強い。だが、それがいい
最初は何と言ってもこれですね。
デスマーチからはじまる異世界狂想曲( web版 )
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いわゆるチート系主人公ですが、スキルや装備や魔法の能力や限界がやたら細かく規定されています。どうやら作者さんはプログラミング、それもプロシージャ・オリエンテッドなほうのお仕事をされていたようで、あれはできるがこれができない、しかし巻物を買ったのであるとき可能に……といった描写があって、第a話と第b話と第c話のつじつまが必死に(推定)合わせてあるんですね。まあ基本的に弥七とご老公を兼ねる主人公が助さん格さん犬さん猫さんを連れて漫遊しつつ、魔王信奉者の野望を叩いて砕いていきます。
じつはこの世界には何人かのプライムムーバー(陰で世界を動かす存在)がいて、魔王信奉者もそういう勢力のひとつでローカル組織と首領的存在が少しずつ明かされるのですが、そうした「世界の真相が少しずつ明らかに、ただしヒントはあちこちに少しずつ」というのを読み解くのも楽しみです。ただ完結してみると、死に筋になった設定がいくつもあって、それが書籍版で少しずつ整理されてきています。
中心になるのはシガ王国ですが、有力貴族が派閥を抱え、一部貴族を陪臣とし、その勢力争いも細かく書き込まれています。ただ話の中心ではないので、常備軍を持つ勢力が兵農分離の進まない勢力を……みたいな組織効率の争いは国内にはありません。後半になると周辺諸外国が描写されて、神殿勢力の強さ、力を信奉する度合いなどの違いが描かれ、体制ごとの強さ・もろさが描写されます。
主人公最強の魔法が「流星雨」であるように、戦争も戦闘も最初から最後までインフレ気味で、空飛ぶ魔物も飛行魔法も身体強化も登場します。