誰かティッシュください
さぁ、これからお昼という時間に私は下駄箱に着ておりました。
もちろん掃除するためですよ、はい。
雑巾片手に来たのですがね、綺麗になってました。
そりゃあもう新品なくらいに。
え?
どういうことなの。
まさか、本当にルーシス様が掃除したとか言いませんよね。
だとしたら申し訳無さすぎて。
何をしたらルーシス様のためになるのか分かりませんが、とりあえず女の子探しの旅は継続させていただきます。
どこにいるのかね、麗しの乙女は。
「シェリーさん!」
声と同時に背中に何かがぶつかってきました。
「ぐふぁ」
思わず乙女らしからぬ声を出しましたが、きっと、誰も聞いていない。
聞いてないよね。
「私、離れたくありません!」
ん?
もしかしてこの声はロワールちゃん?
視線を下に下げれば私のウエスト周りに腕が回っているではありませんか。
「シェリーさんが私のことを思って側にいない方が良いとお考えになられたのだとしても、私は嫌です!」
おっと、これは感動シーンになる所ですよね!?
でも、ごめんなさい。
私はこの感動シーンをぶち壊します。
何故なら。
ロワールちゃんが一生懸命私を抱き締めているこの場面、最高です。
背中温かいし柔らかいし、良い匂いするし、もう最高。
こんな子を独り占めできるなんてライド君が羨ましい。
これが乙女ゲームじゃなくて女の子攻略ゲームなら間違いなくロワールちゃんを攻略してました、私。
とか考えてる私がいるからです!
「ロ、ロワールさん…」
悶えながら後ろを振り向けば、青い瞳に涙が。
「ぐはぁ!」
ヤバい、鼻血出る。
いや、出た、誰かティッシュください。
「私、シェリーさんが側にいて『良い』と答えるまで離しませんから!」
いや、もう良いです、はい。
だから誰かこの変態からこの美少女を離してください。
ある意味私が一番の危険人物だから!
「い、イイデズ、アイ」
鼻を抑えながら答えると、またこの美女が笑うもんだから鼻血が。
誰か早く、ティッシュ!
二人とも血だらけになっちゃうから!