34話 閑話 裏で事態は少しずつ動いているよ
また下ネタです。
お昼には合いません。ゴメンなさい。
飛ばしても問題は無いので、苦手な人は見ないでくださいませ。
日も昇らない明け方、アリエナイの町を二つの影が移動し建物に消えてゆく。
月も星も雲に隠れ、町は暗く、早起きの家から微かに零れる光では、その二人の黒い影意外に知る事は叶わない。
二つの影は建物に侵入し、最初から目的地が決まっていたかのように、スイスイと暗闇を進んでゆく、そして、とあるドアの前で止まった。
「準備は……もうよろしいですかな?」
「ええ問題ないわ……もうパンパンよ。」
女らしき影は膨らんでいるそれを撫で、中身が沢山入っているであろう様子を伺わせる。
男らしき影はそれを見て少し呆れ気味に息を漏らす。
「パンパン……ですか? それはまたなんとも欲張りましたね。」
「なによ。アンタがいっぱいの方が良いって言ったんじゃない。それに従っただけのこと。」
男は小さく笑い、女も薄く笑う。
男の笑いは、そのパンパンに膨らんだものから中身が無くなった時の事を思って漏れた笑いだった。
この高慢な女が一体どんな顔をするのだろう。そんな事を考えていた。
この女の言葉は、さも自分に言われたからこそ、わざわざパンパンに詰めてきたとでも言いたげな言葉だったが、普段から溜めこんでしまう性分だという事は、関係者であればみんな知っている。
「まぁそれだけ詰まっていれば間違いなく望んだ結果はでるでしょうけれどもね。」
「でも、本当に大丈夫なの?
コレは私の意思で出すことはできないわ。出せるかどうかは運次第よ?」
男は女に確信を持っているかのような語調で続ける。
「大丈夫ですよ。ご安心ください……本当に不思議ですが、座るだけで自然と体が反応しますから。
何も心配はいりません。では使い方を説明しますね。」
雲の切れ目が生まれ、月明かりと星の光が二つの影を照らし出す。
見覚えのあるシルエットが浮かび上がってくる。
話をしている男は現場監督だった。
だが女の姿に見覚えはない。
ドアを開けるとその部屋の中は、まるで昼間のような光に溢れはじめた。
突然の光に女は驚きながらも、現場監督から部屋の中に設置してある魔具の使い方を学ぶ。
「それでは宰相様……どうぞごゆるりと、お楽しみください。」
現場監督は宰相をドアの中へエスコートし、パタリとそのドアを閉めた。
宰相と呼ばれた女は半信半疑な顔のまま衣服を脱ぎ魔具に腰をかける。
その瞬間。
まるで魂が反応するかのように女の下半身の内側から激しい刺激が襲いはじめた。
その刺激はまるで
『我らの軍が、かつてこれ程の大軍になった事があっただろうか! いや無い! 皆の者! 数は力だ! 今の我らの行く手を阻む事は誰にもできん! 行くぞっ!!全軍突撃だ―!!」
そう叫んでいるかのようだ。
宰相はその刺激に戸惑い括約筋に力を入れて堪えようとする。
だが、その勢いに感じるものがあったのか、すぐに諦めて流れに身を任せた。
現場監督はドアから離れ、静かに耳を澄ませていた。
バビ バビバ ビーン!
遠くで開戦ののろしが上がる音が鳴り、小さく耳に入る。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」
すぐ後に、宰相の叫び声が響いた。
「あぁあぁあぁ!!
………あぁっ!?
……あぁ~ん。」
声が時間と共にどんどん変化する。
現場監督はその声の変化に静かに耳を傾け、宰相が部屋から出て来て言い放つであろう言葉を確信した。
そしてその後を考え、部屋の防音をどう増設したものか頭を捻り、予算を施主である宰相から、どう毟り取ろうかを考えるのだった。
ドアが静かに開く。
そして顔を赤くした宰相が現場監督に向けて言葉を放った。
「これを作った者を何としても手に入れろっ!! 手段は問わんっ!」
ヤベエは自分の作った物のせいで、厄介な人間に目を付けられたことなど知る由もなかった。




