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第63話 涙が出そうです

旅行がした〜い!!!!

「いよっしゃぁぁぁあ!!成功だ〜!」


宿の部屋に、聡の歓喜の声が響き渡る。その手には、この世界では見慣れない、薄い板が握られていた。事は数分前に遡る。


やっとこさ面倒事から解放され、宿に戻ってきた頃には、既に午後10時近くになっていた。ギルドから宿に、聡が誤解により捕縛されている事が伝わっていたので、アデリナとティアナが心配した様子で出迎えてくれた。


その後、2人の厚意で、大量の夕食を振る舞われ、満足した聡は、お礼を言ってから自分の部屋へと戻った。

そして楽な格好に着替えてからベッドに腰掛けた聡は、とある実験を行ったのだ。


『この世界でも、ネットが使えるように出来るのか?』という実験だ。

時間停止機能付きのアイテムボックスに仕舞われていた、スマホとパソコンは、召喚された当時のままの状態で、問題無く動作した。


そしてそれらを聡が全力で魔改造し、魔力で動くようにし、更にあの手この手で環境を整えてやると、何とインターネットに接続する事に成功したのだった。


「この瞬間を、どれ程望んだ事か…。ネット三昧だった俺が、300年も一切触れずにやってきたんだ。居るかは分からんが、神様も許してくれるだろう。」


聡は思わず泣きそうになる。ネットの無い300年間は、余程苦しい生活だったのだろう。


よくあるネット小説では、『干渉が〜』『死んだ事になってるから〜』等々、色んな理由を付けられて、接続出来ない事が多いが、聡の場合はチャットアプリですら、余裕で使用が出来る状態だった。


「日付は…ん?俺が召喚された日と、年号までもが一致してるぞ?動画サイトも…おぉ。毎日投稿のチャンネルが、見覚えのある動画が最新になってるな。」


契約していた通信業者の回線も、全く問題なく動いたので、試しに117にかけて時報を聞いてみるが、時刻は進んでいくものの、召喚されてから大して時間が経ってない事も判明した。


「マジか…。俺がネットを繋げた事により、こっちの世界とあっちの世界の時間の進み方が同期したって事か?何がどうなっとるのやら。」


何はともあれ、当初の狙い通り、見事にネット環境を整える事に成功した聡は、歓喜に震える。


「い、今は遊びじゃなくて、目的のものが見られるかを確認しないとな…。」


興奮のあまり、少し震える指でワードを打ち込み、検索をかける。


「おぉ!全く問題なくアクセス出来るのか!これなら作れるぞ(・・・・)!」


聡の覗き込む画面には、『銃』の構造の画像が映し出されていた。


聡は、自身の身体能力の変貌に伴う、やり過ぎ問題に対処すべく、とある事を思い付いたのだ。


『攻撃に自分の力を加えない方法だったら、馬鹿げた威力にならないんじゃね?』と。


幸い、様々な材料は、アイテムボックスに腐るほどある為、挑戦するだけしてみようと思い立ったのだった。


「なるほどなるほど…。単純にしか構造は理解出来てないけど、魔法の力でごり押しすれば、何とかなりそうだな。いっちょやってみっか。」


こうして、聡はDIYのノリで、物騒な物を作成しだすのであった。


___________________________________________


「おぉ…。」


1時間後、聡の手には、黒光りする物騒な代物が乗っていた。


形は某ドイツの拳銃メーカーが、アメリカのとある軍に依頼され、作成した物に似せたが、その性能及び材料は全くの別物となっていた。


まず本体であるが、いわゆるファンタジー素材である、ミスリル、オリハルコン、アダマンタイト、ヒヒイロカネなどをふんだんに使用しており、その強度たるや、アフリカ象が何回踏んでも、一切形が歪まない程になっている。


弾丸に関しては、大昔に世界を大混乱に陥れたとされる、エンシェントドラゴンの骨が使用されており、更に薬莢の中には、聡が作った魔法の『エクスプロージョン』を付与した火薬が入れてある。


そして撃鉄が雷管を叩くと、火薬が炸裂すると同時に、『エクスプロージョン』が発動して、高威力で弾丸が発射される。


そして弾頭に手を加えれば、対象物に着弾した時に、何かの特殊効果を発生させる事も出来る。


「よし、これでまともに戦闘が出来るぞ!」


試し撃ちは出来てないが、予想ではゴブリンキングを一撃で倒せる程度(・・)である。その為、今日のような、人外扱いされる事は少なくなるであろうと、聡は希望を持つ。


トイフェルが言うには、この世界では、かなりの昔の勇者が、簡単な火縄銃の様なものを当時の職人に作らせたらしいが、魔法の方が発動速度も威力も圧倒的に優れていた為、すぐに廃れてしまったそうだ。

しかし、その存在を知る者は、多い訳では無いが、それなりに知る者が居る為、あまり変な目で見られる心配は無いとにらんでいる。


「あとはグレネード系を作製すれば、戦いの幅が上がるな。」


頭の中には、ダンボールを被って敵地に潜入し、単身で戦車や戦闘ヘリ、果てにはAI搭載型の兵器を倒す伝説の傭兵の姿が浮かんでくる。


「さて、折角だから、ネットサーフィンしてから寝るか〜。」


言いながら、パソコンを開く聡。気色満面である。今にも鼻歌を歌いだしそうな様子の聡は、睡眠を忘れて電子の海へと漕ぎ出すのであった。

なんと今回は、ネットを繋げちゃう回でした。知識無双が出来ますね(笑)。

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