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怖すぎるくらい幸せ
舞衣と俺は、その後一夜を共にした。
今まで味わったことのない甘美なひと時であったが、それは一瞬にして終わってしまう・・・。
「あら、あなた早漏だったのですね・・・」
舞衣はニコニコしながら俺に問いかけた。
「いいや、普段はそんなことないのだがね。舞衣が気持ち良すぎたんだ。」
「あら、まるでいつもしているような言い方ね。」
「ん・・・ええと、まぁ昔の話だ。あの頃は本当の「愛」の意味も知らずに、向こうからの誘いを受けてそのまま付き合ったのだがな。しまいには向こうから振られてしまった。全く、何を考えているのやらさっぱりわからんね。もし俺が女に告白でもしようものなら、死ぬまで大事にすると誓うのになあ。」
「あら、さっきまで「愛」の意味も知らなかったくせに。」
「ああ、だから人を愛することができなかったのだ。でも今は違う。愛しているよ、舞衣。」
「まぁ・・・、改めて言われると照れるわ」
「ふふ、何度でも言ってやるさ。」
こんな何気ない、愛にあふれた日常がいつまでも続いていたのなら、どんなに幸せだっただろうか・・・