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第57話 やらかしたらしい

何もしない一日って、最高ですよね。

恐る恐る中に足を踏み入れると、その部屋はおよそ20畳ぐらいの広さで、屋敷の広さに対してはこじんまりとした感じは否めないが、高そうな石造りのテーブルを囲む形で、4つの何かの皮でできたソファが置かれていた。


壁側にある壺などの調度品も、地味に高そうな雰囲気を醸し出しており、聡は胃がキュッと締め付けられる思いで、中に入る。

中には、顔を青くしたルドガー、心配そうな表情でこちらを見るルドルフ、エーリカが座っていた。


「ようこそおいでくださいました、サトシ殿。私は、この街の代官を務めさせていただいています、コルネリウス・ベルクフリートと申します。以後、お見知り置きを。」


聡が中に入ると、1番奥の上座に座っていた、壮年の金髪の美丈夫、コルネリウスが1人掛けのソファから立ち上がり、挨拶をしてくる。


「私は、冒険者(・・・)のサトシと申します。」


態々冒険者と口に出して、今の自分の立場は、冒険者ギルドに与する者という、印象を与えようとする。

冒険者ギルドは、その多大なる武力と影響力から、並の貴族では手が出せない程の、権力を持っている。その為、この際だから、冒険者ギルドに庇護してもらおうと考えたのだ。


「サトシ殿。この度は、配下の兵が大変失礼を働いてしまい、誠に申し訳ない。」


「いえ、こちらこそ、御手を煩わせてしまい、申し訳ございませんでした。」


思っていたよりも、コルネリウスの態度が丁寧だったので、聡は多少の不満はあるものの、取り敢えず頭を下げる事にした。


明らかに兵士たちが悪いとはいえ、聡が不用意に街に近付き、怪しい格好で泣いてる代官の娘を抱きかかえていたのだから、自身に非が無いとは言い切れない。

…ちゃんと話は聞いてくれよ、とは思っているが。


「いや、こちらこそ、本当に申し訳ない。そもそも、家の馬鹿娘が…。いや、立ち話も何ですし、こちらにお掛け下さい。」


一瞬怒ったような表情を浮かべるが、直ぐにキリッと表情を切り替えるコルネリウス。


「はい、失礼します。」


コルネリウスは、彼から見て右側の、自身の席から一番近い場所を手で指し、聡に座るように促す。つまり、上座の2番目であり、それだけ聡に対しては、しっかりと謝罪がしたいのだろうか。


聡は、ゆっくりと腰を掛けてから、コルネリウスに向き直る。


「ん?サトシ?拘束具はどうした?ヴィリーは鍵を忘れてったが。」


そこに、ルドルフから声がかかる。どうやら、ヴィリーと同じ疑問が浮かんだらしい。

聡は、今度こそは笑い話にしてやろうと、懐から見るも無惨に捻じ曲げられた拘束具を取り出して、笑いながら言う。


「あんまりの扱いに、ちょっとイラッとしたので、腹いせにちょちょいのちょいと、こう捻じ曲げちゃいました。あははははは。」


「「「「はい?」」」」


だが、聡の言葉に笑ってくれる、心優しい人は居なかったようで、全員が目をまん丸にひん剥いて驚く。


「ちょっと待てサトシ。それは魔法を封じる効果があったよな?つまり…。」


「はい。素手で捻り切りました。」


「マジかよ…。笑い話にもならんぞこれ。」


「そ、そんなに驚く事何ですか?正直、大して力は込めてませんよ?」


「あのな、サトシ。罪人を捕らえておく用の拘束具が、ヤワな出来だと思うか?」


罪人は、基本的に戦闘能力が高いので、その分、丈夫に作ってるはずである。


「いえ、そうは思いませんが…。」


「その拘束具は、大きささえ変えれば、ドラゴンですら数年は拘束できるっていう、とんでもない代物なんだぞ?」


「え…。」


とんでもない事実に、聡は驚愕する。

この世界においてドラゴンとは、生態系の中でもほぼほぼ頂点に君臨するような、最強の魔物である。万夫不当の存在であり、一体で街が数個廃墟と化したなど、挙げたらキリがない程の、あちこちで暴れ回っている。

幸いな事に、テリトリーからあまり出ない事と、個体数が少ない事から、ドラゴンによる大規模な被害は、10数年に1度くらいの頻度で発生となっている。


だが、そんなドラゴンですら拘束する物を、魔法も使わず素手で壊した聡は、ドラゴン以上の化け物となる。


「き、金属疲労って事は…。」


「手足の拘束具が同時にか?見たところ、凄い力が加わったように見えるが?」


「…はい、すみません。普通に壊しました。」


今更ながらに、何とか誤魔化せないかと、聡は言い訳をしようとするが、証拠品を自分で渡してしまってるため、早々に諦めて平謝りするしかなくなってしまう。


「皆様、驚いているところ、申し訳無いのですが、サトシ様のギルドカードを見ていただきたいのですが…。」


「おいおい…。まだ何かあるのか?」


呆れた口調で、ルドルフはヴィリーに聞く。


「口で説明するより、見た方が早いので、お願い出来ますか?」


「はい、分かりました。」


ヴィリーに促されて、聡はギルドカードを机の上に置く。

すると、その場に居た全員が身を乗り出して、カードを覗き込む。


「「「「え…。」」」」


その記載されている内容に、驚きのあまり、またしても固まってしまう一同であった。

聡にとっては、発泡スチロールを壊すのと、拘束具を捻じ曲げるのは、ほぼほぼ変わらない作業なので、壊した時にはその仕出かした事の大きさには、一切気付いていませんでした。

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