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情報の偏りと過誤

 この読み物の「うん知ってた」で論じた通り、主人公がいろいろな形で情報の優位を持ち、火力や移動力の隔絶した優位でストレートに勝つのではなく、様々な課題の様々な解決を幅広く成し遂げていく……というなろう系小説はよく見かけます。逆に、主人公の情報に欠落や偏りがある場合、そこを起点にストーリーを織りなすことができます。


 ゲーム世界に転生する話の場合、「ゲームのルールやキャラクター設定は熟知しているはずが、いま見ている現実と食い違いがある」と主人公が気づいて、そこからストーリーが展開することがよくあります。これも広い意味で、現実世界のルールやキャラクターの事情が「一部」伏せられていると解釈することもできます。「全部」伏せられていたら根性でさいころを何度も振り直す筋肉話になってしまうところです。


ミリしら転生ゲーマー ~1ミリも知らないゲームの世界に転生したけど全力で原作を守護ります~ (ウスバー)

https://ncode.syosetu.com/n4744ia/


 主人公は諸事情で、周回してやり込んだ高難易度ゲームと似た世界に転生します。これまた諸事情で、キャラクター名は総入れ替え、主人公は自分がゲーム内の誰の役をやっているのか、最初はわかりません。しかし他人を見るとHPとMPが表示されていて、ステータス画面の助けも借りて、主人公は自分や他人の能力、レベル、主要人物かモブかといった情報を読み取り、(ゲームでも存在したかもしれない)隠しパラメータの存在も推測します。それらを駆使して効率の良い自己育成を重ね、英雄学園(原文ママ)に入学したときには、見事に偏った長所と弱点を備えるに至りました。


 主人公は、多くの点がゲームから引き継がれている以上、主要人物のひとりらしい自分が取り組まないと世界の危機が放置されると判断して、高難易度で悪名高かった「ゲーム」に取り組んでいきます。ストーリー的には、このご紹介時点でまだまだ序盤のようで、多くのキャラクターが何かしら自分の正体を隠しており、最終的に誰が敵に、また味方になるのか不明です。



小さな妖精に転生しました。~勝手に王城に住みつき好き勝手してたら色々問題が解決していたようです~ (fe)

https://ncode.syosetu.com/n3092hx/


 この作品では、主人公は魔法の国に小さな妖精として転生しますが、言葉が通じません。お姫様の格好の人(じつは王女)を襲撃から救い、お城らしい場所(じつはお城)に連れていかれて歓待されます。妖精ですから通ったり水につかったりするだけで(自分の意志と関係なく魔法がかかり)傷病が治ったり作柄が好転したりします。


 言葉が通じませんから、何が起きているのか正確にはわかりません。頼まれたことを誤解したまま実行したり、ときどき抜け出して独自判断で何かを始めたりします。それがカードを伏せるようにあちこちに累積していき、大事件が起きた時、一斉に表になって影響を発揮します。筆談も始めますが絵しか描けないのでそこがまた誤伝のはじまりになります。


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