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プロローグ

息抜きに始めました。『転生王子は何をする?』も書いていきますので、今後ともよろしくお願いします。

「クハハ!余は満足だ!これで何の心残りもなく、逝けるというものだ!」


「うるせぇ!このクソ変態魔王(・・・・)が!さっさと死にやがれ!」


荒廃した広野に、荘厳さを感じる中年男性と、子供っぽさの残る青年の、2人の声が響き渡る。青年の足元には、現代日本で持っていたら即お巡りさんを呼ばれそうな、鉄製の剣が転がっている。中年男性には幾つかの浅い傷が入っている。


「最後の最後までドSだな!」


しかし中年男性は、笑いながら妙な事を言う。


「そういうのは良いから、さっさと去ねや!もうHP(・・)はゼロなんだろ!?」


そんな男性の言葉を切り捨て、これまた妙な事を言う青年。


「うへへへへ。これは手厳しいな!…では、さらばだ!」


その言葉を最後に、青年に『魔王』と呼ばれた、2メートル超の身長、ガッシリとした体型であり、燃えるように赤い髪をもつ、頭の両脇に角が生えた彫りの深いイケメンの中年男性が光の粒子(・・・・)となって消えていく。

消える寸前の笑い方や表情は、最早魔王の威厳が無いものであったが、青年は最早そんな事には一々ツッコミを入れない。


「逝ったか…。はぁ〜!くっそ長かった〜!漸く終わったか〜!さっさと地上(した)に降りて、美味い飯食って、酒でも飲むか!」


目の前で人ひとりが、光の粒子となって消えたのにも関わらず、青年は一仕事終えたおっさんみたいな事を言いながら伸びをし、そのまま広野に寝っ転がった。

そしてそのまま、疲れきっていた青年は、深い眠りにつくのだった。

___________________________________________


青年、荒井聡(あらいさとし)は現代日本で平和に暮らす大学生であった。


「おぉ!この小説は当たりかも!ん?書籍化もしてる?買いだな!」


大学の夏休みのある日、聡は自室でパソコンに向かいながら、日課の小説漁りをしていた。本人は否定するが、れっきとしたオタクであり、実家で暮らす聡のバイト代の大半は、小説や漫画の代金でほぼ全て消えていた。


「はぁ〜、今日は運が良いな!当たりばっかじゃん!」


そう。普段なら『へ、何コレ?』となるようなものを引き当てるのだが、今日は見るもの全てが面白い、掘り出し物であったのだ。


「はは。この後ヤバめの異世界召喚に巻き込まれたりして。マジでチートも無く、バットエンドで死ぬパターンのやつ。」


噂をすれば影がさすというように、この世の中滅多な事を言うものではないだろう。


「な〜んてな。あははは…って、え?」


馬鹿な事を言ってんな〜と1人笑っていると、椅子に座っている自分の足元に現れる、漆黒に禍々しく輝く魔法陣。


「え、ちょ!この色合い、絶対アカンやつやって!に、逃げ…うわぁぁぁ!?」


ガタッと椅子から立ち上がり、聡は大慌てでその場から逃げ出そうとする。しかし時すでに遅し。聡は全力をもってしても全く抗えない魔法陣の引力に、為す術もなく引き摺り込まれるのだった。唯一出来たことといえば、近くにあったパソコンとスマホを掴むだけであった。

___________________________________________


「フハハハハ!成功だ!これで余の目的が果たせるというものだ!」


引き摺り込まれた衝撃で、少しの間気を失っていた聡の耳に、ビリビリと空気が震えるほどの威圧感を感じる、男性の声が飛び込んでくる。それが目覚ましとなり、意識が完全に覚醒した聡は飛び起きる。


「うわ!え、ここどこぉ?」


そして飛び起きた聡の目に飛び込んできたのは、教科書でしか見た事のないような、フランス辺りの宮殿を彷彿とさせる内装の部屋であった。そのため若干語尾がおかしくなりながらも、何とか言葉を発する。


「ぬ。目が覚めたか、異世界人(・・・・)よ。こちらを見よ。」


「え。」


いきなり後ろから声がかけられた聡は、声の主から発せられる威圧感から湧く恐怖を、力づくで抑えながら振り向く。

するとそこには、1人の角の生えたおっさんが、玉座と見られる椅子に座っていた。


「ふむ。余を前にしてその態度、貴様は大分肝が据わっているのだな。」


「は、はぁ…。」


『状況がイマイチ分かっていないだけなんですけどね』と心の中で毒付きながら、取り敢えず聡はその場で跪くのだった。

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