ハズレ枠スキルで最弱だけどここを組み合わせてこうしてこうじゃ
コンピュータじゃないカードゲームだと、屁理屈のような、しかしカードテキストには反していない使い方がコンボを生んで「来月から公式大会で禁止」になったりしますよね。特定のコモンカード目当てに特定のエキスパンションが世界で売り切れとか。
異世界物にも、そういうかたちで単調な「弥七の探索→助さん格さんの成敗→ご老公の高笑い」ストリームラインを脱しようとするものがあります。「特定の不人気スキル・デメリットの大きいスキルとの組み合わせで」非常に得をすることを、前世のゲーム知識で気づいたり、今世の(善意の、または事情があって主人公を利用している)庇護者の力でデメリットを和らげてもらったりします。最近読んだ中で、
信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略(大崎 アイル)
https://ncode.syosetu.com/n1217et/
大ハズレだと追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する(猫子)
https://ncode.syosetu.com/n8465gx/
がこれに属します。どちらも語り口をコミカルにして、トリッキィなスキル行使(まあ、世渡り)が世界観から浮いてしまわないようにしています。「信者ゼロ」の女神様は、「月が導く」や「ハズレ枠」の理不尽な悪意を持った女神様の逆で、(何か企んでのことかもしれないけど)自分への拘束をはねのけるジョーカー候補生として主人公を守り育ててくれます。
都合の良い組み合わせで出会い続ければ……というのは「わらしべ長者」の系譜に連なるアプローチと言えるかもしれません。ですから「実際に起こる確率」をベースに人々がものを考えるリアルな世界とは相性は悪いでしょうね。