シオンという女の子
そこで登場したのはシオンというアクセスの婚約者でした。
腰に手を当てて私の前に立ち塞がった。
「ちょっと、あんた、シオンのアクセスに何か用?」
「おい、君」
「イタズラっこは黙ってて!」
イタズラ王子をイタズラっこって。
仮にも他国の王子なのに。
「えっと…特に用はない」
です、と言おうとしたら、
「じゃあ近付かないで」
と被せるように言ってきた。
何ですかこの子。
腹立たしいな。
しかも私が近寄ったわけじゃなくて向こうがこっちに近付いてきただけなんだけど。
まぁ、アクセスからしたらイタズラ王子に付いてきただけなんだろうけどね。
確かルーシス様と話しているときはもっと丁寧な話し方してましたよね、貴女!
「それよりあなたドレスコードはどうしたの? 平民のあの子さえちゃんとしたドレスを着てるっていうのに」
顎である方向を差して言ってきたので、そちらに視線を向ければ主人公が居ました!
ちゃんと紫のドレスを着てましたよ、はい。
あぁ、これはもうマージュルート確定だわ。
「僕が怪我をさせたせいで参加を断念したみたいなんだ」
「また何かやったのあんた」
えぇ、王子をあんた呼ばわり。
凄いなこの子。
それよりこんなところで集まってたらパーティに遅れるぞ君たち。
ささ、私のことは気にせず中へお入りください。
「あ、いた」
そこへローゼンたちが来たようなので、私は隠れるようにその場から離れさせていただきました。
残念ながらルーシス様は見れなかったけど、仕方ないわね。
だけど、本当にどうしよう。
ルーシス様のお相手。
誰か…誰かぁ。