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私は物語から逃げます  作者: レイ
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生きねば

『定刻となりましたので、入学式を開会したいと思います』



あ、始まるわね。

だいたいストーリーってここから始まるのよね。

実際の体感時間とストーリーを進める速度って全然違うわね。

スタートからここまでゲームだったら5分もかからないけど、実際は3時間くらい経過してるわ。

大変濃い3時間でしたわ。

もういらないの、こんな危なっかしい生活。

とりあえずこのクラスには攻略対象は1人もいないし、A組とは階の異なる。

A組~C組は3階、それ以外は1階となっており、2階には図書館やら調理室、実験室などがある。

そこにはひとまずほっとする。


本物のシェリーは毎日のようにA組に行っては主人公とのルーシス様に会いに行っていたようだ。

ルーシス様に会いたい気持ちは私もよく分かる。

私も会いたいもの。

会ってあの背中に抱きつきたいもの。



って違う違う、新入生代表でルーシス様が呼ばれて背中をこちらに向けて歩いているからって思わず本音が。

あぁ、今日は何度もお顔を拝めて何て幸せなの。


………ゲームの方が距離近かったわね。

今じゃステージと学生までの距離分離れているもの。

ルーシス様の素敵な笑みが近くで見れてたもの。

今じゃ顔なんてほとんど見えないわ。

いえ、これで良いのよ、私。

だってこれ以上近付いたらこの姿を一切拝めなくなっちゃうんだから。



あぁ、ルーシス様が眩しくて流れた涙が止まらないわ。

今日何回目の涙かしら。

ちょっと涙腺脆すぎやしませんか?

年取ってるからって?

聞いて驚きなさい、私が亡くなったの18歳の頃よ。

それもルーシス様に『君が好きだよ』って甘い台詞を最期に聞いてこの世に着たの。

それも学園入学式前日のシェリーに生まれ変わったの。

だからそんなに年取ってないから!

まだピチピチの10代だから!


そうだ、よくよく考えてみればシェリーと同い年で亡くなったのよね。

今回はそれ以上に生き延びねば。

この美しい顔が婆さんになるまで生きねば。

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