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すきな人とみる流れ星


 わたしは、よるおそくあるいていた。


 どうしてよるおそく外にいるのかというと、お母さんとお父さんとケンカしたから。


 でも暗いのでこわくて、もどろうと思う。


 けどそんなときに、わたしはよばれた。


 どうしてかわからないけど、同じクラスのりゅうとくんの声がした。


 ふりむいたら、本当にりゅうとくんがいた。


 こっそり好きになってたりする……から、ほんとびっくりした。


「なんでこんな時間にいるのゆうかは。さんぽ?」


「わたしこそききたいよ。わたしはただ、お母さんとお父さんとケンカして家をでてきただけだもん」


「あ、そうなんだ。おれはね、ほんとにただのさんぽ」


「そうなの?」


「そう。さむいからめがさめるだろ。そしてかえってゲームしたら、超よるおそくまで、できるぜ」


「そんなにゲームするの?」


 たしかに、りゅうとくん、よく学校でねてるもんなあ。


 よふかししてるからだよね。よくない。


 今はわたしがとなりだから、色々見せてあげてるけど。


「するよ。でも、だいたいとちゅうでどうでも良くなってねちゃうな」


「そっか」


 ちょっとけんこうに良くなさそうだなあ。


「ゆうかはさ、どんなケンカしたの?」


「えー、いいたくない」


「え、いいたくないけんかなの?」


「そう」


 ほんとは別に言ってもよかった。


 しゅくだいやるのをサボってたのがばれたって話とか。


 でも、けっこうダサい理由でケンカしちゃってるし、せっかくりゅうとくんと会ったんだから、ちょっとたのしい話がしたいな、と思った。


 たのしいことを考えるために、空を見上げた。


 ほらだって、星がかがやいてるところをみたら、ちょっと楽しくなりそうじゃない?


 りゅうとくんも見上げた。


 そしたら。


 ………………流れ星!


 流れ星が、見えたよ今。


 ながれた。


 すーってすぐきえた。


 なにもおねがいはできないね。ねらってたら三つ中ひとつくらいできたかな。


「……今流れ星だったな」


「うん」


「とつぜんでビビったけど、まあとりあえず、ゆうかがお母さんとお父さんとケンカするのがへったらいいなって言っといたぞ」


「ほんと?」


「ほんと……のつもり。今ちょっとおくれてねがってる」


「ふふっ。なら、わたしはりゅうとくんがよふかししすぎないようにねがう」


「なんでだよ?」


「よふかしはけんこうにわるいから。ほかにもよくないことだらけ」


「なんだよそれ」


「いつもしゅくだいとか、ねたときの先生の話とか、ぜんぶおしえてるじゃん」


「たしかに。よふかしのせいで、ゆうかにはお世話されてるな」


「ほんとだよ」


 わたしは、ケンカしてさむいのに、元気にしゃべれるようになっていた。


 もしりゅうとくんと会ってなかったら、今ごろ鼻声でしかしゃべれなかったかもしれないのに。


 なんだか少しかんしゃのきもちで、りゅうとくんを見ていたら、目があった。


 しゅくだいも先生の話もぜんぜんわからないりゅうとくんより、たまたま会ったりゅうとくんは、なんかいいかんじだった。


 その時、またなんか光ったかもしれなかったけど、それが流れ星かは、いまさらわからなかった。


お読みいただき本当にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「冬の童話祭」から参りました。 日常のちょっとしたいい出来事、という感じでほっこりします。 最後の光は、流れ星が見せた希望の光のような気がしました。
[良い点] 他愛のない話なのに、読了後、ほっと心が温かくなっている、そんな作品でした。 小さな恋の物語、という感じで。 二人の動機もとっても子どもらしくて良かったです。 [一言] 冬童話から読みに…
[一言] ゆうかを小学生の頃の自分と重ねて読んでしまいました。 心温まる作品ですね! 楽しく読ませていただきました。
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