表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/129

第64話 試し撃ちに行こう

検索履歴に、『銃 構造』『銃弾 構造』『ゴム弾』とあったら、それのスマホの持ち主が私です(笑)。

「おぉ…!懐かしいなぁ…。」


聡は、スマホの画面を覗き込み、独り言をぶつぶつと言いながら、スクロールさせていく。

今は、過去に見ていたアニメを、1話から順に見だしたところである。


と、そこに、部屋のドアがノックされ、ティアナが外から声をかけてくる。


『お兄ちゃん?起きてる?朝ご飯出来てるよ〜?』


「え…。」


その言葉に驚き、慌てて部屋を見渡すと、窓から朝日が入って来ていて、すっかり夜が明けているのが分かった。

どうやら、朝を迎えたのにも関わらず、全然起きてくる気配が無い聡を、起こしに来てくれたようだ。


「あ、起きてるよ。今から行くから、大丈夫だよ。」


『うん、分かった!用意して待ってるね!』


慌てて返事すると、ティアナは元気な声で返してから、トタトタと足音をたてて、下に降りて行く。


「マジかぁ…。」


部屋の中が明るくなっている事に気が付かないほど、熱中してしまった事に、苦笑いの聡。この300年間、どれだけネットに飢えていたのだろうか。

まぁ、こうしていても始まらないので、聡は少しの間、目を閉じて、全身を弛緩させる。


「…うん。これで大丈夫か。」


数秒後、目を開けた聡の表情は、先程の寝不足の疲れた様子から、一気に活力溢れる表情へと変化していた。


「『不老不死』は便利だな。ま、多用はしたくないけど。」


聡は、『不老不死』発動させて、疲れをとったのだ。エナジードリンク要らずの、羨ましいスキルであるが、あくまで『人間らしい生活』を望む聡には、あまり好ましくない使用方法だった。


今回は、午前中にしたい事があったのと、午後からのエーリカとの約束の為に、仕方なく使用したまでだ。


「さて、行くか。」


モタモタしていては、折角の食事が冷めてしまうので、聡はベッドから立ち上がって、部屋から出る。こうして、聡の慌ただしい1日は、始まりを告げたのだった。

_____________________________________________


「よっしゃ、やるか!」


朝食後、聡はまたしても小鬼の森へと足を運んでいた。

その理由は、今、聡が手にしている、黒光りする物騒な代物の試し撃ちである。


「流石に大地を抉るような威力は無いだろうけど、一応念の為な…。」


適当に、聡が腕を回したぐらいの太さの木に向けて狙いを定め、軽い気持ちで引き金を引く。


『ズガン!!』


「あれ?」


乗用車が正面衝突したかのような轟音で、弾丸が発射される。

弾丸はそのまま、10本ちょいの木々を貫き、それらはメキメキと音を立てて、順々に倒れていく。


「嘘だろおい…。」


そんな中、聡は威力よりも、別の事に対して驚きの声をあげていた。


「い、威力も想定以上だけど、それよりも弾丸の速度だ…。俺の目で簡単に追えたぞ…。」


これは、聡の作った銃の性能が悪い訳では無い。寧ろ、速さも数倍はある。

だが、聡の目はそれを正確に捉え、尚且つ余裕で追う事が出来たのだ。


「…生命力だけじゃなくて、生物としての機能その物が、人間を辞めちまってるのかよ…。笑うしかないわ。」


そう言うが、聡の表情は全然笑っていなかった。


「こりゃあ、お兄様の銃弾掴みも、全身真っ黒の剣士の銃弾弾きも余裕で再現出来るな…。」


ただの試し撃ちのつもりが、思わぬ事実が判明する事になり、気落ちする聡。


「…さ、さて、別の弾丸を試すか。」


気を取り直し…ては無いが、昨日のうちに作っておいた、別の弾丸を装填する。

次は、弾頭を固めのゴムで作った、非致死性のいわゆるゴム弾である。素手やその他の方法では、人間相手に加減を間違えてしまう可能性もある為、ゴム弾は聡にとって超重要な物になる。


「今度は頼むぞ…。」


一抹の希望を胸に、引き金を引く聡。今度は『パンッ』と乾いた音を発してから、ゴム弾はそれなりの速度で飛翔し、木にぶち当たると、そのまま跳ね返り、あらぬ方向に転がっていく。


「おぉ!さっきよりは、若干速度は落ちてるけど、これなら普通の人間なら死なんだろう!」


近寄って見ると、当たった所は少し凹んでいるが、人間でも十分に耐えられる威力だろう。


「他には…。いや、他は別のところでやろう…。」


一発目の威力を思い出し、他のバリエーションの弾丸を試すのは止める聡。爆発したり、電撃が発せられたり、弾頭が炸裂したり等々、えげつないものばかりなのだ。

こんなとこでぶっ放したら、環境破壊もいい所である。


「ま、取り敢えずは通常弾と、ゴム弾で十分だろう。使わない事に越したことはないけどな。」


昨日作っておいたホルスターに差し、凝った肩をぐるぐる回して解す。初めて実弾を発射し、知らないうちに、身体に力がはいっていたのだろう。


「さて、時間は…もう11時か。さっさと戻らないと、エーリカとの約束に間に合わなくなるな。」


ポケットからスマホを取り出し、時刻を確認する。

買い物に付き合う前に、何か腹に入れておかないと、その最中に、お腹をぐーぐー鳴らす事になるだろう。


取り敢えず、今日のところは引き上げることにしたのだった。

ギャルゲ実況を見ながら書くのが、最近のルーティーンです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ