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第124話 ヒヤヒヤしました

朝まで飲み会×4日間の後、翌日に高熱出てぶっ倒れた事あります。不思議と、飲み会やってる時は体調がすこぶる良くて、飯も酒も大量に消費したのですが、やっぱり人間には限界があるのだと学びました(笑)。

「おはようサトシ。」


「おはようございますサトシ様。」


翌朝、朝食を食べてるところに、エーリカとフラウの2人が、宿に入ってきた。


「おはよう。」


「ところで、そっちで突っ伏してるのはルドルフ?一体どうしたのよ?」


挨拶を返しながら、健康的に朝食を頬張る聡の正面で、死んだように倒れているルドルフを見て聞く。


「あぁ、ルドルフさんなら、昨晩から(・・・・)ずっとこの状態だよ。弱いのに、大量に飲むからこうなったんだ。」


「さ、昨夜から?まさかサトシ、ずっと飲み続けてたの?」


「まぁね。ちょっとその、飲みたい気分だったんだ。」


アデリナには、酒やつまみを大量に置いてもらっていたので、夜中に迷惑をかけること無く、好き勝手に飲み食い出来たのだが、それでも若干やり過ぎた感も否めないので、苦笑する。


「飲みたい気分ですか?何か嫌な事でもあったんですか?」


心配そうに聞いてくるフラウ。


「いや、そういう事じゃなくて、寧ろ逆かな?」


「逆?どういう事?」


首を傾げるエーリカに、少し照れた様子で答える。


「ほら。昨日は色々とあったろ?それで、夢心地というか何と言うか、まぁそんな感じで、自分の中でのお祝いも兼ねて、こうして飲んだんだ。」


そういう事である。ブルーになって暴飲暴食した訳では無い。


「そ、そうなんだ。お祝いとする程、良い気分になってもらえるだなんて、何だか照れるわね。」


「そ、そうですね。」


2人も照れた様子だ。


「う、うぅ…。ぶっ倒れてる人の頭の上で、いちゃつかないでくれ。」


と、ここで、酔い潰れていたルドルフが、呻きながら起き上がった。


「お、漸く起きましたか。大丈夫ですか?」


水をコップに注ぎ、手渡しながら声をかける。


「ほ、ホントにお前は人間か?あれだけ飲んだのに、ケロッとしてやがる。」


「あ、自分は、ルドルフさんが潰れてからも、ずっと飲み続けてたので、想像の数倍は飲んでますよ?」


「お前は酒の神か何かか!?」


こうして朝から騒がしい1日が始まったのだった。

_____________________________________________


「ギルド職員を、辞めさせていただきます。」


「ま、マジ?」


「はい、マジです。」


重大な話があるとして、聡とフラウを引き連れて、ルドガーのもとを訪ねたエーリカは、いきなりストレートに伝える。


「えっと、理由は何だ?」


「サトシに着いてくからです。元々、そろそろ職を辞して、何か別の事を始めたいと思ってたので、丁度良かったです。」


「…あ〜、その、何だ?サトシとエーリカは、恋仲になったって事か?」


「その認識で間違いありません。ね、サトシ?」


どんな気分なのか、何故か目が泳いでるルドガーの問いに、エーリカが笑顔で答える。しかも、話を聡に振ってくるという、悪意は無いのだろうが、中々に酷い事をしてくる。


若い頃に告白して来たという話だが、実は今でも好きなんじゃないだろうか。そう考えた聡は、簡潔に答える。


「えぇ、はい、間違いありません。」


「それと、同じくフラウさんも、サトシと恋仲になりました。」


「お、おぉぅ…そ、そうか。おめでとう…あ、今日は帰っても良いか?はは。はははは。ははははははは…。」


衝撃的な報告を受けたルドガーは、風が吹けば飛びそうなほど、フラフラとし始めた。


「大丈夫ですか!?取り敢えず、この紅茶を飲んで下さい!」


大慌てで魔法でお湯を用意し、一瞬で温かい紅茶を淹れる。


「た、助かる。…はぁ〜。」


席から腰を浮かして、この場から逃げ出そうとしたルドガーを座らせて、一旦落ち着かせる。ここで仕事放棄されては、ギルドが大変な事になってしまう。


「あ〜、すまん。少し取り乱したようだ。」


ー少しでは無いような…。ー


心の中でツッコミを入れるが、そんな事を口に出して言えば、殴られそうな予感がするので、止めておく。


「いえ、自分は問題ありません。それよりも、大丈夫ですか?」


「あぁ、何とかな。にしても、まさかあのエーリカに、本当に男ができるとはな。…ついに、克服(・・)したという訳か。」


「そういう訳ではありません。私は、サトシでなれけば駄目なんです。」


聡には分からないやり取りをする2人。長い付き合いなのだから、色々とあるのだろう。


「そうか。サトシ。俺が言うのもあれだが、エーリカの事、よろしく頼む。」


「はい、全霊をもって、必ず幸せにしてみせます。」


せめて本気度が伝わるように、態々恥ずかしいセリフを、真剣な顔して言う。言ってから少し後悔しかける。


「も、もうサトシったら!急に恥ずかしい事言わないで!」


だが、エーリカが顔を赤くして、少し嬉しそうなのを見て、後悔は薄れる。


「あ〜、イチャつくのも結構だが、俺からも話があるんだ。いいか?」


「は、はい、すみません。」


引き攣った笑顔のルドガーに言われ、聡は即座に真面目な顔を作る。


「まずは、先日の『鏖殺』の討伐、ご苦労だった。約束通り、報酬のフラウさんのギルドカードだ。人族で登録してあるが、まぁ下手な事しなければ、3、40年くらいはもつだろう。」


「ありがとうございます。」


ギルドカードを受け取り、フラウに渡しながら言う。これで簡単に街等に出入り出来るようになるので、大分助かる。


「いや、サトシには大分世話になったんだ。これぐらい当然だ。というか、まだまだ報酬はあるぞ?」


ドンと音を立てながら、机の上に皮袋を置くルドガー。ジャラジャラと音もするので、大体何が入ってるのか分かった聡は、顔を引き攣らせるのであった。

財が聡の元に集まりますね…。どうにかして経済を回さねば。

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