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第72話 また泣かれた!?

コーヒーを味わいまくりの聡です。自分なら、そんなに飲んだら、お腹を下しそうです(笑)。

あの後、コーヒーを6杯もおかわりした聡は、周囲から驚愕の目を向けられながらも、平然と無視して、コーヒーを味わった。


そして今は、エーリカがパフェを食べ終わり、一息ついてるところだった。


「よくそんなに、甘い物が食べられるなぁ。」


「甘い物、大好きだから。というか、それはこっちのセリフよ?」


『コーヒーをよく飲めるね』とでも言いたいのだろうか。まぁ実際、知らない人からしたら、あんな真っ黒な物を飲むなど、正気の沙汰では無いだろう。それが、コーヒーの普及を、大幅に妨げてるのだろうか。


「まぁ、要は慣れだから。俺の故郷なら、別に珍しくも無いよ。」


「故郷?そういえば、サトシは聞いた事無い地名出身だったわね。そこで育って、その後に人里離れた地に友人と2人で住み、で、その後旅の途中にこの街に来たって事だよね?」


「そうだね。」


ちょっと流れが、聡にとって嫌なものになる。嘘をつけば、必ず矛盾が発生して、何かしらのタイミングで、酷い目にあうだろう。


「あ、そうだ。これ、エーリカにあげるよ。手を出して。」


話題の転換にと、聡は懐からとある物を取り出し、軽く握る。


「え、何?」


不思議そうにしながらも、手の平を差し出してくるエーリカ。

そのエーリカの手に、小ぶりのピンク色の宝石、恐らくはサファイヤが付いた、ネックレスを置く。


ここで1つ、聡のプレゼントの基準を確認しよう。


聡は、基本的に女性に、何か贈り物をした事は無い。しかし、この世界に来てから、イルマにエメラルドの付いたネックレスを、そして今、エーリカにも同じように、ピンクサファイヤの付いたネックレスを贈っている。


理由として、この世界の女性が喜びそうな物に関しては、ほぼ知識が無い。そこで、安直な聡は、女性は装飾品が好きだろうと決め付け、装飾品の中でも代表的な物で、結婚を連想させる指輪は止め、また、ピアスも穴を開けてない人には贈りづらい。

そこで、簡単に装着出来、格好しだいでは目立ちにくい、ネックレスを贈るのだ。


だから、このプレゼントに、特に深い意味は無い。


「え…。」


だかしかし、エーリカには効いた(・・・)ようで、今までで一番の驚愕を見せる。

そして、その綺麗な双眸に、涙を溜める。


「うぇ!?な、何で!?そ、そんなに嫌だった!?それとも何か、この色の宝石が付いたネックレスと、渡すタイミングが、特別な意味を持ってるとか!?」


先程、服屋で見かけて、『これだ!』と選んだのだが、エーリカには不服だったのだろうか?それとも、『月が綺麗ですね』ばりの、とんでもない意味が含まれてるのか。


「ううん。ち、違うの。サトシから貰えて、とても嬉しいの。だから、その…。」


涙を拭きながら、エーリカは言葉に詰まる。


「じゃあ、何で泣いてるんだ?」


出来る限り優しい声音で、聡は問う。

聞かない事には、慰める事も出来ない。


「えっと、その、何と言うか、こういうのを、親しい男性から貰うのが初めてで、とても嬉しくて、感極まっちゃったというか…。と、ところで、何でピンク色の宝石が付いたやつにしたの?」


「えっと、俺の故郷に、エリカっていう花があるんだけど、その花の色が、確かピンク色なんだよ。で、エーリカの名前と発音が似てるから、これにしたんだ。」


この知識は、昨晩、エーリカという名前に、何か愛称とかあるのかな〜と、何の気なしに検索した際、検索結果として引っ掛かったものだった。


「そ、そうなのね。ちなみに、1000年ほど前から伝わる、エルフ族の風習では、贈られる人の好きな色の宝石が付いたネックレスを贈ると、婚約の申し込み、受け取ると承諾を意味するのよ?因みに私は、ピンクが好きなの。」


「え…。」


-あれ〜?さっきは、『特別な意味』を否定してなかったか!?というか、トイフェルの持ってる書籍には、そんなもの書いてなかったぞ!?聞いても無い!!-


聡は思わず頭を抱える。


そんな聡を見て、にこやかに笑いながらエーリカ。彼女は、受け取ったネックレスを、聡の目の前で付ける。


「え、あ、その…。」


「まぁ、エルフ族同士の場合だから、安心してね。」


「な、何だ。いきなり、結婚を申し込みをした、失礼な野郎になったかと、焦ったわ…。」


エーリカの言葉に、聡はホッと胸を撫で下ろす。エーリカとは、少しは仲良くなったと聡は感じていた聡は、その関係をぶち壊したくは無かった。


「サトシがそう望むなら…。」


「え?何か言った?」


ブツブツと口の中に留めるように、何かを呟くエーリカの言葉が、今度こそ聞こえなかった聡は、聞き返す。


「いえ、何でも無いわ。それよりも、今日は付き合ってくれて、ありがとう。」


「いや、こっちこそ、今日は充分に楽しめたから、気にしないでくれ。」


お礼を言ってくるエーリカに、聡は笑いながら言う。


「そ、そう?なら良かったわ。私が振り回した形になったから、機嫌を悪くしてないかって、気が気じゃなかったから。」


「気にし過ぎだよ。」


『あははは』と2人して笑いながら、この日はお開きとなるのであった。



















エリカの花言葉は、荒野に自生する事から、『孤独』、『寂しさ』とされている。

何時に無く、妙な書き方しました。


因みに、キャラ設定は、最初期から変わりませんが、執筆の過程で、偶然エリカの花言葉を目にしたのですが、ピッタリと人物像に合ってたので、こんな書き方をしてみました。

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