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第17話 殺す気か!?(死なない人が言うと、ただのネタ)

何か、『固○時制御(タイム・○ルター)』みたいな魔法になってしまいました…。べ、別に、パクリじゃ無いですよ?だって、動けませんし?←言い訳がましい(笑)。

「ま、【魔法創造(マジッククリエイト)時間停滞(タイムスタグネーション)】!」


門付近の櫓から、矢が放たれた瞬間、聡は予め考えておいた魔法を発動させる。

この魔法は、自分の思考以外の時間を、全て停滞させるというものだ。タキサイキア現象、いわゆるスローモーション現象とは違い、実際に周囲の動きが鈍くなるという点がミソだ。


-さて、どうすっかな。って、怖っ!もう届くまでに、そんなに距離無いやん!-


見ると、既に聡から20メートル程しか離れていない位置に、矢はあった。長らく危機に晒されていない聡にとっては、いや、普通の人間にとっても、十分に恐ろしい光景だろう。


-そ、それよりも、対処法だ。慌てて回避しようものなら、村ごと破壊するようなパワーが出かねないからな。あの位置から予測すると…ふむ、一応は急所は避けてるみたいだな。狙いは右の肩口辺りか?大半の人間には防ぎにくい、嫌な位置だな。-


この世界でも、多くの者が右利きであると聞いているため、恐らくは殺さずに無力化するためだろうが、防御しにくい場所を狙われるのは、良い気分では無いようだ。


-かと言って、態々受けてやる義理も無いか。じゃあ、自然を装って下にしゃがみ込むか。【時間停滞(タイムスタグネーション)解除(リムーブ)】!-


考えを纏めてから、魔法を解除する。そして世界の動きが元に戻った瞬間、聡は普通の人間レベルの速さで、叫びながら頭を抱えてしゃがむ。


「うわぁ!?」


聡が心の中で『成功!』と考えると同時に、右後ろの方で、矢が地面に刺さった音が聞こえてくる。

聡に矢が当たっていない事を、慌てて確認したマリウスは、何かを思い出したかのように、ポンと手を打つ。


「あ!合言葉叫ぶの忘れてたわ!今までで使った事が無かったから!『エンデ村は、最強の村です』!」


マリウスが大声で言うと、村の方からも大声が聞こえてくる。


「『何故ならば、村長が最強だからです』!」


…この合言葉のセンスの無さ、恐らくマリウス自身で決めたのだろうが、それを忘れるとは何事かと、聡は恨みがましく視線を向ける。


「す、すまん。俺が村長に就任して15年になるんだが、その際決めたこの言葉を、使った事が無くてだな。その、なんだ。む、村での滞在費を、全て俺が持つから許してください!!」


聡の視線に負けたのか、マリウスは深々と頭を下げて謝る。

一方の聡は戸惑ってしまう。


「え、えぇ?」


確かにマリウスが悪いのだが、それでもいきなり矢を放つなど、誰が想像出来ようか。それにこう言ってはなんだが、こんな辺鄙な土地に来る者など、滅多に居ないため、来客が来た際の合言葉など忘れてても、責められないのではと思っていたからだ。

恨みがましい視線を送ったのも、一般人を装うための必要な演技であり、本気で不快感を懐いている訳では無い。


「い、いや、大丈夫です。結果として、私には当たってないので。はい。」


「そ、そうか?俺だったら射った奴、ボコ殴りにしてるけどな?」


呆気なく許した聡を、マリウスは信じられない物を見る目で見てくる。


「まぁ、マリウスさんが滞在費持ってくれるっていうのには、勿論乗らせて頂きますけどね。」


「何!?って、俺に拒否権は無いか。せ、せめて射った奴と折半にしてくれないか?」


「ふむ、許可します。…拒否されてたら、マリウスさんの亜麻色の髪の毛が、明日の朝には禿げ上がっているところでしたよ。」


『フフフフ』と、聡は怪しい笑みを浮かべて呟く。


「ちょ!?なんて事を言うんだ!」


聡の言葉に、慌てて頭を抱えて飛び退くマリウス。一悶着あったものの、こうしてどうにか無事 (?)、村に入る聡達だった。

________________________________________


「本当に、申し訳ございませんでしたっ!!」


「え、えぇ?」


目の前で深々と下げられる、金髪の頭を見ながら、本日2度目の戸惑いの声を上げる聡。

村に入った途端、いきなり大声で謝られれば、誰でも戸惑うだろう。


「あ、若しかして、私の右肩辺りを狙って、矢を射った人ですか?」


この状況でそれ以外無いのだろうが、暗に『貴方にそこまで怒ってませんよ』アピールとして、態々急所で無い所を狙ったと分かってる事を伝える。


「そ、その通りです!良く私の狙いが分かりましたね!」


矢が飛んでくるやいなや、速攻頭を抱えて蹲った者とは思えない程の観察眼に、頭を下げていた人物は驚いて顔を上げる。


「…おぉ。これはまた。」


上げられた顔を見て、聡は思わず感嘆の声を洩らす。何故ならば、矢を射った人物は、声で女性とは分かっていたものの、普通に可愛い少女だったからだ。

長年女性と話さなかった聡は、相手が可愛いという事も起因となったのか、動悸が上がるのを感じながらも、何とか冷静を保ちながら、隣に居るマリウスに話しかける。


「マリウスさん。」


「何だ?」


「村での滞在費は、全てマリウスさん持ちで決定です。」


良い笑顔で、聡は残酷な宣言をする。


「な、何だと〜!?」


こうして平和なエンデ村に、朝っぱらからマリウスの図太い叫びが、響き渡ることになった。

ようやく1輪、花が咲きました。長い道のり…あれ?私にしては、結構早めに女性が登場したような?

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