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ハズレ枠スキルで最強になったけどハズレ枠だから薄氷の勝利ばかりでつらい

ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで(篠崎芳)

https://ncode.syosetu.com/n1785ek/



 もう「なろう系」小説も爛熟(らんじゅく)してきて、パッケージ化されたパターンで大道具を手早くそろえてしまうことを、読者も許容しているように思います。この作品が使っているパッケージの第一は「クラスごと転移」です。クラスの中で能力差、派閥、功利的采配と博愛的采配の対立と言った問題を扱います。転移じゃなく漂流であれば1888年に出版された『十五少年漂流記』(ヴェルヌ)がありますね。なろう世界だと『ありふれた職業で世界最強 』があります。


「召喚者が転生者を使って何か企んでいる」もよくあるパッケージで、むしろ何も考えていない、善意だけの召喚者が出てくるのはスーパー戦隊シリーズくらいになりましたね。その召喚者である女神は、人類諸国をまとめて、来襲する大魔帝の軍勢と戦っています。戦闘シーンを除けば、ひとつ前にご紹介した『月が導く異世界道中』とも似た作品です。女神なのに絶対者ではありません。何か弱点か、果たしたい望みか、そうしたものを隠しているのです。


 主人公のスキルは、極めて狭い範囲で「パラライズ」と唱えるだけでどんな強敵もしばらく動けなくするものです。順次スキルは追加されますが、どれもそれぞれ死角や弱点があります。「最強だが発動条件が狭く、実態を知られても対策されて無力」というのも古いアイデアです。忍者マンガの秘技や野球マンガの魔球によくあるパターンですよね。この小説の戦闘シーンはもっぱら、その狭い条件を満たすための駆け引きに費やされます。話が進むと武芸の猛者も仲間に加わり、共同して戦いますが、それでも発動条件を求めてパズルを解くような戦いになります。


 女神は世界の防衛者であり、そのためには邪悪な勢力も手足に使います。ですからそうした女神の手足との経緯で、少数の強力な反体制派がおり、主人公はゆっくりとそれらを糾合(きゅうごう)していくことになります。


『月が導く異世界道中』の主人公は圧倒的に強力なので、この世界に来た自分は何を目指して力を使うのか自問自答します。この世界での仲間ができていくこと、その不幸はやはり放置できないことを自覚して、世界を救うためにもある程度のリソースを振るようになります。『ハズレ枠』の主人公である三森灯河は生き延びるだけでかなりぎりぎりで、女神は自分のことを知ればやはりつぶしに来るだろうから、倒すしかないと考えます。そしてクラスの「委員長」十河綾香がそれは人倫に反すると止めに入ったとき、自分は一番難しい判断を迫られるだろうと予感します。




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