セシリア様は覚えていなくて正解ですよ。本当に、あの女は性格が悪かったので」
口々にディスられていくエヴォナに、セシリアはそんなに性格が悪かったのだろうかと、自分は何故気づけなかったのだろうかと思った。
「セシリア様は親しいからあの女が嫌なことを言っても、笑って流していて大人だなぁって思っていましたの」
「えぇ! 何度言い返して差し上げようかとも思ったことか!」
そんなことがあっただろうかとセシリアが思っていた時であった。ガシャンと何かが割れる音が響き、皆が振
り返るとそこには、ティーカップを床にたたきつけ顔を真っ赤にしたエヴォナの姿があった。





