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勇者とバナナと練乳と  作者: フェフオウフコポォ
旅の始まりとバナナ

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31/58

31話 國主を起こすよ


「ふぅ……紙一重の戦いだったぜ。」


 主に俺の理性的な意味で。


 魅惑的な格好でヒクンヒクンと痙攣しつつ意識を失っている國主に、とりあえず鑑定をかけてみる。


 --------

 名前:珍 宝 珍々

 種族:ヤーマンッバ人(ロリババァ)

 職業:ヤー・マノサッチ国主

 レベル:81


 HP:695/645

 MP:542/792

 物攻:202

 物防:246(+15)

 魔攻:289

 魔防:235(+30)

 速度:273

 幸運:198


 装備:ハダジュヴァン

 スキル:鬼頭流格闘術 松竹拳2~10倍

 超ヤーマンッバ人 超ヤーマンッバ人2 超ヤーマンッバ人3

 覚醒変化(成熟体) M気質(小)

 ステータス:悦楽

 --------


 ……名前ェ


 ……


 …………名前ぇェ



 いい。

 もう触れない。


「なぁ……マツタケコさんや。この人はマゾっ気とかある人で有名だったりするのかい?」


 魔バナナを食うとスキルが変化する。なんか微妙に。

 もしかして変なスキルを追加してしまったかと思い、心配そうに國主の様子を見にきたマツさんに問いかける。


「ちょっと……なんで私の名前を知ってるのよ。」

「えっと……それはそれ、あれですよ。俺の特殊能力ってことで勘弁してください。」


 マツタケコさんがジト目をしている気配がビンビンする。なのでマツの目は見ない。見たら負ける。

 目を逸らし続ける俺の様子にマツはどうやら色々と諦めたようだ。


「もういいわ……國主様にそんな噂を聞いた事ないわ。どちらかといえば逆の事をしているイメージの方が強いし。」


 なんということでしょう。ということは何かい? S気質をM気質に変換してしまったというのかい?

 いや、もう『流石俺の作った魔バナナ!』と言うしかないな。


 少し見ていると、國主の身体が変化しはじめ、元のちんちくりん……幼女の姿に戻ってゆく。

 だが、幼女になってもヒクンヒクンは止まらないようだ。


「ん~……さすがにこれ以上待つのも面倒くさいしなぁ。とりあえず起こすかな。」


 とは言えだ。どうやって起こ(イか)したもんか。


 再度鑑定を行いながら考えてみる。

 HPはマックス超えていて、その性質はM気質……


 ちょっとよこしまな考えが浮かばないでもない。邪念を消すべく慌てて首を振る。

 Mっ気なら多少意地悪しても……と思ってしまったのだ。冷静になって考え直す。


 なにせSMはかなり難しいと噂に聞く。

 Mの人の気持ちいいポイントを的確に捉え、そこをキチンと刺激してこそ気分が盛り上がるらしいから攻める側が大変らしい。Sはサドではなく、サービスのSとまで言われるくらいだ。

 後、Mの人にしても、自分が認めた好きな相手にされないと本当に心から気持ちよくならないとも聞く。


 SMは単なる痛いでは駄目なのだ。愛と信頼の証なのだ。

 これは日本人だった頃に見たエロ本に書いてあったから間違いない事実だ。


 さて、ならばどうやって起こ(イか)したものか――


 妙案浮かばず考え続けていると、マツタケコが勝手に國主に手を当てたり揺すったりしては様子を見始めていた。

 まぁ、自分の国のトップの人が目の前でヒクンヒクンしてたら、そら何とかしようとするわな。


 マツの何かしらする様子を見て観察すると、マツが肉体的な刺激を与えても、それに対する國主の反応は薄い。


 ふむ。

 やはり防御力の高さもあって感覚が鈍いのだろうか?


 そんな事を思った俺の脳内に ピコン 閃めくことがあった。触覚に対する反応が薄いのなら、違うところで攻めてみたらいいじゃない! 折角なので試してみることにする。


「え~っと、マツタケコさんや。ちょっと俺が起こしてみるの試すから、ちょっと離れてて。後、俺がする事の邪魔しないでね。」


 声をかけた俺を見て、何かを考えてハっとし、ジト目を向けてくるマツタケコ。


「いやいや! 俺、幼女とか触ったりしないから! 色々怖いし!

 ちょっと声をかけてみるだけだから。」


 いまだ訝しげな顔をするマツタケコに黙って見ているよう告げ、國主の耳に顔を近づける。

 そして國主の耳元で、精一杯のイケメンボイスをイメージして囁く。


「おい……何をのんびり寝てるんだ? 俺を放っておくとかどういうつもりだ?

 それとも何か? あんなもんだけで満足したとでも言うのか?

 おいおい冗談だろう? それでも本当に人の上に立つ國主なのかな?

 まぁ、お前には、そうやって這いつくばっている姿の方がお似合いだがな。」


「……ハァ…ン」


 寝言での反応があった。

 よし。継続してみよう。イケメンボイス。イケメンボイスを意識するんだ。Mっ気を刺激して、耳を犯すのだ。


「オイオイ……まさかとは思うがお前、喜んでいるのか?

 貶されて喜ぶとか、そんなワケ無いよなぁ? こんなどこの犬かも分からないような男にいいように弄ばれて……嬉しい訳ないよなぁ?」


「んんっ! ……ン…ハァ」


「おい、どうしたんだぁ? 声が色っぽくなってるぞ? まさか本当に嬉しいのか?

 はっ、そうだ。ひとつゲームでもしようか? お前がこんなので気持ちよくなっているのか確認する為のゲームをさ。気持ちよくなったらお前の負けだ。

 負けたら罰を与えてやるよ。罰は……そうだな。奴隷みたいに扱ってやる。嬉しいだろ?」


「ふぁあ!」


「正直に俺の物になりたいと言いな。そうしたら雌犬くらいには可愛がってやるよ。

 なぁに別に嫌だったら気持ちよくならなけりゃあいいんだけなんだから簡単だろ?

 普通なら負けるはずないよな? お前が普通だったらな。」


「…ん…ん…んああ、んぁっ!」


「おい……お前、まだゲームも始まってないのに声が荒くなってるぞ?

 まさかお前、俺の物になりたくてワザとやってのか? はん、この生意気な雌犬が。そんなに俺の物になりたいっていうなら仕方がない。飼ってやらんでもないぞ。

 もちろんペットとしてな。首輪をつけて可愛がってやるから奉仕しろよ……毎晩な。」


「うんあぁぁっ!!」


 國主はビクンと大きく反応し、軽く痙攣した後、目を開けた。

 どうやら朦朧としている意識の中、新たに生まれたM気質を刺激する言葉攻めは成功だったようだ。


 目も覚めたから、とりあえず完全に起きるには2回達する必要があったと思うから、2度目はもっと直接的な方法でいこう。


 俺はボンヤリとしている國主を抱え、マツタケコの方を向く。

 マツは「へ?」という顔をし、國主も虚ろながらもどこか困惑しているのがわかる。


「ほら早く起きろ!」

「あひぃ!」


 パチーンと尻たたきを実行した。


「部下が見てるぞ!」

 パチーン

「あひぃ!」


「ほうら」

 パチーン

「アヒィ!」


 俺の一定のリズムを刻むドラムビートの合いの手に、マツの「國主様アワワ」という言葉が入りつつ、ちょっとの間、尻たたきを繰り返すと、間もなく國主。歯を食いしばってビクンとイってそうろう。


 よし。

 これでもうすぐ完全に目を覚ます。


 汗を良い顔でぬぐい、國主に回復魔法と肌襦袢に清浄魔法をかけてから起きるのを待つのだった。



--*--*--



「うぅ……予想以上にヒドイ目にあったのじゃ……」

「元はといえば、平和的に話をしようとしていた俺の言葉を聞こうともせずに殴りかかってくるお前が悪い。」


「とは言え、あんまりじゃ。」

「うん、俺も実は調子に乗りすぎたと思ってる。正直スマンかった。」


「はぁ……まぁ我も長く生きてきて今更こんな経験をするとは思ってなかったからな。

 それに意外と悪くなかったからの。良い良い。それにこの国では『力あるものが正義』じゃ。

 おんしは力があるからの、何をしたとて咎めるものはおらん。」


 國主はそう言って、カラカラと笑った。

 だが俺は國主の言葉に色々気になる事があった。


「え? ちょっと待って……今、長く生きたって言った?」

「そうじゃの。我は今年で65歳になるのじゃ。」


 國主を上から下まで見回す。

 どう見ても幼女にしか見えない。


 『いやいやいや嘘だろ?』そう思ったが、マツタケコが真剣な顔で頷いているのを見て、声にならなかった。そしてステータスに(ロリババァ)とあったのを思い出す。


「ヤー・マンッバ人は年の取り方がおかしいからの。

 90くらいになれば老け込みもしようぞ。

 それまではいつでも戦闘できるよう、肉体はピッチピチなのじゃ。」

「……さいでっか。」


 幼女と思っていたのがババァだったとか思うと、色々やりきれない。

 なんだろう。肩が落ちる。勝手に。


「しかし……ヤベエとか言ったか? おんしスゴイのぉ。

 この我が歯が立たんなぞ、これまでなかったことじゃ。褒美に我の名を教えてやろうではないか。」

「やめろ言うなっ! 俺はお前の名前は聞かん! そして呼ばんっ!」


 俺は國主が名前を口に出そうとしている事を察し、慌てて手で國主の口を塞ぎさえぎる。

 なぜならステータスにあった名は『珍 宝 珍珍』


 何か別の読み方があるのかもしれないが、虚空くんの名前からして、万が一を考えると、見た目幼女にこの名前を言わせてはいけない。


「そうだ! 俺がお前の主人之命的(なまえをよぶときは)強制改名(こうよぶ)!『ロウリィ バッバ』って!」


 俺は、また自分の出した言葉に違和感を感じた。

 まただ、またすかしっ屁をしたような感覚。魔力が漏れ出た感覚だ。

 『やってしまった』という思いに駆られる。


 予想通りに、國主に変化があった。

 國主は目を閉じて一瞬だけ薄く光る。

 そして目を開き、言った。


「我の名はロウリィ。

 ロウリィ バッバじゃ。旦那様よ。」


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