異変
舞衣と俺は旅に出た。
急に舞衣が出ていこうというので、俺もついていく次第であった。
俺は舞衣と一緒にいられるのならどこにでも行ってやろうと思っていた。
だから、舞衣がどこに行こうとしているのか、なぜそこに行くのかもわからなかった。
「あぁ、戦争が早く終わらないかなあ」
「戦争はなくならないわ。仮になくなったとしても、目に見えない戦争が続くようになってるの。人間というのはなんて愚かな動物なのかしら。」
「おや、舞衣は人間は高貴な生き物だと言っていたではないか?」
「愛に関してはね。余計なものが多すぎるのよ。総合的に見たら、やっぱり人間なんて卑劣な生き物だわ。」
俺は少し悲しかった。舞衣は人間に対してはどこまでも愛にあふれていてほしかったのだ。
「世界で憎しみがどんどん増えつつあるの。このままいけば憎しみだらけの世界になって、死ぬ苦しみよりも生まれる苦しみのほうが大きくなってしまうわ。だからね、私はそんな世界を変えたいと思っているの。」
この先は聞いてはいけない。そんな予感が俺の横を一瞬通り過ぎたものの、好奇心からかつい言葉が出てしまっていた。
「どうやってだい?」
「私たち以外の人間をすべて絶滅させるの」