二十四話 記憶告白
王城の客間へと移動すると、シックスとセシリアの反対側にヒューバートとエヴォナ嬢が座る。
ただ、客間は客間でも通常の場所とは少し違い、セシリアはこの部屋に初めて入った。
ヒューバートとエヴォナは気づいていないかもしれないが、通常の客間よりも少しお互いに距離が離れており、部屋の中にも多少の違和感がある。
違和感の正体は何だろうとセシリアは思いながらも、話し合いが始まるとそちらに集中することにした。
ヒューバートの面持ちは少し強張ってっており、学園内にいた時よりも何かに追い詰められているような顔をしている。
「セシリア。いい加減にしろ。そしてシックス、お前も現実を見ろ。何度も言うがセシリアは私を愛していたんだ。セシリアのことを思うならば、身を引くべきだろう?」
「そうですわぁ。愛する人たちを引き裂くなんて、胸が痛みますよ」
セシリアはエヴォナはいったいどういう立ち位置なのだろうかと思いながらも、シックスと目配せをすると、深呼吸をしてから、口を開いた。
「お二人に、お話があります」
その言葉にヒューバートとエヴォナは小首をかしげる。
セシリアは拳をぎゅっと握りながら、はっきりとした口調で言った。
「私の記憶についてですが、先日、すべてを思い出しました」
その瞬間、がばりとヒューバートとエヴォナが立ち上がり、そしてばつが悪そうな表情を浮かべると、まず口を開いたのは、エヴォナであった。
「え、えっと、本当に思い出したの? 全部ではないのではないかしら!?」
「そ、そうだ。全部ではないのではないか!?」
最後の希望にすがるように言葉を並べた二人に、セシリアははっきりと告げる。
「いえ、全てべて覚えております。エヴォナ様が私の友人のふりをして、私に嘘をつき、ヒューバート殿下の好みの真逆を教えて、婚約破棄に追い込んだことも」
するとヒューバートは自分だけは逃れようと口を開く。
「なっ!? エヴォナ、なんという悪女だ! 私たちの仲を引き裂くとは。なぁセシリア。全てエヴォナが悪かったのだ。私はお前のことを今では美しくていとおしいと思っている」
なんという薄っぺらい言葉であろうか。
エヴォナは顔を青ざめさせて叫び声をあげた。
「ヒューバート様! 話が違うではないですか!」
「黙れ! 悪女が!」
二人の醜いやり取りを見ながら、私はこほんと咳をつくといった。
「ヒューバート殿下、申し訳ありませんが、下品で娼婦のような女は殿下にはふさわしくないとおっしゃったではありませんか。エヴォナ様のような嘘をつき猫をかぶるような清楚で教養のある女性が殿下は好みなのでしょう?」
その言葉に、ヒューバートは頬をひきつらせ、エヴォナは顔を真っ赤にして怒りをあらわにした。
消したい記憶ってありますか? 私は時々何年も前の出来事を昨日のように思い出します('ω')楽しい思い出を思い出したいのになぁ(●´ω`●)





