五話 とある男性達もディスル。
舞踏会がお開きとなり、後日、貴族男子の数人は友人同士で声を掛け合ってとある店を貸し切ると、酒を煽り始めた。
店内は貸し切りの為にがらんとしており、三人は今までのうっ憤を晴らすように酒を煽る。
「あぁ・・・あのバカのせいで・・せっかくの生セシリア様を堪能できなかった。」
「本当だよなぁ。あのバカ、もう・・王子生命終わったよなぁ。」
「たしかに。ありゃー、ダメだろ。」
同じ学園に通う三人だが、実際の所学園内では王子の取り巻きをしていた。
時には王子を支え、時には王子をよいしょし、時には王子の至らない所さりげなく指摘して、王子を支えてきたのである。
なんだかんだ、勉強に関しては問題はなかった王子であったが、その傲慢な性格には難がありすぎた。また、学業の勉学に関しては優秀でも、貴族社会の中ではそれが発揮されていない。
だが、先日の舞踏会にて見切りをつけた。
泡立つ酒を一気に飲み干して、三人は、大きくため息をついた。
「あぁー・・俺達の頑張りが無駄に終わったなぁ・・・」
「無駄だったなぁ・・父上から頼まれたから、いやいやだったけれどちゃんとこなしてきたが・・・」
「あの王子じゃ、無理だろー。」
そもそもヒューバートは思慮に欠ける。自分がこうだと思ったらそれ以外を中々に受け付けないものから、学園内でも時折問題を起こしていた。それを問題として表立つ前にせき止めていたのは三人である。
駆けずり回るのはいつも三人の役目だった。
「これからどうするかね。」
「俺達あのバカの側近だしなぁ・・・」
「はぁ・・もっと、しっかり監視しておくべきだった。学園内ではエヴォナ嬢を寄せ付けないようにできていたのになぁ・・・」
「まさか春休みの間に・・・こんな事になるなんてなぁ・・・」
大きくため息をつきながら、王子を止められなかった自分達が責められるのは必然であり、頭が痛くなる。
もう自分達には未来がないことは決まったも同然であった。
その時であった。
貸し切りのはずが、扉が開いたかと思うと、一人の男性が三人の元へと歩いてい来る。
「え?」
「え・・」
「あ・・」
「やぁ、ヤケ酒かい?」
そこへ現れたのは、この国の第二王子であるシックスであった。
突然シックスが現れた事に意表を突かれ、驚いたまま固まった三人だったが、すぐに頭を切り替えると頭を下げた。
『シックス第二王子殿下にご挨拶を申し上げます。』
酒を吹き飛ばして頭を働かせる三人は何故シックスがここに現れたのか、頭の中で考える。
だがその答えはすぐにシックスの口から聞かされることとなった。
「私はね、君達が優秀であることは分かっているよ。あのバカが学園で大きな問題を起こさずにやってこれたのは、君達が優秀であったからだ。」
その声に、何故か冷や汗が流れ落ちる。
シックスは言葉を続けた。
「今回の一件は、春休み期間中、君達の知らぬところだったのだろう。だからこそ、選択肢を与える。」
シックスはニコリと微笑を浮かべて言った。
「あのバカとの縁を切り、私につく気はあるかい?」
答えは、すぐに出た三人であった。
読んでもらえると嬉しいですよね( *´艸`)