十九話 シックスのやきもち
遅くなりました。すみません!!
シックスはセシリアの腕をつかむと、ひょいと抱き上げた。
その光景にヒューバートもエヴォナも驚き、もちろんセシリアは顔を真っ赤にして驚いている。
「し、シックス様?」
困惑したセシリアがそう呟くと、はっきりとした口調でシックスは言った。
「兄上もエヴォナ嬢も、これ以上画策するのはやめていただきたい。甘く見るのは今回までです。次回こうしたことを画策すれば、いくら私でも、怒りますよ」
突き放すような冷たい言葉に、ヒューバートはにやりと笑う。
「画策? 違うな。何度も言うが、セシリアは私のことが好きなんだぞ? 私とセシリアを引き裂いているのは、」むしろお前だろう?」
ヒューバートの言葉に、シックスは眉間にしわを寄せる。
エヴォナは猫なで声でかわいらしく体をくねらせながら言った。
「そうですよぉ。元々とセシリア様はヒューバート殿下を愛してやまなかったのですよ? 」
いったい何がどうなってそんな話になっているのだろうかと、セシリアは思い、言い返そうとしたのだが、シックスが歩き始めてしまい、舌を噛みそうになる。
「警告はしましたからね」
そう言ってシックスは図書室を出ると、私を抱きかかえたまま用意されていた馬車へと乗り込んだ。
いったいどこへ行くのだろうかと思っていると、馬車は王城のほうへと進んでいく。
馬車の中でのシックスは無言であり、話しかけるなというオーラを放っている。故にセシリアは馬車の中でもシックスに抱きかかえられたままだったのだが、さすがに王城につくと、意を決して口を開いた。
「あ、あの、シックス様? どうして王城に」
「公爵には後ほど許可を取る手紙を出します」
「いえ、そういう意味ではなく」
その後、またシックスは黙ってしまったため、セシリアは大人しく抱きかかえられたまま移動するしかなかった。
ついた客間にて侍女にシックスはお茶を持ってくるように伝えると、私を膝の上に乗せたままソファへと腰掛、そしてセシリアをぎゅっと抱きしめて、何も言わなくなってしまう。
いったい何がどうなているのだろうかと、セシリアは思いながらも、ゆっくりと口を開いた。
「あの、誤解をさせてしまったかもしれませんが、ヒューバート殿下に会いに行ったのは」
「何も聞きたくない」
ぎゅっと抱きしめる力が強くなり、セシリアは慌てていった。
「聞いてください! あの、ヒューバート殿下に会いに行ったのは、あなたの婚約者に戻ることはないと、あなたのことを好きではないと伝えるためです」
「え?」
驚いたようにシックスは顔を上げ、セシリアははっきりといった。
「私、ヒューバート殿下には、胸が高鳴りません。私がドキドキするのも、緊張するのも、シックス様だけです」
セシリアはヒューバートには感じたことない、胸の高鳴りを、確かにシックスに感じていた。
おそらくこれが、恋の始まり。
顔を赤らめながら、セシリアは言った。
「ですから、あの、恥ずかしいのでそろそろ降ろしてくださいませ」
上目遣いでそういわれ、シックスは顔を真っ赤に染め上げると、ぎゅっとセシリアをまた抱きしめた。
頑張ります(*'ω'*)