イタズラ
誰かこのイタズラ王子から私を救ってくれ!
神様、仏様、私のルーシス様!!
と思っていたら、ローゼンが「あ!」と言ってイタズラ王子を指差した。
え、何々どうしたの?
面白いことでもあった?
「どうしたんだい? 君」
「そのペン!」
そう言われてイタズラ王子は胸ポケットに入っていた何の変哲もないペンを取り出した。
どこにでも売ってそうなペンだけど、それがどうかしたのかしら。
ローゼンは急ぎ足でイタズラ王子に近付くとそのペンを奪い取り、ノックしようとした。
「あ、君!」
その次の瞬間。
パーンという音と共に頭の部分がビックリ箱の蓋のように開き、紙吹雪とよく分からない鳩のようなものがペンの中から飛び出してきた。
え?
何これ。
何ですかこれ。
「……あちゃ」
イタズラ王子は頭を抱えてるし、ローゼンは何でか怒りで肩が揺れてるように見えるんだけどどういうことかしら。
「ねぇ…… そのペンどこで見つけたの、貴方」
あまりにも低く言うのものだからか、アリアが心配してローゼンの側で腕を引いているが反応が見られない。
え、何?
ホントどうした?
「あぁ…1階の廊下だったな。 確か」
「あたし…昨日からずっとそのペン探してたの。 お気に入りだったのに… それに貴方何してくれたの?!」
「ただのペンだと面白くなかろうと思ってだな?!」
「ペンに面白さなんていらないのよ! 返してよあたしのペン!」
「わ、分かった。 同じものを用意するから待ってくれないかい?!」
バシバシと背中を叩かれ参ったイタズラ王子がそう言うと、ローゼンはイタズラ王子を睨み付けながら。
「絶対だから」
と言った。
ローゼンが気に入って使っていたペンを今まで探していて、それを見つけたイタズラ王子はペンに面白さを求めるためにわざわざペンを作り替えたの?
ワケわからないわ。
「さっき会った彼女は僕のイタズラを楽しそうに聞いてくれたのに、この子には怒られてしまったよ、ログ… 女の子って分からないなぁ」
「お前が悪いとしか言えないな」
え、ん?
今『さっき会った彼女』って言ったわよね?
それってまさか主人公に会ったってこと?
まぁ、元々昼間に会うイベントありましよね…それどころじゃなくなってましたけど、私。
「ログにも味方されなくなったぜ… はぁ…」
全てはイタズラのせいだと思いますよ、イタズラ王子。
「とにかく明日ここで、勉強会をしよう。 その時に君にはペンを必ず返そう」
おぉ、返してあげるのね、偉いわ。
それならやらなきゃ良いのにって思っちゃうけどね。
「君はゆっくり休むことが必要だ、折角の美人が台無しだぜ?」
そう言ってイタズラ王子は私を指差してきましたが…
ねぇ、皆さん聞きました?
イタズラ王子が私のこと美人ですって。
その台詞ルーシス様に言って欲しいわ。