表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/129

第73話 勝負です

何とかギリギリ書ききりました…。ストックせねば…。

「お、帰ったか。どうだった?」


昼間と同じように、宿に戻った聡を、食堂の椅子に座るルドルフが出迎えてくれる。


「面白かったですよ。」


「え、それだけか?何かこう…キャッキャウフフな話は無いのか?」


「ルドルフさんの顔で、『キャッキャウフフ』とか言われると、何だか犯罪臭がしますね。」


妙な言い回しに、聡は思わず笑ってしまう。


「おいおい。酷い事言うなぁ。…で、どうなんだ?」


口ぶりの割には、全然気にしてないようで、直ぐに探りを入れてくる。


「何もありませんよ。食べて、3人組をヴィリーさんに突き出して、服を見て、カフェに行って、帰ってきました。あ、これお土産です。」


言いながら、聡はアイテムボックスから、ミートパイを取り出して、ルドルフの目の前に置く。


「おぉ、ありがとう。というか、マジで何も無かったんだな。」


「ある訳無いですよ。」


まだ言ってるルドルフに、聡は呆れてため息をつく。どうして色恋に結び付けたがるのか。


「それに、そんなホイホイと、何かあってたまりますか。そうだったら、世の中の男は、皆苦労しませんよ。」


「…そういう事を言いたいんじゃ無いんだがなぁ。ま、あのエーリカが…。」


「エーリカがどうしたんですか?」


「いや、何でもないさ。」


もったいぶった言い方に、聡は首を傾げる。


「気になりますね。」


「まぁサトシは、そのまま知らない方が良い事だ。少なくとも、俺の口からは何も言えないな。」


ルドルフは、静かに首を横に振りながら、真剣な声音で言う。


「…そう言われては、仕方が無いですね。では、この疑問は、ルドルフさんが酒を奢るって事で、忘れる事にしましょう。」


「なっ!…く、くそっ。口を滑らせたのは俺だ。自業自得だから、奢るしかないじゃねぇか。」


疑問を無理矢理、心の奥底に押し込み、笑顔を作った聡は、冗談めかして言う。

すると、見た目にそぐわず、真面目なルドルフは、聡の言葉を本気と受け取って、奢ってくれるようだった。


「ありがとうございます。あ、実は俺、酒には強いんですよ?」


「ほほう。なら、勝負だ!俺だって昔、一気飲み対決で、百人斬りを成した男だ!負けてられねぇぜ!お〜い、アデリナ〜!」


聡がニヤリと笑いながら言うと、ルドルフも獰猛な笑み(本人は満面の笑みのつもり)を浮かべて、アデリナを呼び付ける。


「は〜い、何だい?」


「ここにある酒を、全て持って来てくれ。サトシと勝負するんだ。」


「あらあら。何故か私には、酒豪の貴方が負ける未来が見えるのだけど。」


自信満々なルドルフに、アデリナは『ホントに大丈夫?』と、視線を向ける。


「な、何だと!?勝つのは俺だ!」


「はいはい、今持ってくるから、大人しく待ってなさい。」


ムッとしたらしいルドルフが、大きな声を出すが、アデリナは軽くあしらう。


「さてさて。俺が勝ったら、何をしてもらいましょうかねぇ。」


「俺も、勝った時に、サトシに何してもらおうか、今から楽しみだ。」


『フフフ』と笑いながら、しかし、視線はバチバチとぶつかり合わせながら、睨み合う。

と、そこに、アデリナが酒を、樽に入った状態で持って来た。


「はいよ。お待たせ。コップを持って来たから、酒を樽から汲んで、勝負しな。その方が、やりやすいでしょ。」


よく気の利く女将である。ルドルフは、嬉しそうにコップを受け取る。


「あぁ、助かるぜ。」


「…樽では飲まないんすね。」


しかし、ここに1人、常識外の化け物が居た。元々、酒には強く、どんなに呑んでも限界が見えず、戻しもしないし、二日酔いにもならないし、いつも通りの判断も下せ、性格も変わらないという、とんでも人間だったが、トイフェルを倒してからは、【不老不死】先生にお世話になるまでも無く、更にアルコールに強くなった聡。

更には、エンデ村では、あの蟒蛇親子を目撃している。この世界の酒豪なら、樽で一気は当たり前なのではと、勘違いをしているのだ。


「「は?」」


聡のとんでも発言に、ルドルフとアデリナが、揃って目を丸くしている。


「いえ、何でもありません。では、勝負といきましょうか!」


「お、おう!負けねぇぜ!」


こうして、慌てて誤魔化す聡と、嫌な予感がして、冷や汗が止まらないルドルフの、一騎討ちが始まるのだった。

_____________________________________________


「も、もうまぢむり…。も、もどしそぅ…。」


「おっと。」


樽の中身が、半分くらいになったところで、顔を真っ赤にしたルドルフが、机に突っ伏した。慌てておつまみを退かして、料理に顔を突っ込むのを防いでやるが、どちらにせよ、再起不能っぽかった。


当然の結果である。ステータスとは、生物としての強度を示すものだ。そして、【亜神】などという称号を持つ聡は、通常の生物としての範疇を大きく凌駕していた。その為、ちょっとやそっとのアルコールでは、ほろ酔い程度にもならないのだ。


こうして、聡とルドルフの一騎討ちは、呆気なく幕を閉じたのであった。

エーリカは、一体どんな問題を抱えているのでしょうか?

あ〜、早く解決してあげたい〜!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ