表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/129

第114話 相談

『鏖殺』回は、今回で完全に終了です。

「何となく分かった。理由は聞かないでおこう。」


「助かります。」


聡の今の精神状態を一言で表すなら、『普通じゃない』であろう。


産まれて初めて女性にあんな事をされ、戦闘が終わってからそんなに間が空いてない事を考慮しても、明らかにテンションはおかしいし、混乱していて正常な判断能力もあまり残ってない。


「えっと、今日は一旦帰っても良いですか?少し疲れました。詳しい話は後日って事で。…ほいっと。こんな感じで拘束したので、ドラゴンでも死ぬまで解けないレベルで頑丈なやつです。」


ここまでは、最低限の説明をしないと、人としてどうかと思ったので、気力を振り絞ってしたが、これ以上は色々とボロを出しそうだ。


その前に退散したいので、聡は考えうる限りで、常識的な範囲内で一番頑丈な手錠と足枷、目隠しも付けてから、『鏖殺』にかけていた【ヒュプノス】を解除する。


「…うぅ。」


すると、意味のある言葉は発さない状態だが、ちゃんと意識はあるようで、自分の状態を確認しようと、頭を動かしている。


「そうか。…分かった。『鏖殺』をたった数時間で捕らえてくるなど、常識では考えられない程の働きをしたサトシを、こうして何時までも拘束する事も出来んだろう。今日はゆっくり休んでくれ。」


「ありがとうございます。…エーリカ。」


あっさりと聡のお願いを聞いてくれたルドガーに、頭を下げて礼を言ってから、エーリカを真っ直ぐ見る。


「何?」


「その、なんだ。えっと、必ずちゃんとした答えは出す。少し時間が欲しいんだが…。」


顔を赤くしながら、聡は言う。申し訳なさそうにしなければならないのだが、この話になると、自然にキスを思い出してしまい、どうしてもまともに話す事が出来ないようだ。


「えぇ、分かってるわ。自分でもいきなりすぎたって思ってるから。」


ヘタレた事を言ってる聡を、意外にもエーリカはあっさりと許してくれる。

その好意を有難いと思いつつも、情けない思いでいっぱいになる。


「ありがとう。次の休みはいつ?」


「えっと、明後日だけど?」


「なら、空けといてもらいたいんだけど、大丈夫かな?」


「勿論よ。楽しみにしてるわね。」


自分の事は、自分がよく分かっている。聡は、こういう大事な事は、絶対に無理矢理にでも期限を設けないと、相手の好意に甘えてズルズルと引き摺るタイプだった。


ーエーリカが巫山戯てああするとは、到底思えないからな…。いい加減自分自身との向き合いもしないと。ー


この300年間において、人間的な成長など必要無く、【不老不死】の影響なのか、その構造があまり変わらなかった為、聡は彼女いない歴=年齢の、残念青年のままである。


だから自分を追い詰めて、何とかしてまともにエーリカに聞かせることが出来るような答えを、しっかりと出さねばならない。


勇気を振り絞ってキスしたのにも関わらず、答えを保留にされたエーリカに、笑顔で見送られながら、強く自分に言い聞かせるのだった。

_____________________________________________


「はぁ〜〜。童○の俺に、一体どうしろってんだい。」


宿に戻った聡は、頭を抱えながらベッドに倒れ込む。


呻きながら、どうしたものかと頭を悩ませる。


「…一輝にでも相談するか。」


疲れた表情で、聡はスマホを取り出して、電話をかける。


『お?聡?どうしたんだ?』


「ちょっと悩み事がな。今、時間は大丈夫か?」


長くなりそうなので、空いてるのかを確認する。


『勿論大丈夫だけど。そんなに深刻な話なのか?』


「一輝の脳が、理解を拒むレベルで深刻だぞ。」


『はははっ!面白い冗談だ!異世界に転移するよりも、よっぽどやべぇ話なのか!』


深刻な悩みだというのに、何とも脳天気な返事が返ってくる。


「もう胃が痛いから、相談に乗ってくれると、超助かるんだけど。」


『な、何か笑って悪かったよ。幾らでも聞くから、ドーンと遠慮せずに話してくれ!』


暗いトーンで話す聡に、漸くマトモに聞かないといけないという思いが生まれたのか、やっとの事で話を聞く態度を見せる。


「えっと、この悩みを話すにあたって、前提条件として話さなくちゃならんのが―」


こうして、異世界に来てからの自分の行動、そして亜神になってしまった事、エーリカとの関係性について、洗いざらい話す。


「―以上が、これまでの経緯だ。そして、ここからが本題何だが『いや、ちょっと待ってくれ!』…ん?何だ?」


告白された件について、話そうと思ったところ、一輝からストップがかかる。今までの話の中に、何か質問があるのだろうか。


『いや、何だも何も、神になったって、一体全体どういう事だ!?どんな奇跡だそれ!つーか、神って存在すんのね!?』


どうやら、亜神になってしまったという点について、ツッコミを入れたかったようだ。聡自身も、どちらかといえば、無神論者だったので、その気持ちは良く分かる。


一輝が落ち着くまで、聡はただ宥めるしかなかった。

次回は、エーリカに焦点を当てまくりです。聡は一体どんな答えを出すのでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ